葬儀の香典返しについて-意味や贈る時期、相場や贈る際の注意点などを紹介
2023年12月19日更新。
故人様の霊前に「香典」として金銭をいただいた場合、「香典返し」の品を贈ることが一般的です。
本記事では、初めて香典返しを贈る方でも滞りなく手配できるように、
◯いつ贈るのか
◯相場
◯贈り方
◯贈る際の注意点
について、
◯仏式
◯関東地方
を例に説明します。
香典返しの相場や贈るタイミングは、地域の慣習などによって異なるため、注意が必要です。
1.香典返しとは
1-1香典返しの意味
「香典返し」とは、香典へのお礼と、忌明けのご報告を兼ね、挨拶状を添えて返礼品を贈ることです。
<補足:忌明け(きあけ、いみあけ)>
故人様が無事に成仏したことを意味します。
命日から七日間ごとに初七日、二七日…と数え、七回目を七七日、つまり四十九日が忌明けとされます。
通常は、四十九日に忌明けの法要を行います。
ただし、故人様が亡くなって三か月にまたがらないほうがよいとされ、三十五日を目安に行う場合もあります。
忌明け法要をいつ行うかは、菩提寺に確認しましょう。
1-2会葬返礼品との違い
<会葬返礼品とは>
通夜、葬儀・告別式に来ていただいた方へお礼として渡すものです。
香典の有無は関係ありません。
<会葬返礼品と香典返しの混同に注意>
香典返しは、香典をいただいた方のみに贈るものです。
もし葬儀当日に香典返しをする場合、会葬返礼品と混同しやすいので、注意が必要です。
※当日の香典返し(即日返し)については、
2-2最近は即日返しも増加傾向を参照してください。
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2.香典返しを贈る時期
2-1忌明け(四十九日後)が一般的
葬儀の後でお贈りしますので、一般的には「後返し(あとがえし)」と呼ばれています。
忌明けの報告を兼ねていますので、通常は忌明け後、速やかに、遅くとも1か月以内には贈るといいでしょう。
2-2最近は即日返しも増加傾向
通夜、葬儀・告別式の当日に香典返しを渡す「即日返し」が増えています。
即返し(そくがえし)、当日返し(とうじつがえし)ともいいます。
感謝の気持ちをその場で伝えられるとともに、後の商品の選定とお渡しにかかる負担が軽減されます。
<品物の金額>
香典の金額に関わらず、一律同じ品物を渡します。
<購入先>
短時間で大量の品物と挨拶状を用意することになりますので、葬儀社に依頼することがほとんどです。
一般的には、品物を多めに用意し、余った分は葬儀社で引き取ってもらえることが多いようです。
ご自身で手配すると返品対応ができないこともありますので、葬儀社に依頼する方がスムーズです。
<高額の香典をいただいた場合>
即日返しの品物がいただいた香典金額に見合わなかった場合は、忌明け後に改めて品物をお贈りするのもよいでしょう。
2-3神道・キリスト教の場合
「香典」は仏式用語ですので、他宗教には「香典返し」がありません。
しかし、いただいた金銭へのお礼は、他宗教でも行われることが一般的です。
お返しをする時期は下記の通りです。
<神道>
三十日祭、五十日祭の後
<キリスト教>
キリスト教には忌明けという概念はありませんので、目安として考えてください。
◯カトリック
追悼ミサ(亡くなられてから30日目)の後
◯プロテスタント
記念式(亡くなられてから1か月目)の後
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3.香典返しの金額の相場
3-1半額(半返し)~3分の1が目安
一般的には、半返しまたは三分返しといい、いただいた金額の半分から3分の1程度です。
高額の場合は、
3-3高額の香典をいただいた場合
を参照してください。
3-2香典の額で3段階くらいに分ける
一般の会葬者からいただく香典は、5,000円~10,000円が多いようです。
前後を含め、大きく3段階に分けると整理しやすいでしょう。
<香典の金額と、返礼品の目安>
①香典:5,000円未満
→返礼品:1,000円~1,500円程度
②香典:5,000円~10,000円まで
→返礼品:2,000円~3,000円程度
②香典:10,000円を超える
→返礼品:香典の金額によって個別に決定
以上はあくまでも一例です。
地域の慣習や相手との関係性など、状況に応じて決めましょう。
なお、連名や「一同」でいただいた香典は、一人あたりの金額に応じてお返しします。
※詳しくは、5-3会社や連名でいただいた方への対応を参照してください。
3-3高額の香典をいただいた場合
親族や親しい方から、高額の香典をいただくことがあります。
遺族へ援助の気持ちが込められている場合もあり、必ずしも「半分~3分の1のお返し」にこだわる必要はないと思われます。
自筆の挨拶状(手紙)を添えたり、近くにお住まいの方には直接持参したりするなど、感謝の気持ちを伝えると丁寧です。
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4.香典返しに何を贈ればよいか
4-1贈ると喜ばれるもの
実用的であり、「不幸が消えてなくなる」との意味で、消耗品を選ぶのが基本です。
◯お茶、のり、お菓子などの食品
◯タオル、石鹸、洗剤などの日用品
◯カタログギフト
などがおすすめです。
4-2贈るとダメなもの
<贈ってはいけないもの>
◯肉・魚類
→仏教では、忌明けまでは肉や魚などを避ける風習があるため、お返しにも選ばない方がよいとされています。
なお、カタログギフト内に肉・魚類の商品があっても、直接贈るものはカタログなので問題ないとされています。
◯慶事に使われる食品(昆布、鰹節、お酒など)
<避けた方がいいもの>
◯日持ちの短いもの
→先方の負担になる可能性があります。
◯商品券・金券類
→金額がわかるため、避けられることが多いようです。
◯パッケージが慶事を想起させるもの
→紅白、鶴亀、松竹梅などの絵柄は避けます。
◯(即日返しの場合)大きいもの・重いもの
→持ち帰り時の負担になります。
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5.香典返しを贈る範囲と対応
5-1基本は香典をいただいた方全員
親族、一般の方を含め、香典をいただいた全員にお返しを贈るのが基本です。
◯香典袋一封につき、一つお返しします。
→夫婦、家族など、連名の場合もお返しは一つです。
※会社名、友人などの連名の場合は、
5-3会社や連名でいただいた方への対応を参照してください。
5-2香典返しリストを作成しておく
香典帳(記帳カード)をもとに、リストを手書きか、パソコンで作成します。
<リストに必要な項目>
◯住所
◯氏名
◯電話番号
◯故人様・遺族との関係
◯いただいた香典の金額
◯返礼品のランク(品物)
※3-2香典の額で3段階くらいに分けるで決めたランク(品物)を記入
◯返礼品の数量
<贈り先が多い場合>
品物を配送する場合、送り状の作成に使用しますので、パソコン(例:EXCELファイル)で作成するとよいでしょう。
購入先がフォームを指定している場合もありますので、確認します。
5-3会社や連名でいただいた方への対応
<会社名でいただいた場合>
会社名でいただいた場合、お返しをしなくても問題はないとされています。
社内規程で贈り物の受け取りが禁止されている会社もあります。
<会社名+役職者名でいただいた場合>
会社からなのか、個人からなのかによって異なります。
個人からであれば、お返しをします。
<個人の連名、◯◯部一同などでいただいた場合>
職場の同僚などから、個人の連名や◯◯一同でいただく場合があります。
一人あたりの金額が、相場とあまり変わらないようであれば、個別にお返しをするのが基本です。
相場よりも少額であれば、お礼の気持ちとして、個包装のお菓子などを配るのもよいでしょう。
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6.香典返しはどこで買えば良いか
実店舗(対面)か、インターネットで注文します。
購入先を検討する際のポイントは
○店舗が近くにあるか
○誰に送るか
○選ぶ時間があるか
○品揃えはどうか
○掛け紙や挨拶状のサポートがあるか
○数量が多い場合の対応や送料はどうか
などです。
相談しながら品物を選びたい方、ネットでの注文が不安な方は、実店舗の方が安心でしょう。
6-1百貨店(デパート)
店舗のギフトサロンで受け付けています。
百貨店の包装紙は贈り先に好印象を与えるので、年配者や目上の方が多い場合に良いです。
<メリット>
○百貨店ならではのブランドや品揃え
○専任のスタッフがいる
<デメリット>
○価格は、他購入先よりも高め
6-2専門店(ギフトショップ)
地域に根差した店舗が多いです。
中には大手のギフト販売会社と提携している場合もあります。
贈り先に地域の方が多い場合、最寄りの専門店であれば、地域の慣習に詳しく、安心でしょう。
<メリット>
○品数が豊富で、価格も割安なところが見受けられる
○専任のスタッフがいる
<デメリット>
○店舗が近所に無い場合がある
6-3郵便局
窓口にカタログがあり、全国の郵便局で注文できます。
最寄りに百貨店やギフト専門店がない地域の方には便利です。
<メリット>
○近所にある
○誰もが知っているので安心感がある
<デメリット>
○品物を直接確認できない
6-4ネット通販
スマートフォンの普及もあって、現在では、百貨店、専門店、郵便局はもちろんさまざまな通販サイトがあります。
店舗に足を運ぶことなく、また時間に関係なく注文できますので便利です。
贈り先をエクセル等で管理している場合も、それを基に注文できます。
<メリット>
○都合の良い時間に選べる
○店舗に行かずに選んで注文できる
<デメリット>
○品物を直接確認できない
○スタッフに直接相談できない
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7.香典返しを贈る際の注意点
7-1掛け紙(のし紙)
香典返しには、掛け紙を掛けます。
「掛け紙」の水引と表書きは、宗教、地域によって異なります。
<水引>
「黒白」あるいは「黄白の結び切り」です。
<表書き>
宗教を問わず使えるのは「志」です。
◯仏式では「満中陰志」「粗供養」を用いることもあります。
◯水引の下に、喪家の姓か、喪主のフルネームを記載します。
<表書きの文字色>
薄墨です。
<「内掛け」か「外掛け」か>
箱に掛け紙をかけた後、包装紙で包むことを「内掛け」、包装紙の上から掛けることを「外掛け」といいます。
香典返しでは、「内掛け(内のし)」が一般的です。
控えめな気持ちを表すと言われています。
※弔事においては正しい表現ではありませんが、掛け紙を内外どちらに掛けるかを「内のし」「外のし」と呼ぶことが多いです。
香典返しの購入でネット通販を利用した際は「内のし」を選ぶようにしましょう。
<補足:「掛け紙」と「のし紙」の違い>
「掛け紙」のうち、「のし(あわび)」の印がついたものを「のし紙」といいます。
のしは慶事と一般的な贈答に使用し、弔事と見舞いには使用しません。
しかし、この違いを認識されないまま、掛け紙全般を「のし」「のし紙」と呼ぶ方が多くなっています。
香典返しは弔事における贈り物のため、正しくは「掛け紙」と呼びます。
7-2挨拶状(お礼状)
香典返しの品物には、挨拶状(お礼状)を添えます。
通常、購入先で作成してもらえます。
<挨拶状の作成費用>
雛形の文面であれば無料が多いようです。
オーダー内容によっては有料の場合もありますので、確認してください。
<挨拶状で伝えること>
◯会葬、香典へのお礼
◯無事に忌明けを迎えたこと
◯香典返しの品を贈ること
購入先に、一般的な文例が用意されていますので、利用するとよいでしょう。
<作成に必要な情報>
◯故人様の俗名
※戒名も記入する場合があります。
◯忌日:七七日(四十九日)もしくは五七日(三十五日)の日
◯喪主様の名前
<自分で文面を作成する際の注意点>
◯時候の挨拶は不要
◯句読点は使用しない
◯忌み言葉を使用しない
→「ますます」「いよいよ」「たびたび」などの重ね言葉、「四」「九」「苦しむ」「死亡」などを避けます。
<挨拶状の文例>
謹啓 先般 父 ○○○○永眠の際には御多忙にかかわらず 御鄭重なる御弔意と御香志を賜り御芳情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます |
◯奉書封筒の場合
◯縦型カードの場合
7-3渡し方(送り方)
以前は遠方を除き、持参が基本でした。
現在は、配送(郵送)でお届けすることがほとんどですが、直接お礼を伝えたい方、職場や近所の方には持参してもよいでしょう。
<配送時の差出人名>
通常、配送伝票の差出人名は喪主様の名前です。
しかし、家族・親族の関係者にお送りする場合など、喪主様の名前では誰から届いたのかわからないおそれがあります。
その場合は、次のいずれかにします。
◯差出人名を本人にする
◯喪主名の横に本人名を加筆する
また、
◯同封の挨拶状にメッセージを添え書き
◯別途、挨拶状を送付
なども丁寧でしょう。
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8.よくある質問
Q:香典返しを辞退された方には、どう対応すればよいでしょうか?
A:さまざまな理由、配慮から、香典返しを辞退された方には、お贈りしなくても問題ないとされています。
忌明け後に、挨拶状でお礼を伝えます。
Q:多忙で香典返しを贈れませんでした(香典返しを贈り忘れた)。どう対応すればよいでしょうか?
A:香典返しは、忌明け後、速やかに贈ることが望ましいとされています。
忌明け後、おおむね1か月を経過した場合は、初盆や彼岸などに、遅れたお詫びの言葉を添えてお贈りするとよいでしょう。
Q:故人の遺志で香典を慈善団体に寄付しました。どう対応すればよいでしょうか?
A:香典返しは贈らないことが多いようです。
葬儀でお配りする会葬礼状、あるいは忌明け後の挨拶状でその旨をお伝えしましょう。
Q:香典の金額が3,000円の方にもカタログギフトを贈るか悩んでいます。
A:一般的に、カタログギフトは商品代の他にシステム利用料がかかります。
このため、3,000円の香典に半返し相当のカタログでは、実際の品物がかなり廉価か少量になります。
もちろんカタログギフトを贈っても構いませんが、品物を選ぶ方がよいかもしれません。
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9.まとめ:香典返しは、地域の慣習を確認して手配しましょう
香典返しの贈り方、贈る際の注意点などについて、お話してきました。
<ポイント>
◯「香典返し」とは、香典へのお礼と、無事に忌明けしたご報告として品物を贈ること。
◯一般的には配送で後返し。即日返しも増えている。
◯香典の金額の「半返し~3分の1」が目安。
◯ふさわしい品物・避ける品物がある。
◯挨拶状を添える。
香典返しは地域差が大きいので、葬儀社と葬儀内容の打ち合わせ時に、地域の慣習をよく確認しておきましょう。
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