無宗教葬とは?特徴、メリット・デメリット、流れや注意点について紹介
2024年1月23日更新。
近年、「無宗教葬」が増えているといわれています。
しかし、実際に「無宗教葬」とは何をするのか、具体的にイメージできない人が多いのではないでしょうか。
この記事では、ご自身やご家族の葬儀として無宗教葬を検討している方を対象に、
○無宗教葬の概要
○メリット・デメリット
○流れの一例
○注意点
についてご説明します。
無宗教葬を選択する際の参考にしていただければと思います。
1.無宗教葬とは
1-1概要
<無宗教葬の意味>
「無宗教葬」とは、特定の宗教・宗派のしきたりにこだわらない葬儀・告別式のことを指し、「自由葬」とも呼ばれます。
宗教色を排除するわけではありませんので、読経や焼香のように、宗教上の儀礼が組み込まれることもあります。
<社葬・団体葬での無宗教葬>
「社葬」「団体葬」とは、企業や各種団体などが主催する葬儀のことです。
幅広く多様な参列者をお迎えできるため、無宗教葬として行われることが多くなっています。
名称は「葬儀・告別式」のほか「お別れの会」「偲ぶ会」などがよく使われています。
このため、宗教色のない葬儀といえば、社葬や団体葬をイメージする方が多いかもしれません。
<近年増加している無宗教葬>
前述の社葬や団体葬に限らず、ごく一般的な葬儀・告別式でも無宗教葬が増えています。
自由度が高いため、儀式をシンプルにしたり、逆に独自の趣向を凝らしたりなど内容はさまざまです。
<無宗教葬と会場>
例えば、「ホテル葬」と称されるように、ホテルは無宗教葬で利用されることの多い会場です。
しかし、ご遺体の安置には対応していないため、お顔を見ながらのお別れはできません。
日を改めて、お別れの会などを行う際の会場となります。
この場合、あらかじめ身内のみで通常の葬儀・告別式を営むか、火葬のみを行うため、葬儀社への依頼が必要です。
1-2特徴
故人様や遺族の意向に応じて、自由に葬儀内容を企画できることが大きな特徴です。
以下、儀礼としてよく行われるものを挙げます。
■黙祷(もくとう)
席を立ち、軽く頭を下げて目を伏せ、無言のまま祈りを捧げます。
■献奏(けんそう)
故人様が好きだった曲を流したり、演奏したりします。
献奏をメインにした無宗教葬を「音楽葬」と呼ぶこともあります。
■献花(けんか)
故人様に花を手向けて別れを告げます。
■献灯(けんとう)
ろうそくに火を灯し、故人様に捧げます。
■読経(どきょう)
(僧侶をお呼びせず)参列者がお経を読みあげます。
■焼香(しょうこう)
香を焚いて拝みます。
■故人様の略歴紹介
司会者が読み上げます。
■弔辞(ちょうじ)・お別れの言葉
故人様の思い出や功績に触れながらお別れの言葉を贈ります。 友人や職場関係者などから選ばれることが多いです。
その他、内容は多岐にわたります。
1-3補足:直葬との違い
「直葬(ちょくそう、じきそう)」は、限られた身内だけで火葬のみ行うことをいいます。
葬儀・告別式を省略したシンプルなお見送りとなります。
一方、「無宗教葬」は、参列者の規模はさまざまですが、無宗教で葬儀・告別式を行う点が「直葬」と異なります。
ただし、直葬も無宗教葬(の一種)といわれることがありますので、違いを理解した上で選択しましょう。
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2.無宗教葬を選ぶ理由
2-1信仰する宗教がないため
無宗教の方や、宗教の儀礼に従う葬儀に違和感を覚える方が積極的に選択しやすい形式といえるでしょう。
<補足:信仰の有無と無宗教葬>
無宗教葬は、必ずしも無宗教の方が選択するわけではありません。
信仰する宗教の有無に関わらず、故人様や遺族の意向に基づいて選ばれます。
中には、家族内で信仰する宗教が異なるため、無宗教葬で行うことがあります。
例えば、遺族は仏教、故人様はキリスト教の信者というケースです。
この場合、菩提寺と教会には無宗教葬で行う旨をお伝えし、了解を得る必要があります。
2-2故人様らしい葬儀を行いたいため
故人様が好きだった曲をかけたり、花を手向けたりすることで、参列者の方に故人様への思いを深めていただけます。
2-3故人様の遺志のため
故人様が生前、無宗教葬を希望していたため、その遺志を尊重するケースです。
2-4補足:社葬・団体葬を行うため
1-1概要で触れたように、無宗教葬で行われることが多くなっています。
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3.無宗教葬のメリット
3-1故人様らしさをより多く反映できる
故人様の趣味や個性、意向を随所に反映させることができます。
また、生前に自ら葬儀内容を企画し、自分らしさにこだわることもできます。
具体的には、次のような例があります。
○生前の映像や写真を流す。
○作品(写真、書画、歌・詩歌など)を展示する。
○趣味の道具を飾る。
○趣味嗜好を花祭壇などで表現する。
○勲章や表彰状を飾る。
3-2参列者の印象に残りやすい
オリジナルな内容が参列者の心に深く刻まれ、後々まで故人様を偲んでいただけるでしょう。
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4.無宗教葬のデメリット
4-1内容を決めるのが大変
無宗教葬には特定の形式が存在しないため、遺族が主導して葬儀の内容を考える必要があります。
4-2準備が大変
内容次第ですが、準備に手間や時間を要することがあります。
大切な人を失った遺族が、心に余裕のない状況で準備に追われるかもしれません。
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5.無宗教葬の注意点
5-1菩提寺がある場合は相談が必要
無宗教葬を行ったご遺骨は、菩提寺内のお墓に納骨できない可能性が高いです。
事前に菩提寺へご相談しましょう。
5-2家族・親族への相談が必要
伝統的な宗教葬に思い入れのある方は、無宗教葬を受け入れにくいかもしれません。
家族・親族には、無宗教葬で行いたい理由を説明し、理解を得ることが大切でしょう。
5-3無宗教葬に対応できる葬儀社を選ぶ
内容次第では、遺族をサポートする葬儀社に、企画力や提案力が必要となります。
できれば事前に、無宗教葬に対応可能な葬儀社を選び、相談しましょう。
5-4参列予定者に無宗教葬で行う旨を知らせる
通常の葬儀とは異なる形式に戸惑いを覚える方がいるかもしれません。
事前に無宗教葬で行うことをお知らせしましょう。
もし、平服やカジュアルな服装での参列を依頼する場合は、あわせて伝えます。
5-5葬儀後の供養についても考えておく
無宗教葬を行った場合、必ずしも宗教の儀礼による供養にこだわる必要はありません。
しかし、供養の方法に指針がないため、戸惑う方も少なくありません。
そのような場合、仏教の形式に倣って行うことがあります。
例えば、
○四十九日、一周忌などのタイミングに遺族だけでお参りをする。
○生前のお名前で位牌を作成し、仏壇にお祀りする。
などです。
中には、やはり正式な供養をしたいとの希望で、僧侶から戒名を授かり、法要を行う方もいます。
無宗教葬を選ぶ際は、供養の方法についても考えておきましょう。
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6.無宗教葬の流れ
無宗教葬では自由に葬儀内容を決めますので、標準的な流れがあるわけではありません。
ここでは、葬儀・告別式を無宗教葬で行う場合の一例を紹介します。
①開式の挨拶
↓
②黙祷
↓
③挨拶(無宗教葬を選んだ背景などを話す)
↓
④故人様の略歴紹介
↓
⑤お別れの言葉(スピーチ)
↓
⑥献花または焼香
↓
⑦弔電拝読
↓
⑧喪主の挨拶
↓
⑨柩(ひつぎ)へのお花入れ・最後のお別れ
↓
⑩閉会の挨拶
↓
⑪出棺
所要時間は通常の葬儀同様、40分~1時間以内を目安にするとよいでしょう。
<補足:通夜>
無宗教葬では、通夜の有無や形式も自由です。
行う場合でも、儀式を省き、参列者がゆっくりと故人様とのお別れをする時間にすることもできます。
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7.無宗教葬の費用
無宗教葬は内容次第で費用が変わりますので、相場はありません。
僧侶へのお礼(お布施)がない分だけ費用を抑えられますが、内容によっては逆に増える可能性もあります。
例えば、生演奏を行う場合、プロを手配するのか、家族や友人が演奏にするかによっても異なります。
内容を考える際に、費用を見積もりながら検討しましょう。
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8.よくある質問
Q:私は無宗教ですが、葬儀では僧侶をお呼びしたり、戒名をもらったりしないといけないのでしょうか?
A:無宗教葬では、特定の宗教による儀式を行いませんので、通常は僧侶をお呼びしたり、戒名をいただいたりすることはありません。
無宗教の方でも、もし葬儀に僧侶をお呼びし、戒名を授かると、仏教による宗教葬となります。
Q:自分でつけた戒名の位牌を置いたり、録音したお経を流したりしてもよいのでしょうか?
A:無宗教葬では、自由に内容を決められますので、可能です。
ただし、戒名や読経には宗教上の意味があるため、それを重んじるのであれば、正式な仏教の葬儀をお勧めします。
なお、菩提寺のある方は注意が必要です。
自分でつけた戒名の場合、寺院内にあるお墓への納骨は難しい可能性が高いです。
事前に菩提寺とよく相談しましょう。
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9.まとめ:無宗教葬はメリット・デメリットを理解した上で選択しましょう
ここまで、無宗教葬の概要についてお話してきました。
<ポイント>
○無宗教葬は、宗教のしきたりにとらわれない自由な葬儀。
○宗教的な儀礼を排除するわけではない。
○葬儀内容を自ら考える必要がある。
○菩提寺がある場合は事前に相談が必要。
○供養の方法まで考えておくとよい。
近年では、終活の一環として検討した結果、無宗教葬を希望する方が増えています。
しかし、実際にその時が訪れると、遺族は深い悲しみに包まれ、葬儀の内容を考える余裕はないかもしれません。
一方、従来の宗教葬であれば、宗教者の導きに従って粛々と進められるため、遺族によっては安心感や心の支えを得られることもあります。
遺される方々のお気持ちに配慮し、ご家族と一緒に葬儀の形式や内容を検討するとよいでしょう。
また、あらかじめ葬儀社への相談もお勧めします。
内容によっては、葬儀社や斎場の設備やルール上、実現できないことがあるためです。
全国儀式サービスの加盟葬儀社は約500社です。
地域に根差した長年の実績を持ち、誠実で安心してお任せできる葬儀社のみ契約していますので、ぜひ事前にご相談ください。
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