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2019年 12月 12日(木)

戒名とは?いつまでにどうやって付けてもらう?意味や構成、宗派ごとの違いも紹介

戒名

2024年1月22日更新。

仏式の葬儀で必要になるのが「戒名(読み方:かいみょう)」です。

「名称は聞いたことがあるが、いつまでに、どのように準備すれば良いか分からない」という方もいらっしゃると思います。

この記事では、戒名の意味や構成、位、費用の相場、宗派別の特徴等を説明します。

また、もしもの時に戒名を授かる方法を分かりやすく紹介します。

 
 
 
 
【もくじ】
1.戒名とは
 1-1戒名の意味
 1-2戒名を付ける理由
 
2.戒名の付け方
 2-1いつまでに付けてもらうか?
 2-2菩提寺に付けてもらうのが基本
 2-3菩提寺がない場合
 
3.戒名の構成
 3-1戒名はいくつかの号で構成される
 3-2院号・院殿号
 3-3道号
 3-4戒名(法号)
 3-5位号
 
4.戒名に対するお布施の相場
 4-1お布施はどのように決まるのか?
 4-2お布施の金額は教えてもらえるのか?
 
5.お布施の準備と渡し方
 
6.宗派別戒名の一覧
 6-1日蓮宗・法華宗
 6-2臨済宗・曹洞宗・黄檗宗
 6-3真言宗
 6-4天台宗
 6-5浄土真宗(真宗)
 6-6浄土宗・時宗
 
7.まとめ:菩提寺の有無を確認した上で寺院に相談して授かりましょう
 
 
 
 

1.戒名とは

 

1-1戒名の意味

戒名は、仏の弟子になり、戒律を守る証として与えられる名前です。

宗派により呼び名が異なります。
このため総称して「仏名(ぶつみょう)」と言います。

天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗は「戒名」
浄土真宗は「法名」
日蓮宗は「法号」
といいます。


戒名は仏教徒としての名前ですので、他の宗教にはありませんが、戒名に近いものはあります。

◯神道:「諡(おくりな)」。
◯キリスト教:洗礼を受けた際に授かる「洗礼名」。

 
 
 

1-2戒名を付ける理由

仏式の葬儀を希望する場合は、仏教徒の証である戒名が必須です。

宗教上の儀式を行わない場合は、戒名がなくても式を執り行うことは可能です。

ただし、次の点に注意が必要です。

 
 
<菩提寺がある場合>

菩提寺とは、先祖代々のお墓があるお寺のことをいいます。

菩提寺で戒名を授けていただかないと、先祖代々のお墓への納骨を断られる恐れがあります。

 
 
<菩提寺がない場合>

納骨先を確認する必要があります。

公営・民営墓地は宗教の制限がほとんどなく、永代供養墓は宗派を問わないところが多いため、戒名が必須とはならないようです。

寺院が運営する墓地は、その宗派の戒名がないと納骨を断られる恐れがあります。

もし「宗旨・宗派不問」の寺院の場合、戒名がなくても納骨、供養が可能かを確認しましょう。

 
 
<周囲からの批判>

「成仏できないのでは」等と批判する方や宗教的なしきたりを重んじる方が中にはいらっしゃいます。

家族・親族には事前に説明し、理解を求めることが大切です。

 
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2.戒名の付け方

 

2-1いつまでに付けてもらうか?

お亡くなり後、葬儀までの短い間に戒名を授けてもらうケースがほとんどです。

 
<補足:生前戒名について>

本来、戒名は生前に戒律を受け入れ、仏の弟子になった人に授けられるものです。

生前に授かるメリットとして、
◯自分が納得できる戒名を授かりやすい。
◯死後に授かるよりも安くなることがある。
などがあげられます。

なお、授かっていることを遺族が知らないと、葬儀の際に新たに授かってしまう可能性があります。

生前に家族へ伝えておきましょう。

 
 
 

2-2菩提寺に付けてもらうのが基本

菩提寺があれば、菩提寺が戒名の授与、葬儀、納骨までのすべてを執り行うのが通常です。

もし菩提寺が遠隔地の場合でも、亡くなった後、すぐにご相談しましょう。


戒名と葬儀の対応について、次のいずれかの回答をいただくことが多いようです。

◯遠隔地でも菩提寺が赴き、一切を執り行う。
◯戒名のみ菩提寺が授け、葬儀は最寄りで同宗派の寺院に依頼する。
◯戒名は納骨時に菩提寺が授け、葬儀を依頼する寺院は俗名(生前の名前)で行う。

※補足:最寄りの寺院は、菩提寺から紹介されたり、葬儀社から紹介を受けるよう指示されたりします。

 
 
 

2-3菩提寺がない場合

菩提寺がなく、葬儀社から紹介された寺院に葬儀と戒名授与を依頼する場合は、納骨先を確認しましょう。

納骨先によっては、戒名の付け直しを求められたり、納骨を断られたりする恐れがあるためです。

具体的には、戒名授与を依頼した寺院の宗派と、納骨先の宗派が異なる場合です。


このようなことを避けるには、次の通りにするといいでしょう。

◯購入済の墓地があり、特定の宗派に制限されている場合
→購入元に確認し、葬儀・戒名授与を同じ宗派の寺院に依頼します。

◯墓地がなく、購入予定の場合
→宗教・宗派の制限がない墓地を購入するか、戒名をいただいた寺院に相談して墓地を選びましょう。

◯どこへ納骨になるかまったく見当もつかない、あるいは複数の納骨先で迷っている場合
→葬儀は生前の名前で行い、後日納骨先が決まった時に、そこの宗派の戒名を授かります。

 
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3.戒名の構成

ここからは、戒名の構成について説明します。

 

3-1戒名はいくつかの号で構成される

一般的に、戒名は、
院号」+「道号」+「戒名(法号)」+「位号
の順に、構成されています。

僧侶が故人様の人柄や趣味趣向を鑑み、それぞれの「号」にふさわしい文字を使用して授けます。

使用してほしい文字を伝えることはできますが、「授かる」ものですので、必ずしも希望が通るとは限りません。

以下、各「号」について順に説明をします。

 
 
 

3-2院号・院殿号

元々は身分の高い方のみに授けられていました。

現在は、信仰心が深くお寺への寄与が高かった人、もしくは社会的貢献度が高かった人などに付けられることが多いようです。

院号(いんごう)は「○○院」、院殿号(いんでんごう)は「○○院殿」と記します。

 
 
 

3-3道号

元々は悟りを開いた者に与えられる号でした。

現在では戒名(法号)とは別の「もう一つの名前」とされます。

故人様の人となりを表すような文字が用いられます。

<例>
◯人格を表す  光・優など
◯住居を表す  殿・斎など
◯場所を表す 海・山 など

漢字二文字「○○」で表されます。

 
 
 

3-4戒名(法号)

戒名は、経や仏典に使用されている言葉を使い、仏の弟子になったことを表す名前です。

身分による階級などはなく、どんな人でも漢字二文字「○○」で表されます。

本来の「戒名」はこの部分のことを指します。

宗派によって「法号」「法名」等、呼び名が異なります。

「俗名から取った文字」、「仏様や経典から取った文字」「職業を想起させる文字」、「先祖代々受け継いでいる文字」などが使われるようです。

 
 
 

3-5位号

位号は性別や年齢、地位により異なります。

戒名の下につけられる尊称です。

 
 
<成人>

成人の位号は、位の高いものから順に下記の通りになります(宗派によって使われないものもあります)。
*=一般的によく用いられるものです。

■男性
◯「大居士(だいこじ)」
◯「居士(こじ)」*
◯「禅定門(ぜんじょうもん)」
◯「清信士(せいしんじ)」
◯「信士(しんじ)」*


■女性
◯「清大姉(せいたいし)」
◯「大姉(たいし)」*
◯「禅定尼(ぜんじょうに)」
◯「清信女(せいしんにょ)」
◯「信女(しんにょ)」*

 
 
<子供>

子供の年齢によって異なります。

■男子
◯1歳ぐらいまで:嬰児(えいじ)・嬰子(えいし)など
◯2~3歳ぐらいまで:孩子(がいし・がいじ)など
◯15歳ぐらいまで:童子(どうし)・嬰児(えいじ)など


■女子
◯1歳ぐらいまで:嬰女(えいにょ・えいじょ)など
◯2~3歳ぐらいまで:孩女(がいにょ・がいじょ)など
◯15歳ぐらいまで:童女(どうにょ)・嬰女(えいにょ)など

 
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4.戒名に対するお布施の相場

 

4-1お布施はどのように決まるのか?

戒名の金額は、「院号」の有無や「位号」の位の他、地域、宗派、寺格やお寺との付き合いによっても大きく異なります。


次の例は、参考程度にしてください。

(例)関東地方における戒名の違いによるお布施の相場

◯院居士・院大姉 100万円以上
◯居士・大姉 50万円前後
◯信士・信女 30万円前後


戒名としてのお布施はなく、葬儀の際にあげていただくお経のお布施に含まれているケースも多いです。

 
 
 

4-2お布施の金額は教えてもらえるのか?

本来、戒名は対価としてお支払いするものではなく、謝礼として気持ちをお布施で示すものであり、値段はないとされています。

また、商品やサービスではないため、料金という名の「戒名料」と呼ぶことは適切ではない、とお考えの寺院もあります。

表現に注意しましょう。

 
 
<菩提寺がある場合>

葬儀を依頼する際に「お布施をどのくらいお包みしたらよいのか検討もつかないので、教えていただけますか?」と寺院へご相談するといいでしょう。

次のいずれかの回答をいただくことが多いです。

◯金額を明示される
◯「×万円以上でお願いしております」
◯「お気持ちで」(と、金額のお答えがない)

それでもなお金額を決めかねる場合は、親族に過去の例を尋ね、参考にするのもいいでしょう。

 
 
<葬儀社に紹介された寺院の場合>

葬儀社に確認しましょう。

実績があり地元の信頼できる葬儀社ならば、お布施や寺院とのお付き合いについてアドバイスしてくれますので安心です。

 
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5.お布施の準備と渡し方

宗派、寺院、地域等によって様々です。

葬儀の際にあげていただいたお経のお礼と一緒にしてお渡しする場合が多いです。

下記のように準備し、お渡しします。

 
 
<袋>

◯奉書紙か白封筒に入れます。奉書紙の場合はお金を半紙で包みます。
◯薄墨ではなく濃墨の筆か筆ペンで、「御布施」と表書きします。

 
 
<お金の入れ方>

◯お札の肖像画が袋の表面の上側に来るように入れます。
◯袱紗(ふくさ)か、切手盆(きってぼん)に乗せます。

※袱紗:お金が入った金封を渡すときに使う小さな風呂敷
※切手盆:金品を渡すときに使用する小さなお盆

 
 
<お渡しするタイミング>

通夜や葬儀の式が始まる前が多いようですが、式終了後にお渡しするケースや、葬儀の翌日以降にお寺様に御礼に伺い、その時にお渡しすることもあります。

 
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6.宗派別戒名の一覧

宗派ごとに、また同じ宗派内でも異なる場合がありますので、正確な情報は寺院に確認してください。

以下は一般例として参考にしてください。
位牌に記したイメージで紹介します。

 
 

6-1日蓮宗・法華宗

戒名ではなく「法号(ほうごう)」または「日号(にちごう)」と呼ばれます。

 

◯構成:「院号道号法号(日号)位号
 道号:男性には「法」、女性には「妙」の1文字が用いられます。
◯位牌:南無妙法蓮華経の「妙法」の二文字を位牌上部に記します。

 

(例)
妙法 〇〇院法▲日□居士
妙法 〇〇院妙▲日□大姉

日蓮宗・法華宗の戒名

 
 
 

6-2臨済宗・曹洞宗・黄檗宗

◯構成:「院号道号戒名位号

 

(例)
〇〇院▲▲□□居士
〇〇院▲▲□□大姉

臨済宗・曹洞宗の戒名

 
 
 

6-3真言宗

◯構成:「院号道号戒名位号
◯位牌:戒名の前に梵字
 ※記載例では、★印で表記しています。

 

(例)
★ 〇〇院▲▲□□居士
★ 〇〇院▲▲□□大姉

真言宗の戒名

 
 
 

6-4天台宗

◯構成:「院号道号戒名位号
◯位牌:戒名の前に梵字
 ※記載例では、★印で表記しています。

 

(例)
★ 〇〇院▲▲□□居士
★ 〇〇院▲▲□□大姉

天台宗の戒名

 
 
 

6-5浄土真宗(真宗)

戒律がないので、戒名ではなく「法名」と呼びます。

 

◯構成:「院号釋(釈)(しゃく)号法名
 浄土真宗では、道号や位号は用いられません。
 ※中には浄土真宗であっても居士や信士が付いた法名もあります。
 仏様の弟子を意味する「釋(釈)号」を用い、男性は「釋」、女性は「釋尼」。

◯位牌:浄土真宗では魂の存在を否定しているため、魂の依り代である位牌は必要ないとされています。
 法名軸や過去帳という帳簿に法名(戒名)・命日・死亡年齢(行年)・俗名などを記し、それを仏壇に納めます。
過去帳
◯法名軸・過去帳:戒名の前に「法名」

 

(例)
法名 〇〇院□□
法名 〇〇院釋尼□□

真宗・浄土真宗の戒名

 
 
 

6-6浄土宗・時宗

<浄土宗>

◯構成:「院号誉号戒名位号
 浄土宗では、「道号」ではなく、「誉号」と呼ばれ、「誉」の一文字が使われます。
◯位牌:戒名の前に梵字
 ※記載例では、★印で表記しています。

 

(例)
★ 〇〇院▲誉□□居士
★ 〇〇院▲誉□□大姉

 
 
<時宗>

◯構成:「院号+阿号戒名位号
◯時宗では「道号」ではなく、「阿号」と呼ばれ、2文字目に男性は「阿」、女性は「弌」の一文字が用いられます。
◯位牌:戒名の前に梵字
 ※記載例では、★印で表記しています。

 

(例)
★ 〇〇院▲阿□□居士
★ 〇〇院▲弌□□大姉

浄土宗・時宗の戒名

 
 
 
<補足:戒名の前に付ける文字>

位牌に戒名を記す際は、その前に「梵字」「冠字」などを付けることがあります。
梵字・冠字


■梵字(ぼんじ)
宗派の本尊を表します。

■冠字(かんむりじ)
宗派を示す文字です。
「妙法」「法名」「空」など。

 
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7.まとめ:菩提寺の有無を確認した上で寺院に相談して授かりましょう

ここまで戒名についてその意味と、授かり方の詳細を中心にお話を進めてきました。

 
 
<ポイント>

○戒名は、仏の弟子になった証として授けられる名前のこと。
○亡くなった後、葬儀までに授けてもらうことが多い。
◯菩提寺から授かるのが一般的。
◯納骨先が決まっていない場合には、葬儀社と相談する。
○戒名の基本的な構成は「院号+道号+戒名+位号」。
◯お布施の金額は、院号の有無、位号の位、宗派・寺院、地域等によって異なる。

 
 

一般的に、戒名は葬儀と一緒に寺院へお願いすることがほとんどです。

お布施の金額も含めて相談し、戒名を授けていただきましょう。

 
 
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