香典の準備について-金額、香典袋の選び方、入れ方、当日の渡し方まで紹介
2023年12月19日更新。
「葬儀に参列することになったけど、香典ってどうやって用意したらよいの?」といったお悩みを解決します。
香典は仏式の葬儀で霊前にお供えするものですが、ここでは神式およびキリスト教の葬儀についても、併せてご紹介いたします。
【もくじ】1香典の意味2準備するもの3香典の金額4香典袋の選び方5香典袋の書き方6お札の香典袋への入れ方7香典袋の袱紗への入れ方8当日の香典の渡し方・参列できないが香典を渡したい場合9まとめ:香典は参列の前日までに用意できると安心です |
1香典の意味
<一般的な意味>
香典は、仏式での葬儀において、故人様の霊前にお香やお花の代わりに供える金銭のことをいいます。
また家族(の大黒柱)を亡くした遺族を思いやり、経済的に支援するためのものでもあります。
<本来の意味>
儀式における「お香」のことを指します。
つまり、通夜や葬儀・告別式での焼香を指します。
焼香には抹香(まっこう)が使われるのが一般的ですが、昔はものすごく高価なものだったため、用意してくれた遺族に対して金品を贈ったことが名残となり、現在に至ります。
今日では金銭を贈りますが、昔は喪に服した生活を送る遺族のために、香の代わりにお米や野菜を贈る地域もありました。
<香典を辞退する場合もある>
最近、関西(特に大阪)では、遺族が香典を辞退するケースが増えています。
理由は、
○参列者に負担を掛けたくない
○香典返しの手間を省く
○家族葬が増えてきた
などがあるようです。
香典の準備をしておいて、当日の斎場での受付係の応対に従うようにしましょう。
<補足1>
本来の意味を踏まえると、「香典≒弔意を示すもの」には当たらないため、故人様および遺族への弔慰(ちょうい)を深く示す際には、供花や供物を贈ります。
<補足2>
香典は、仏式の葬儀に特有のものであり、神式やキリスト教式の葬儀では、本来は、香典とは言いません。
○神式では、御玉串料、御榊料
○キリスト教式では、御花料
と呼ばれます。
かつては持って行かなかったものですが、仏式の葬儀が日本の葬儀全体の約9割を占めるため、経験の多い仏式の葬儀に倣う形で登場し、金銭を贈るようになりました。
<補足3>
葬儀社からの見積書や請求書の中に記載のある「線香代」が高く感じられるのは、抹香や香炭(こうずみ:お香を焚くための炭)等の費用が含まれていることが理由です。
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2準備するもの
<一覧>
①お金
・折り目のついたお札。新札は避ける。
※葬儀のために用意していたと思われないため。
②香典袋(不祝儀袋)
・葬儀の形式(宗教)に合わせた袋。
③筆ペン
・薄墨の筆ペン。弔事用。
④袱紗(ふくさ)
・グレーや紺など、寒色のもの。
急用で準備する場合は、実店舗で購入することが多いと思います。
スーパーやコンビニの他、最近では100円均一のお店でも揃えられるようです。
特に②香典袋(不祝儀袋)は、100円均一のお店での品揃えが豊富になってきました。
また、適した不祝儀袋が見つからない場合は、デパートや本屋の文具コーナーを探してみるのも一案です。品揃えが豊富な傾向にあります。
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3香典の金額
<人と相談して決める>
親族の葬儀の場合…親族の年長者
知人の葬儀の場合…参列する人
と相談して決めましょう。
故人様が仕事関係の場合は、同僚等と相談して、一定の金額に合わせることがあります。
※個人的に親しかった場合を除く。
<関係性や立場も考慮する>
香典の金額は、
○故人様の社会的地位
○故人様が住んでいた地域でのしきたり
○自分と故人様の関係の深さ
例:習い事で師事していた 等
○自分の社会的地位
等によっても異なります。
ただし、身分不相応に背伸びして多く贈る必要はありません。
<NGな数字に注意する>
4:「死」を連想させるため。
9:「苦」を連想させるため。
※地域や場合によって異なります。
<参考:香典の金額の相場>
○故人様が以下(親族)の場合
親:10万円
兄弟姉妹:3万円
祖父母:1万円
おじ・おば:1万円
上記以外の親戚:1万円
○故人様が親族ではない場合
職場関係:5千円
勤務先社員の家族:5千円
取引先関係:5千円
友人・その家族:5千円
隣人・近所:5千円
その他:5千円
出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会 香典に関するアンケート調査(平成28年度) 回答数7,425人
「参列者と亡くなった故人との関係」別にまとめた、香典の最多回答額を掲載。
詳細: https://www.zengokyo.or.jp/activity/report/search/funeral-gift/
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4香典袋(不祝儀袋)の選び方
市販の不祝儀袋を用いるのが一般的です。
葬儀の形式(宗教)に合った表書きにする
<仏式>
○御霊前
○御香奠(御香典)
○御香料
など
※浄土真宗は「御佛前」を用います。
<神式>
○御玉串料
○御榊料
など
※玉串(たまぐし)、榊(さかき)は、いずれも神様へのお供え物を意味しています。
<キリスト教式>
○御花料
※お花をお供えすることを意味しています。
※白無地の他、十字架や百合の花の絵柄が付いた袋があります。
<一般的にどの宗教でも対応可>
○御霊前
※故人様の霊前にお供えすることを意味しています。
※相手の宗教がわからない場合は「御霊前」とするのが無難です。
不祝儀袋を選ぶ際の注意点
<蓮・菊の絵柄が付いた袋は、仏式用>
仏式用の不祝儀袋です。
蓮は仏教と縁の深い花であるため、神式やキリスト教式には使用できないので注意しましょう。
<表書きのない袋は、水引に注意>
水引に注意して選びます。
水引の色 :黒白または銀一色
※地域によっては、黄色と白の水引の袋が用いられる所もあります。
水引の結び:結び切り
※結び切りには「二度と不幸が来ないように」という意味が込められています。
■結び切り
■あわじ結び(結び切りの一種)
<香典の金額に合わせた袋にする>
水引や装飾の立派な不祝儀袋もあります。
金額に見合ったものを選びましょう。
香典袋の外装パッケージに、入れる金額の目安が記載されていることが多いので、それを参考にして選びましょう。
なお、香典の金額が1万円までであれば、水引等が印刷された袋を使用することが多いようです。
<通夜、葬儀・告別式でも、袋は同じ>
どちらの場合も袋は同じものを用います。
香典は通常、通夜または葬儀・告別式のどちらかで渡します。
<法要の場合は「御仏前」>
四十九日以降には「御佛前」を使用するのが一般的です。
霊として、さまよっている期間(四十九日/中陰)を終えて、仏門に入ったためです。
■御佛前(四十九日以降は、薄墨ではなく濃墨で記載した袋を使用)
<地域・風習に合わせる>
前述のとおり、地域によっては水引が黄色と白の袋を用いる所もあります。
その地域の人に確認しておくと安心です。
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5香典袋の書き方
香典袋は外袋と内袋でセットになっています。
外袋・内袋ともに「薄墨」の筆ペンで書きます。
薄墨には、涙で墨が薄くなったという意味があり、故人様を失った悲しみを表します。
外袋の書き方
<表側>
水引の上に表書き
水引の下に名前(フルネーム)
を書きます。
名前は、表書きより少し小さい文字で書きます。
<裏側>
氏名・郵便番号・住所・金額を書きます。
住所は忘れずに書きましょう。
住所がないと、ご遺族が挨拶状や香典返しを送る際の手間になってしまいます。
<連名(2~3名)の場合>
目上の人から順に、袋に向かって右から名前を書いていきます。
<4人以上の場合>
「○○(団体名)一同」と書き添えます。
<補足>
香典の数は、故人様の社会的な交友範囲や人徳を示すことにもつながります。
なるべく連名は避けて、少額だとしても一人ひとりが贈るようにしましょう。
内袋の書き方
<表側>
「金○○円也」と書きます。
金額は旧字体にします。
一→壱
二→弐
三→参
五→伍
十→拾
千→阡
万→萬
○内袋に金額を書いておく理由
・ご遺族が香典をいただいた方へ香典返しをする際に、手間が省けるため。
・香典は、受け取った後に、袋とお金に分けられて管理されるため。
○金額を旧字体で書く理由
・会計係の方が、受け取った香典の金額を間違わないようにするため。
<裏側>
郵便番号・住所・氏名を書きます。
<補足:筆ペンで書くのが苦手な場合>
ペン先が硬い「硬筆タイプ」の筆ペンを、活用するのも一案です。
ボールペンやサインペンのような感覚で書くことができます。
慶弔両用のタイプもあり、数百円で買えます。
1本持っておくと、いざという時に慌てません。
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6お札の香典袋への入れ方
お札の準備
新札を避けます。
新札しかない場合は、折り目を付けます。
内袋への入れ方
お札の向きに注意して入れます。
肖像画が内袋裏側の下段に来るようにします。
外袋への入れ方
内袋の表と外袋の表が合うように、内袋を入れます。
外袋は、封筒タイプと多当折りタイプ(1枚の紙を折って袋にしたもの)があります。
多当折りタイプの場合、裏側は、上部が折り返し部分の上に来るようにします。
これには「涙を大地に落とす」という意味が込められています。
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7香典袋の袱紗(ふくさ)への入れ方
袱紗について
袱紗は、熨斗袋(のしぶくろ)や金封を包む、一枚布のことを言います。
香典は袱紗に包んで持参するのがマナーです。
包む理由は以下の通りです。
○香典袋が汚れたり、しわが付くのを防ぐ。
○受け取る相手への心遣い。
包み方
※分かりやすくするため、留め具の付いた「爪付き袱紗」で説明しています。
①爪の部分が左にくるように袱紗を置き、その中央に香典袋を表向きにして置く。
②袱紗を右・下・上の順に折りたたむ。
③袱紗の左を折り、端を裏側に回し、爪を止める。
注意点
弔事と慶事では、袱紗の色および入れ方が異なるので注意しましょう。
<袱紗の色>
弔事:紺・緑・グレーなど(寒色系)
慶事:赤・ピンク・オレンジなど(暖色系)
※紫は慶弔どちらでも使用可能。
<入れ方>
慶事:弔事の時と、真逆の順番に包む。
弔事:右・下・上・左の順番に包む。
袱紗がない場合
小さな風呂敷や白いハンカチで代用しても構いません。
袱紗を購入する場合は、上記にもある通り、紺やグレー等の寒色系の色にします。
紫は、慶弔どちらにも使用でき便利です。
また最近では、香典を「包む」のではなく、「入れる」形式の封筒型の袱紗もあります。
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8当日の渡し方
受付での流れ
①お悔やみを述べる
例:「この度はご愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます」
②名前を記帳する
会社として参列し名刺を求められた場合、名刺の右上の角に「弔」と書いて提出します。
昔は台帳でしたが、現在ではカードを入れられるバインダー形式が使われます。
カードに「住所氏名を記載する」または「名刺を差し込んで」受付に提出します。
③香典を差し出す
袱紗から香典を取り出し、袱紗の上に載せて、右回りで相手に向けて差し出す。
参列できないが香典を渡したい場合
香典を現金書留で送ります。
その場合も、お金を不祝儀袋に入れ(住所・氏名・金額を記入)、簡単なお悔やみの手紙を添えます。
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9まとめ:香典は参列の前日までに用意できると安心です
<香典の準備に必要なもの一覧>
①お金
②香典袋(不祝儀袋)
③筆ペン
④袱紗(ふくさ)
一覧の中でも②香典袋(不祝儀袋)に注意しておきましょう。
金額を多く包む場合や、葬儀の形式(故人様の宗教)によっては、適した不祝儀袋を準備するのに時間がかかってしまうこともあります。
また一般的に通夜は午後5~7時、葬儀は午前10~11時の開始が多いため、当日に準備する時間を取りにくいかも知れません。
そのため、当日に慌てないで済むように、また故人様とのお別れに集中するためにも、参列の前日に準備を済ませておきましょう。
最後に要点をまとめたチェックリストも、掲載しました。ぜひご参考ください。
<香典の準備チェックリスト>
①お金
□折り目が付いている(新札ではない)。
□金額は参列する人と相談した。
②香典袋(不祝儀袋)
□葬儀の形式(宗教)に合わせた。
□金額に適した装飾になっている。
□外袋・内袋に住所・氏名・金額を書いた。
□金額は旧字体で書いた。
□お札は肖像画が内袋裏側の下段に来ている。
□内袋と外袋の向きが合っている。
□外袋の裏側は、上部が折り返し部分の上になっている(多当折りタイプ)。
③筆ペン
□薄墨の筆ペン(弔事用)で書いた。
④袱紗(ふくさ)
□グレーや紺などの寒色である。
□向かって右→下→上→左の順に包んだ。