お布施の準備-意味や相場、書き方・入れ方・渡し方をまとめて紹介
2023年12月19日更新。
葬儀や法要の際、お寺への謝礼を金銭でお渡しすることや、「お布施」という言葉はご存知だと思います。
しかし、金額の決め方や渡し方の作法はわからないという方が多いのではないでしょうか。
本記事では、初めての方でもきちんとお布施をお渡しできるように、
◯お布施の意味
◯金額の相場
◯準備方法
◯具体的な渡し方
などをご説明します。
お金に関することは何かと気遣いを要するものです。
お寺と良好な関係を築くためにも、決まりごとやマナーを押さえて、準備しましょう。
1.お布施とは
1-1お布施の意味
「お布施」の読み方は「おふせ」です。
葬儀や法要などでお世話になった僧侶・お寺に対し、お礼と感謝の気持ちでお渡しする金銭のことをいいます。
<本来のお布施とは>
仏教の教えにおける「布施」とは、「人に施しを与えること」です。
布施には、「金品の施し」を意味する「財施(ざいせ)」があります。
一般的には、僧侶・お寺へお渡しする財施(特に金銭)を「お布施」と呼ぶようになっています。
1-2神道・キリスト教の場合
「お布施」は仏式用語ですので、神道・キリスト教では使用しません。
宗教者への謝礼は、以下の名目でお渡しします。
◯神道:「御祭祀料」「御祈祷料」「御礼」
◯キリスト教:「献金」「御花料」「御礼」
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2.お布施の種類
2-1お布施として渡すもの
大きく分けて、次の二つに対してお礼をします。
<読経>
◯通夜・葬儀
◯四十九日、初盆、一周忌などの法要
◯新しい位牌や仏壇、墓石の開眼供養(かいげんくよう)
など、お経を読んでいただいた時です。
<戒名>
戒名を授かった場合です。
戒名は生前に授かることもできますが、多くは葬儀の時です。
この場合、読経のお礼と分けずに一括して「お布施」としてお渡しすることが多いようです。
<補足:呼び方に注意>
読経や戒名は、商品やサービスではありません。
「読経料」「戒名料」のように、対価であるかのような呼び方は適切でない、とお考えのお寺もありますので、表現に注意しましょう。
2-2状況によって渡すもの
正しくは「お布施」ではありませんが、お渡しする金銭には以下のものがあります。
<御車代:おくるまだい>
御車料(おくるまりょう)と呼ぶこともあります。
葬儀または法要の場所まで足を運んでいただいた交通費としてお渡しするものです。
家族・親族が送迎したり、タクシーの手配をしたりする場合、お渡しする必要はありません。
<御膳料:おぜんりょう>
葬儀または法要後の会食に僧侶が参加されない場合、食事の代わりにお渡しするものです。
会食を行わず、折詰の料理をお渡しする場合、御膳料は不要です。
<式場使用料>
お寺を借りて葬儀や法要を行った場合の場所代です。
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3.お布施の金額相場
3-1通夜・葬儀
<金額は相談する>
◯菩提寺がある場合、菩提寺に金額をご相談します。もしくは、同じ菩提寺にお墓を持つ親戚や、檀家総代に訊くのもよいでしょう。
◯菩提寺がなく、葬儀社に手配を依頼したお寺の場合、葬儀社に相談します。
<金額の相場>
前述の通り、読経と戒名のお礼を区別せず、まとめて「お布施」としてお渡しすることが多いようです。
このため、金額は戒名の位(ランク)の他、宗派や地域などによって大きく変わります。
一例として、関東地方における戒名の違いによるお布施の相場は下記の通りです。
◯院居士・院大姉 100万円以上
◯居士・大姉 50万円前後
◯信士・信女 30万円前後
※戒名について詳しくは
戒名とは|いつまでにどうやって付けてもらう?意味や構成、宗派ごとの違いも紹介
を参照してください。
<初七日法要のお布施も含む>
昨今、葬儀・告別式当日に初七日法要も行うことが一般的になってきました。
このため、初七日法要のお布施も含めた金額でお渡しすることが増えています。
3-2法要
お布施の金額は、宗派や地域、お寺との関係などにより大きく異なります。
もし、あまりにも地域の相場からかけ離れた金額にした場合、菩提寺と他の檀家との関係に支障を来たすおそれがあります。
そのような事態を避けるため、金額はお寺に相談しましょう。
一般的には以下の金額が相場といわれています。
<忌日法要・回忌法要>
◯初七日法要 3万円程度
◯四十九日法要 3万円~5万円
◯一周忌法要 3万円~5万円
◯三回忌法要以降 1万円~5万円
<その他>
◯納骨式 1万円~5万円
◯初盆(新盆) 3万円~5万円
◯翌年以降のお盆 5千円~2万円
◯位牌、仏壇の開眼供養 1万円~5万円
◯お墓の開眼供養 3万円~5万円
※補足:例えば四十九日法要の際に、納骨式や開眼供養も行うなど、複数の仏事を依頼する場合は、それぞれにお布施が必要となります。
ただし、仏事ごとの金額を合計するのではなく、一式として相応の金額をお渡しすることが多いようです。
詳しくは、菩提寺か、菩提寺が同じ親戚、檀家総代に確認するとよいでしょう。
3-3状況によって渡すもの
<御車代>
近郊であれば、5千円~1万円ぐらいが相場です。
遠方から来ていただいた場合は、それに見合う金額にします。
<御膳料>
5千円~1万円ぐらいが目安です。
※補足:僧侶が複数名の場合、御車代、御膳料は人数分の金額を用意し、全員分を一つの袋に入れます。
<式場使用料>
お寺に相談してください。
3-4補足:お布施でダメな金額はある?
一般的に祝儀や香典では、偶数(割り切れる)、「4・9」(死・苦を連想させる)を忌み数として避ける慣習があります。
お布施は感謝を伝えるものですので、これには該当しませんが、気になる方は避けるとよいでしょう。
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4.お布施で準備するもの
4-1準備物の一覧
◯お金
◯奉書紙(ほうしょし)か封筒
◯筆か筆ペン
◯袱紗(ふくさ)か切手盆(きってぼん)
<お金>
弔事では新札を避けますが、お布施は感謝の気持ちを伝えるものですので、新札でも構いません。
汚れや傷みのひどいものは失礼にあたりますので使用を控えましょう。
<奉書紙か封筒>
「奉書紙」もしくは「封筒」にお金を入れてお渡しします。
詳しくは4-2封筒の選び方を参照してください。
<筆か筆ペン>
薄墨ではなく、濃墨を使用します。
ボールペンやサインペンは避けます。
<袱紗か切手盆>
お布施を直接手渡しすることは失礼にあたりますので、袱紗か切手盆を使用します。
◯袱紗
お金が入った金封を渡す時に使う小さな風呂敷です。台付きのものや金封タイプのものもあります。
◯切手盆
金品を渡す時に使用する小さなお盆です。
4-2封筒の選び方
お布施を入れる袋は、次のいずれかです。
<奉書紙(ほうしょし、ほうしょがみ)>
奉書紙とは、白い厚手の和紙のことです。
半紙でお札を包んで「中包み(内包み)」を作り、それを奉書紙でくるんだものは「外包み(上包み)」といいます。
最近では、内包み用の封筒と、折りたたまれた外包みがセットになっているものが販売されており、便利です。
<封筒>
無地の白封筒です。
◯郵便番号欄なしで、厚手のものを選びます。
◯二重封筒は「不幸が重なる」を想起させますので避けます(別の封筒を使った中袋も不要)。
◯葬儀の時は、葬儀社が用意してくれる場合もありますので確認してみましょう。
<不祝儀袋>
不祝儀袋は本来、お渡しする方にご不幸があった場合に使用するものですので、お布施を不祝儀袋に入れるのは失礼にあたる、とされています。
しかし、文房具屋などには「御布施」と印刷された不祝儀袋も販売されています。
もし不祝儀袋を使用する場合は、結び切りの白黒または銀の水引が一般的です(関西以西では黄白も使用)。
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5.お布施(封筒)の書き方
奉書紙か縦長の封筒を使用しますので、すべて、縦書きで記載します。
5-1奉書紙の場合
<中包みの書き方>
■表側
◯中央上:金額
◯金額は「金××円也」と記載。金額の漢数字は旧字体。
■裏側
◯左下:郵便番号・住所・喪主の名前
■参考:漢数字「一~十、千、万」の旧字体
一→壱
二→弐
三→参
五→伍
十→拾
千→仟
万→萬
(四、六~九は新字体と同じ)
<外包みの書き方>
■表側
◯中央上:御布施
■裏側
(記載事項なし)
5-2封筒の場合
■表側
◯中央上:御布施
◯中央下:喪主の氏名または苗字(○○家)
■裏側
◯左下:郵便番号・住所・金額
5-3補足:状況によって渡すもの
「御車代」「御膳料」「式場使用料」は、別々の封筒を用意し、名目を表書きします。
その他の記載方法は、お布施と同じです。
以下、封筒を使う場合の記載例です。
○御車代
○御膳料
○式場使用料
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6.お布施の入れ方・包み方
6-1奉書紙と半紙の包み方
まず、お札を中包みしてから、外包みをします。
<中包み>
①すべてのお札の向きを揃えます。
②半紙を広げます。
③お札の肖像画が上部になるように置きます。
④半紙を折りたたみます。
<外包み>
①奉書紙の裏面(ざらざらした面)を拡げます(つるっとした方が表面)。
②中包みの表面上部が上になるように置きます。
③奉書紙を左、右、下、上の順に折りたたみます。
6-2封筒へのお札の入れ方
①すべてのお札の向きを揃えます。
②お札の肖像画が、封筒の表面の上部になるようにして入れます。
6-3袱紗を使ったお布施の包み方
お布施の準備が整ったら、袱紗で包むか、切手盆に載せます。
いずれを使用しても構いませんが、切手盆ならお布施を載せるだけですので、袱紗よりも扱いやすいでしょう。
葬儀の際は、葬儀社が切手盆を用意してくれることもありますので、確認してみましょう。
ここでは、袱紗を使った包み方を説明します。
<風呂敷タイプ>
※留め具の付いた「爪付き」を例にします。
①爪の部分が左にくるように袱紗を菱形に広げます。
②お布施の表側上部を上にし、中心からやや右に置きます(台付き袱紗の場合は、台の上に置きます)。
③「左開き(左が上)」となるように、右、下、上の順にたたみます。
④袱紗の左を折り、端を裏側に回し、爪を留めます。
※補足:台付き袱紗の場合、台の色が慶弔で異なる場合は、弔事用を表面にします。
<金封タイプ>
①袱紗の向きを、右側がポケット、左側を蓋にします。
②お布施の表側上部を上にして、ポケットに挟みます。
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7.お布施の渡し方
7-1渡すタイミング
<通夜・葬儀の場合>
通夜や葬儀の開式前が多いようですが、式終了後にお渡しするケースや、葬儀の翌日以降、お寺へお礼に伺い、その時にお渡しすることもあります。
<法要の場合>
法要が始まる前か後のご挨拶時がよいでしょう。
7-2渡し方
<誰が渡すか?>
■通夜・葬儀の場合
「葬儀費用を負担する人」を「施主(せしゅ)」といい、本来は施主からのお渡しとなります。
一般的には「遺族の代表」である「喪主」と施主は同じ方が務められることが多いですが、喪主と施主が異なる場合は、どちらからお渡ししても問題ありません。
■法要
これといった決まりはありませんが、遺族の代表者からお渡しします。
<お布施の向きと重ね方>
御車代や御膳料と一緒に渡す場合は、お布施を一番上にして重ね、向きを揃えます。
<手順>
■袱紗を使用する場合
①あらかじめ袱紗でお布施を包んでおき、持参します。
②僧侶の前で、正座をして姿勢を正します。
③挨拶をします。
④僧侶の前で袱紗を開き、僧侶から見て表書きが正面になるように、右回りで袱紗の向きを変えます(お布施を回さない)。
⑤袱紗を両手で差し出してお渡しします(台付き袱紗の場合は、台を外さない)。
⑥僧侶がお布施を受け取られたら、袱紗を戻します。
■切手盆を使用する場合
お布施を切手盆の上に載せて持参します。
お渡しの手順は、袱紗と同じです。
<渡す際の言葉・挨拶>
■式・法要前
「この度の葬儀(法要)では、お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。」
■式・法要後
「本日はお勤めいただきありがとうございました。」
など。
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8.よくある質問
Q:お布施とお車代を別々にせず、一つに包んでもよいのでしょうか?
A:別々にしなければならない決まりはありませんが、分けて包む方が丁寧でしょう。
Q:お布施は、相続税の控除対象になりますか?
A:葬儀のお布施は控除対象ですが、法要のお布施(初七日法要も含む)は対象外です。
この他にも控除対象になるもの、ならないものがあり、相続に関する手続は専門家にお任せした方が安心です。
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詳しくは家族のための相続手続をご参照ください。
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9.まとめ:お布施はマナーを守り、感謝の気持ちをこめてお渡ししましょう
ここまででお布施の意味、準備の仕方、渡し方などご理解いただけたと思います。
とはいえ、葬儀で初めてお布施を渡す際には、やはり戸惑ったり緊張したりするかもしれません。
そのような時、葬儀社からのきめ細かいフォローがあると安心です。
全国儀式サービスでは、地元の慣習やお寺に詳しく、実績と信頼のある葬儀社をご紹介しております。
お客様から葬儀社に対する感謝の声を多数いただいておりますので、以下に一部をご紹介いたします。
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10.お客様の声
※お客様アンケートからの抜粋です(読みやすくするため、一部表現を加筆・変更しています)。
「細かなことでも丁寧に教えてくれました。お布施を渡すタイミングを前もって教えてくれていましたが、当日良いタイミングで声を掛けてくれて、住職の所まで連れて行ってくれました」
「お寺のお布施に対する考え方や金額等、丁寧に教えていただきました」
「全日程すべてにおいて懇切丁寧に手配と説明してくださって、喪主他、一同感謝しております。お布施関連は、皆知識がなく、とても助けていただきました」
「お布施の準備にアドバイスをしてもらい、袋の手配や代筆をしてもらい助かりました」
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24時間365日、葬儀のご依頼・ご相談を受け付けております。
早朝・深夜、祝日・連休・年末年始も、気兼ねなくご連絡ください。
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