樹木葬とは?特徴、メリット・デメリット、種類や流れについて紹介
2023年12月19日更新。
近年、新たな埋葬のスタイルとして、「樹木葬」が注目を浴びています。
中には募集開始後、すぐに受付終了となるところもあり、人気の高さがうかがえます。
本記事では、ご自身やご家族が樹木葬を検討している方を対象に、
〇樹木葬の特徴
〇メリット・デメリット
〇注意点
などをご説明いたします。
いずれ永遠に眠る場所を選ぶことになりますので、後悔やトラブルのないようにしたいものです。
特に、従来のお墓とは異なる点について理解を深めていただき、参考にしていただければと思います。
1.樹木葬とは
1-1樹木葬の特徴
<樹木葬の意味>
「樹木葬」の読み方は「じゅもくそう」です。
一般的には、墓石の代わりとして、主に樹木を墓標とするお墓の総称が「樹木葬」と呼ばれています。
※墓標(ぼひょう):埋葬されていることを示すもの。
「樹木“葬”」という名称のため、「家族葬」「一般葬」のような葬儀のやり方(形式)と混同されがちですが、正しくは埋葬方法のことです。
<「樹木葬」の形態は多岐にわたる>
各霊園がアイデアを駆使し、さまざまな形態を「樹木葬」と称して提供しています。
一般的には、「樹木葬」といえば、樹木の下の土に遺骨をそのまま還すイメージだと思いますが、それに限定されません。
実際には、骨壺などの容器で埋葬するケースも多いですし、墓標が樹木以外のこともあります。
また、花壇の中に埋葬する形態も「樹木葬」と呼ばれたりします(2-2都市型(公園型・庭園型)を参照)。
「樹木葬」は、その名前が象徴する範囲を超え、自然や植物、循環(還る)をテーマにした多岐にわたる埋葬方法といえるかもしれません。
したがって、「樹木葬」を選ぶ際には、その内容をよく確認することが重要です。
■補足:「樹木葬」と「散骨」との違い
「散骨(さんこつ)」とは、「自然葬」とも呼ばれ、遺骨を埋葬せず、パウダー状に粉骨してから山や海などに散布することをいいます。
一方、「樹木葬」は遺骨を地中に埋葬する点が散骨と異なりますが、同様に「自然葬(の一部)」と呼ばれることがあります。
「自然葬」と記載されている場合には、具体的な内容をよく確認しましょう。
<樹木の墓標は「シンボルツリー」と呼ばれる>
シンボルツリーとして選ばれることの多い樹木には、以下のようなものがあります。
○桜
○ハナミズキ
○もみじ
○ヤマツツジ
○サルスベリ
○カエデ
○クスノキ
〇オリーブ
など。
樹木の種類を指定できるかどうかは霊園によります。
■補足:樹木以外の墓標もある
○花壇(草花)
○石やガラスなどで作られたモニュメント
などです。
<宗教・宗派は不問であることが多い>
■公営霊園
基本的には不問です。
■民営霊園
不問が多いですが、そうではない霊園もあります。
特に、「寺院墓地」と呼ばれ、寺院が管理している墓地の一部が樹木葬区画になっている場合です。
寺院によっては、同じ宗派であることや、戒名が必須とされていることがあります。
樹木葬だからといって、宗旨・宗派を問わず納骨できるとは限りませんので、注意しましょう。
<継承を必要としない永代供養が多い>
永代供養(えいたいくよう、えいだいくよう)とは、遺族に代わり、霊園や寺院が永年で供養とお墓の管理をしてくれることをいいます。
樹木葬では、従来のお墓のように代々の継承を必要とせず、永代供養墓としているところが多くなっています。
<許可を得た場所しか埋葬できない>
樹木のある場所、山林であればどこでもよいわけではありません。
霊園として法的な許可を得ている場所に埋葬します。
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2.樹木葬の種類
大きく分けて2種類あります。
2-1里山型
山林の自然な景観を生かし、整備が最小限にとどめられている場所に埋葬します。
もっとも「自然に還る」ことを感じられるタイプです。
■埋葬方法
地中に直接、埋葬することが多いです(土に還す)。
■区画
一区画ずつに遺骨が埋葬され、シンボルツリーが植樹されます。
■アクセス
自然の山林を利用しますので、交通の便があまりよくない場所もあります。
2-2都市型(公園型・庭園型)
主に都市部やその近郊で整備された霊園に埋葬するタイプです。
外観から更に2つのタイプに分けられます。
<公園型>
芝生や花壇などが配置され、一般の公園と同じようにトイレなどの設備もあり、美しく整然とした霊園で行われるタイプです。
都市部で自然に触れつつ、ゆっくりとお参りできることが魅力です。
■埋葬方法
骨壺などに入れて埋葬します(土の中に還すタイプは少数)。
■区画
1本~数本のシンボルツリー周辺に個別の区画があります。
■アクセス
都市部とその近郊にあるため、比較的よいです。
<庭園型(ガーデンタイプ)>
公園型のなかでも、特に庭園のように整備されたタイプで、「ガーデンタイプ(ガーデニングタイプ)」とも呼ばれています。
従来型の霊園の一角に設けられていることもあります。
イングリッシュガーデン風、日本庭園風など趣向を凝らした霊園も見受けられます。
美しい花壇の中で、永遠の眠りにつくイメージのタイプです。
■埋葬方法
骨壺などに入れて埋葬します(土の中に還すタイプは少数)。
■区画
花壇(草花)の中に埋葬されます。
■アクセス
都市部とその近郊にあるため、比較的よいです。
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3.樹木葬の納骨方法
主に3つの方法があります。
必ずしもすべての方法が可能なわけではなく、霊園によってさまざまです。
3-1個別型
申し込んだ人数に応じた区画が割り当てられ、そこに納骨します。
■区画
1区画に1本の樹木を植えます。
主に里山型で行われます。
■埋葬方法
地中に直接、埋葬します。都市型では骨壺などに入れることが多いです。
■費用
もっとも割高です。
■使用期限
期限が設けられ、その後は合祀の上、永代供養となることが多いです。
※合祀(ごうし):合わせて祀る(まつる)こと。遺骨は他の方と一緒になりますので、特定の故人様の分だけを取り出すことはできません。
3-2共同型
集合型とも呼ばれ、一つの共同スペースの中に複数の遺骨を納めるタイプです。
■区画
1本、もしくは数本のシンボルツリーを複数の区画でシェアします。
庭園型では草花だけを植えることもあります。
■埋葬方法
骨壺などに入れた状態での埋葬が多いです。
■費用
個別型よりも割安です。
■使用期限
期限が設けられ、その後は合祀の上、永代供養となることが多いです。
3-3合祀型
他の方の遺骨と一緒に合祀するタイプです。
■区画
1つの区画に、不特定多数の方と一緒に埋葬されます。
墓標はモニュメントのことが多いです。
■埋葬方法
地中に直接(土に還す)、もしくは納骨袋に入れて埋葬します。
■費用
もっとも割安です。
年間管理費も不要の場合が多いです。
■使用期限
期限がないことがほとんどです(永代供養)。
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4.樹木葬の費用の内訳
ここでは費用の目安となる項目をあげます。
霊園によっては不要なもの、名称が異なるもの、その他の費用が必要となるところもあります。
内訳とその内容をよく確認しましょう。
4-1使用料
土地を使用するための料金です。
地価に応じて高くなりますので、都心は高い傾向にあります。
相場は、霊園の立地、埋葬を希望する人数や場所によりますが、一人あたり20万円~100万円程度といわれています。
4-2埋葬料
遺骨を埋葬する際に必要となる料金です。
4-3銘板の製作料
埋葬場所の目印として、銘板(プレート)を作成する場合の料金です。
文字やイラストなどを彫刻します。
4-4年間管理料
霊園の維持・管理にかかる料金です。
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5.樹木葬のメリット
5-1良い風景の中でお参りできる
自然や、植物の美しさに配慮された霊園の中で、落ち着いて心地よくお参りできるでしょう。
5-2自然に還ることができる(里山型)
里山型は、自然豊かな場所に霊園があります。
遺骨を地中に直接埋葬することが多く、死後「自然に還る」ことを重視したい方には最適でしょう。
5-3お墓をつくるのと比べると比較的安価
従来のお墓は、土地の使用料のほか、墓石と工事代に多額の費用がかかります。
樹木葬は、区画や埋葬方法、利用する人数次第ですが、従来型のお墓と比べて安価といえます。
墓石にお金をかけたくない(かけられない)という方にはよいでしょう。
5-4お墓の継承を考えなくてよい
従来のお墓は、通常、代々の子孫が継承していくものですが、少子化や非婚化などの影響により、継承者のいないお墓が増えつつあります。
樹木葬は永代供養を前提としているところが多いため、継承の心配がないといえます。
5-5ペットと一緒に納骨できる霊園もある
ペットを家族の一員として一緒に埋葬してほしい方は、詳細を確認しておきましょう。
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6.樹木葬のデメリット
6-1お参りの対象が漠然としていて、実感が湧きにくい
樹木や草花ではお参りの対象と考えにくい方もいらっしゃるかもしれません。
お参りする方の気持ちに配慮することも必要でしょう。
6-2樹木が枯れる、倒れる場合がある
植物ですので、枯れたり倒れたりする可能性があります。
再度植樹ができるかどうかや費用については、あらかじめ確認しておきましょう。
6-3季節によっては風景が寂しくなる
樹木の葉や花が落ちるシーズンには、物寂しいと感じるかもしれません。
自然の移ろいとして受けとめるか、気になる方は従来のお墓も検討してみましょう。
6-4アクセスが悪いと、お参りに行きにくい
自然豊かな場所にあると、交通の便があまりよくないことがあります。
遺族にとってお参りしやすい場所か確認しましょう。
6-5納骨した場所が、分からなくなる場合がある
(里山型の場合)樹木が生育し形状が変わります。
また周囲の環境が変化し、故人様のシンボルツリーがわからなくなることがあります。
6-6粉骨した状態での納骨が必要な場合がある
心情的に受け入れがたい方は、粉骨が不要な埋葬方法や霊園を検討してみましょう。
6-7後から遺骨を取り出せない場合がある
取り出しの可否は、埋葬方法によって、また霊園によっても異なります。
一般的には、次のとおりです。
〇個別型、共同型では可能なことが多いが、遺骨を土に還す方法では、難しいことが多い。
〇合祀型の場合、他の遺骨と混ざるため不可能。
改葬の可能性がある方は、取り出しできる方法を選択するか、樹木葬以外を検討しましょう。
※改葬(かいそう):遺骨を別の埋葬場所に移すこと。
6-8納骨する人数が増えると割高になる場合がある
料金体系によりますが、樹木葬は一人または夫婦での契約が多く、先祖や子孫などと一緒に埋葬する場合には、従来のお墓を新たに作るよりも割高になる可能性があります。
6-9お墓が無いため、継承することが出来ない
樹木葬には使用期限があり、その後は合祀されることが多いです。
従来のお墓とは異なり、継承ができないため、先祖や子孫と同じお墓に入りたい方には向いていないといえます。
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7.樹木葬の流れ
霊園の選定から、実際の納骨にいたるまでの流れや手順を説明します。
7-1情報収集
霊園のパンフレットやインターネットなどを利用します。
7-2見学
交通の便も確認できますので、実際に現地へ見学に行きましょう。
見学予約が必要な場合はあらかじめ連絡をしておきます。
7-3申し込み
じっくり検討の上、申し込みしましょう。
7-4契約
契約を交わします。
7-5入金
料金をお支払いします。
7-6使用許可証の受け取り
霊園から使用許可証を受け取ると、埋葬が可能となります。
7-7納骨(埋葬)
遺骨を埋葬する際には、「埋葬許可証」が必要です。
○火葬後、火葬場から「埋葬許可証」を受け取ります。
○納骨当日は、霊園に遺骨と埋葬許可証を持参し、納骨(埋葬)します。
7-8法要
納骨時に法要を行う場合は、あらかじめ寺院に依頼しておきます。
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8.樹木葬の注意点
8-1現地を確認する
パンフレットやインターネットの情報だけでは把握しきれないことがあります。
○立地やアクセス
○雰囲気
○霊園内外の環境・設備
○管理状態
など、実際に足を運んで確認しましょう。
8-2納骨方法を確認する
3.樹木葬の納骨方法を参考に、確認します。
8-3事前に家族・親族へ同意を得る
遺族として、実際に埋葬やお参りをしていただくことになりますので、同意を得ておきましょう。
もし従来型のお墓があれば、お墓を撤去すること(墓じまい)や改葬なども検討する必要があります。
8-4規約を確認する
管理方法や費用、参拝ルールなど、重要事項は規約に記載されていますので、確認します。
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9.よくある質問
Q:樹木葬の葬儀に対応していますか?
A:誤解を生みやすいのですが、樹木葬は葬儀のやり方ではなく、埋葬方法(お墓)のことです。
葬儀については、別途ご検討いただく必要があります。
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10.まとめ:樹木葬は内容を十分確認してから申し込みを
ここまでの説明を通じて、樹木葬について理解を深めていただけたかと思います。
さまざまな特徴やメリットを考慮すると、樹木葬が適しているのは以下のような方々といえるでしょう。
〇自然に還りたい。
○お墓を持っていないし、菩提寺もない。
○自分や夫婦だけのお墓が欲しい。
〇お墓の世話を子孫にさせたくない。
○独り身なので供養してくれる人がいない。
〇永代供養してほしい。
また、樹木葬を検討されている方は、葬儀の方法を含め、終活の一環として取り組まれているケースが多いようです。
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