お盆に行うこと|意味や時期、新盆(初盆)の供養も紹介
2023年12月19日更新。
お盆の時期には、実家に帰省される方もいらっしゃると思います。
2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へと変わり、行動制限が見直されました。
今年こそ「久しぶりに帰省」という方が多いのではないでしょうか。
お盆はご先祖様を偲ぶ大切な期間ですが、実は、お墓参り以外にも行うことがあるのをご存じですか。
この記事では、お盆におけるオーソドックスな供養について紹介していきます。
まずは意味や行いを知っておきましょう。
その上で、地域の風習も加味しながら、親族と相談してやり方を決めていきましょう。
きっと、より良い供養ができると思います。
ぜひ参考にしてみてください。
【もくじ】
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1.お盆の意味
お盆は、仏教でお盆を指す「盂蘭盆会(うらぼんえ)」に由来します。
お盆には、先祖の霊をお迎えして供養する儀式を行います。
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2.お盆の起源
釈迦(しゃか)が弟子の目連(もくれん)の母を救うため、7月15日に供養するよう目連に勧めた「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が始まりとされています。※1
この盂蘭盆会と、古代インドで仏教以前に行われていた農耕儀礼および日本古来の先祖信仰が結びついて「お盆」となりました。
※1:盂蘭盆会(うらぼんえ)についてのより詳しい内容は、このページの最後をご参考ください。
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3.お盆の時期
もともとは旧暦の7月15日でした。
現在では、7月または8月の13~16日の4日間とする地域が多いようです。
13日をお盆の入り、16日をお盆明けとして、この4日間にお盆の行事が行われます。
お盆の時期が7月と8月で分かれるのは、明治時代の改暦が影響しています。
●7月:東京都・神奈川県など。新暦の7月15日に合わせた形。
●8月:全国的に多い。旧暦の7月15日の時期に該当するため。
※新暦の7月は農業の繁忙期にあたることもあり、特に農村部では避けられたようです。
なお新暦(太陽暦)に対し、旧暦は太陰太陽暦と呼ばれ、月の満ち欠けをもとにした暦です。
15日は必ず満月になる日でした。
そのため昔は盆踊りも満月の明かりの下で行われていたそうです。
ちなみに2023年は、8月30日が旧暦の7月15日にあたります。
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4.お盆に行うこと
関東地方における一般的な例を紹介しています。地域によって詳細な部分は異なります。
■13日
<朝>
仏壇を清掃します。
次に精霊棚(しょうりょうだな)をつくります。
※お墓はお盆前に清掃を済ませておきます。
<午前中>
位牌を中心にして盆花、野菜、果物などを飾ります。
迎え団子をお供えします。
<夕方>
盆提灯に灯りをともします。
家の門口でオガラを燃やし、迎え火を焚きます。
■14日
芋茎(ずいき:里芋やハス芋の葉柄)の和え物やナスとキュウリのごま和え、お供え団子などを、お供えします。
■15日
蓮飯(はすめし)やお供え団子、精霊馬(しょうりょううま)をお供えします。
夜には盆踊りが行われます。
■16日
送り団子をお供えします。
<夕方>
家の門口でオガラを燃やし、送り火を焚きます。
灯籠流し(または精霊流し)を行います。
■お盆期間中
僧侶に読経していただきます(棚経:たなぎょう)。
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5.お盆に関する用語
■精霊棚(しょうりょうだな)
盆棚(ぼんだな)とも呼ばれます。
お盆ならではの祭壇のようなもので、仏壇の前に小机を置き、その上に真菰(まこも)を敷いて、飾り付けして供物をお供えします。
仏壇の引き出しを精霊棚として設えることもあるようです。
位牌は、「仏壇の扉を閉めて精霊棚に置く場合」と「扉を開けたままで仏壇に置く場合」があります。
■盆花(ぼんばな)
精霊棚に飾り付けするお花のことを言います。
代表的な盆花に、鬼灯(ほおずき)、ガマの穂、禊萩(みそはぎ)などがあります。
ほおずき
ガマの穂
禊萩(みそはぎ)
■盆提灯(ぼんちょうちん)
お盆に使用する提灯です。
先祖の霊が戻ってくる際に迷わないよう照らすという意味があります。
先ほど紹介した鬼灯(ほおずき)も、盆提灯に見立てて飾ると言われています。
盆提灯には、初盆・新盆用の白提灯と、カラフルで模様の入った盆提灯の2種類があります。
白提灯は、喪家の家紋を入れ、一対にしたものが正式です。
■オガラ
麻の茎で、皮をはいだものを言います。
お盆の時期には、仏具店の他、スーパーやホームセンター、花屋などで購入できます。
■迎え火・送り火
<迎え火>
13日のお盆の入りに、先祖の霊をお迎えするために「迎え火」を焚きます。
先祖の霊が迷わずに自宅へ帰ってこられるように明るく照らすという意味があります。
家の門口の他、玄関先や庭先、お墓で焚くのが一般的です。
地域の風習によっても異なります。
<送り火>
16日のお盆明けに、先祖の霊を送り出すために「送り火」を焚きます。
先祖の霊が迷わずにあの世へ戻れるように明るく照らす意味があります。
オガラで迎え火(送り火)を焚く様子
■迎え団子・お供え団子・送り団子
<迎え団子>
盆の入りの13日にお供えします。
あんこをまぶした団子、甘辛いタレをのせた団子、シンプルな白い団子などがあります。
自宅へ戻ってこられた先祖の霊に、疲れを癒していただきたいという意味が、習俗として残っています。
<お供え団子>
先祖の霊が滞在中の14~15日にお供えします。
おはぎ、シンプルな白い団子があります。
白い団子はピラミッド型に積んでお供えする地域もあります。
ゆっくりと滞在していただきたいという意味が、習俗として残っています。
地域によっては「おちつき団子」とも呼ばれます。
<送り団子>
お盆明けの16日にお供えします。
シンプルな白い団子が一般的です。
先祖の霊があの世へ戻る際のお土産として持ち帰っていただくもので、戻った後に好きなようにして食べていただきたいという意味が、習俗として残っています。
■蓮飯(はすめし)
蓮の葉にご飯を包んだもの。
■精霊馬(しょうりょううま)
キュウリで作った馬や、ナスで作った牛のことで、精霊棚に飾ります。
<キュウリの馬>
「少しでも早くお越しください」という意味があります。
<ナスの牛>
「滞在後はなるべくゆっくりお帰りください」という意味があります。
■盆踊り
もともとは先祖の霊を慰め、無事にお送りするためのものでした。
また先祖の霊も一緒に踊れるように、お面等で顔を隠して踊られていました。
なお前述のとおり、旧暦の15日は必ず満月になる日でしたので、昔は盆踊りも満月の明かりの下で行われていました。
■灯籠流し・精霊流し
16日のお盆明けに、お盆期間のお供え物を紙製や木製の舟に乗せて灯をともし、川や海に流します。
今日では、環境に配慮して、菩提寺や地域の特設会場、自治体の指定された場所に持ち込む場合が多いようです。
灯籠(とうろう)だけ、あるいは送り火だけを流す地方もあります。
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6.お盆中の僧侶のお迎え(棚経)
先祖の霊が滞在しているお盆の間には、精霊棚の前で僧侶に読経してもらいます。
このことを棚経(たなぎょう)と言います。
僧侶はお盆の短期間でたくさんの檀家を回ります。
僧侶にお出でいただく日を、早めに僧侶にお声をかけて、決めておくと安心です。
棚経の後は、僧侶を無理に引き止めたり、大げさにもてなしたりはせず、おしぼり・飲み物を出し、涼んでいただく程度にしておきます。
御布施のお渡しも忘れないようにします。
遠方の僧侶には「御車料」、食事時には「御膳料」も別に用意します。
お盆に僧侶を招かない時は、お墓参りをした後、菩提寺に御布施を渡して供養をお願いします。
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7.新盆(初盆)の供養
人が亡くなった後、初めて迎えるお盆を新盆または初盆と言い、丁寧に供養するのがしきたりです。
忌明け前(四十九日前)にお盆になる時には、翌年が新盆となります。
新盆の供養は、法要という形をとるのが一般的です。
●通常のお盆の供物の他に、故人様の好物などをたくさんお供えします。
●親族や故人様に縁のあった方を招き、僧侶に読経していただきます。
●読経後、会食(精進料理)でもてなします。
※僧侶にお出でいただく日を、早めに僧侶にお声をかけて、決めておくと安心です。
※お招きする親族などにも、早めに連絡して出欠を確認おきましょう。
※人数が決まった後にはなりますが、会食の料理も事前に手配しておきましょう。
※僧侶へのお布施や、お供え物や香典への返礼品の準備も忘れないようにしましょう。
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8.まとめ:お盆を良い機会に、できる限りの供養を行いましょう
お盆はご先祖様および故人様を偲ぶ大切な期間です。
特に帰省される方は、普段できない分だけ、手厚く行いましょう。
都市と地方では、お店の品揃えも変わってきますので、お近くの仏壇店などでお話を聞いたり、準備しておくと良いと思います。
参考:盂蘭盆会(うらぼんえ)
その由来として、釈迦(しゃか)の弟子である目連(もくれん)の話が一説として挙げられます。
目連は、安吾の最中に、亡くなった自分の母が餓鬼道へ落ちて苦しんでいることを自身の神通力で知ります。
※安吾(あんご):僧侶たちが集まって修行すること。
※餓鬼道(がきどう):飲食できず、飢えに苦しむ世界のこと。
目連が釈迦に相談すると、釈迦は、安吾の終了した日に僧侶たちへ飲食を振る舞いように勧めました。
目連が言われたとおりに実行すると、母が餓鬼道から救われたそうです。
この日が旧暦の7月15日にあたり、僧侶に飲食を振る舞うとともに先祖の霊を供養する仏教行事として、盂蘭盆会が行われるようになったようです。