相続登記の義務化について-背景や特徴、申請の対応や流れを分かりやすく紹介
2023年12月19日更新。
令和6年4月1日から「相続登記の義務化」について、法律の適用が始まります。
それを踏まえ、8月にオンラインセミナーで「不動産登記義務化に伴う手続きと注意」と題して、NCPグループ 中根 文憲 司法書士に分かりやすく解説していただきました。
その内容をレポート形式で紹介します。
○将来不動産を相続する可能性がある方
○過去に不動産を相続したが登記してない方
は、いずれも相続登記の対象者として、ぜひご参考ください。
【もくじ】1.相続登記について2.相続登記の義務化の背景3.相続登記の義務化で変わること4.相続登記しないとどうなるか5.相続登記の義務化への対応6.相続登記の流れ7.よくあるご質問8.まとめ:不動産を相続することになったら、すぐに相続登記の対応を行いましょう |
1.相続登記について
オンラインセミナーでは、早速「相続登記の義務化」に関する法改正の話に入りましたが、ここでは、まず相続登記について簡単に説明しておきます。
1-1相続登記とは
相続登記は、相続することになった土地や建物などの不動産について、不動産登記簿の名義を変更することを言います。
名義は相続によって自動的に変更されるわけではないため、名義を変更するためには、法務局で申請する必要があります。
この相続登記は、これまでは任意でしたが、登記を促進するために、令和6年4月1日より義務化されることになりました。
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2.相続登記の義務化の背景
所有者不明の不動産が問題になっていることが挙げられるそうです。
報道でも取り出たされているそうで、ご覧になった方もいらっしゃるかも知れません。
2-1所有者不明の不動産
以下のような状況が全国的に増えており、非常に懸念されています。
例えば、
・倒壊の危険性がある空き家等に近隣住民が困っている。
・復旧復興事業ができない不動産が増加している。
などです。
2-2相続登記の放置
前項で紹介した問題は、相続登記(相続不動産の名義変更)を放置していたことに由来しています。
実際に、
・所有者不明の土地を合わせると九州より広い面積になる。
・相続が重なって数十年経った結果、当事者が100人を超えたケースもある。
とも言われます。
そのため、令和3年4月に法改正が成立し、令和6年4月1日より義務化されることになりました。
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3.相続登記の義務化で変わること
○申請期限が設けられたこと
○過去分にも適用されること
が、大きな変化だそうです。
3-1相続登記の義務化の大きな特徴
以下の2点となります。
①不動産を相続することを知ってから、3年以内に相続登記することが必要になる。
②令和6年4月1日より前に発生した相続についても適用される。
<補足:令和8年4月1日より、住所変更登記・氏名変更登記も義務化>
現在所有している不動産に登記されている住所・氏名に変更があった場合も、変更した日から2年以内に申請することが必要になります。
正当な理由がなく、申請を放置すると5万円以下の過料を科されます。
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4.相続登記をしないとどうなるか
○不履行の際は過料が発生する
そうです。これも大きな特徴と言えます。
4-1過料が発生する
正当な理由がないのに、相続する不動産の登記を放置すると、10万円以下の過料(罰則金)を科される可能性があります。
<「正当な理由」について>
以下のような内容が挙げられますが、実際には法律適用後、個別に判断していくことになると考えられています。
○相続関係者が多く、必要な書類を集めることが難しい場合。
○遺言書の有効性・無効性が争われている場合。
○遺産の範囲に争いがある場合。
○相続する不動産を取得される方が重病で手続きが難しい場合。
○DVで避難している場合。
○生活に困窮している場合。
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5.相続登記の義務化への対応
○相続登記
○相続人申告登記
のいずれかを行います。
今回の法改正により新設された「相続人申告登記」について、詳しい説明がありました。
5-1新しい制度の「相続人申告登記」
<概要>
「遺産の分け方が決まらない」
「相続人が多く、手続きが難航している」
といった早期の遺産分割が難しい場合に、
過料の発生を回避する手段として設けられた制度です。
これを行うことにより、相続登記の義務を履行したことになります。
<申請について>
相続人申告登記は、法務局で申請します。
これによって不動産の所有者(お亡くなりになった方)の相続人であることが登記記録に反映されます。
なお申請は、
○相続人であることが分かる範囲の書類
(一定数・一定の範囲の戸籍)
○申出人の住所が正確にわかる書類
(住民票など)
などを提出するといった簡単な手続きで済むことになる予定です。
また相続人がたくさんいたとしても、それぞれ単独で申請を行うことができるのも、利点とされています。
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6.相続登記の流れ
相続の流れの中で、不動産を相続する際の注意を重点的に説明してくださいました。
6-1一般的な流れ
以下の3ステップとなります。
①相続人調査
お亡くなりになった方の戸籍を集めて、相続人の範囲(全員で何名か、それが誰なのか)を確定します。
○不動産調査 ※1(6-2へ)
相続する不動産を特定します。
②遺産分割協議
相続人が分かったら、みんなで話し合い、全員の同意を得た上で、遺産分割協議書を作成(相続人全員の署名と実印が必要)します。
③登記申請 ※2(6-2へ)
上記①と②で集めた書類を用いて、登記申請します。
6-2流れにおける注意点
<不動産調査について>
遺産分割協議書に記載忘れが生じることがよくあるので、入念に調査することが必要です。
例1:家の前の公衆用道路に名義を持っている場合があります。「長い年月が経って家を売却する際に手続きしようとしたら、当事者が何十人もいて困った」という事例もあります。
例2:昔ながらの団地などにお住まいだったの場合、集会室・管理人室・電気室などに名義を持っている場合があります。
<登記申請について>
法務局で申請しますが、一般の方が自分で行うと、少なくとも3回は法務局へ相談することになる、と言われています。
1回目:必要な書類の案内を受ける
2回目:申請書類に不足がある指摘を受ける
3回目:申請を済ませる
専門的な言葉や登録免許税の計算などのため、途中でくじけて司法書士に相談する方も多いようです。
<「家族のための相続手続」をご利用の場合>
全国儀式サービスの「家族のための相続手続」では、相続人の調査(戸籍の収集)と併せて不動産の調査も行いますので安心です。
また不動産の名義に関する相談・助言にも対応しています。
例えば、父が亡くなった時の自宅の名義変更について(母と子が相続人の場合)
●自宅の名義は、住んでいる方のほうが良い。
●相続税の申告が必要な時には、配偶者(母)のほうが優遇されている。
●不動産(家)を売却した時の税金は、住んでいる方の名義にしておいた方が軽減できる。
など、状況に応じたアドバイスを行います。
登記申請の際も、お客様に法務局へ行っていただくことはありません。
委任状をいただいた上で、相続を専門分野とする司法書士が対応し、最終的に完了したことが分かる書類をお客様へお渡し致します。
また申請は不動産の所在地を管轄する法務局で行うため、複数の地域で不動産をお持ちの場合は、時間や手間を大きく軽減できます。
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7.よくあるご質問
セミナー内で話題に出ていた質問の中で、気になったものをピックアップしました。
Q:遠くにあって見たことがない、利用する予定もない、田舎の不動産(土地)を相続することになりましたが、手放すには、どうしたら良いですか?
A:一つには自治体に寄付する方法があります。申し入れを断られた場合には、以下2つの方法を検討してみるとも良いかもしれません。
○新しい制度「相続土地国庫帰属法」を活用する
○民間の会社に有償で引き取ってもらう
<補足:相続土地国庫帰属法について>
令和5年4月27日にスタートした新しい制度です。
相続によって取得した土地を手放し、国(国庫)に帰属させることができます。
■手続きのイメージ
①承認申請
②法務大臣(法務局)による要件審査・承認
③申請者が10年分の土地管理費に相当する負担金を納付
④国庫帰属
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8.まとめ:不動産を相続することになったら、すぐに相続登記の対応を行いましょう
令和6年4月1日からの相続登記の義務化により、申請の期限(相続を知った日から3年以内)が設けられることになります。
過料(罰則金)の発生を回避するためにも、「相続登記」「相続人申告登記」いずれかの方法で義務を果たすことが大切です。
また相続登記で提出した資料は、提出時に原本還付請求しておけば、登記完了後に返却してもらえます。
別の相続手続に活用できるため、以降の手続きの難易度は下がります。
相続の際、相続登記から進めていくのは、効率的な方法の一つと言えます。
この点も考慮に入れておきましょう。
なお実際の申請は、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。
そのため、同一の市区町村にあるとは限らないので事前に確認しておきましょう。
また平日しか開庁していないので注意しておきましょう。
特に遠く離れた所に不動産がある場合や、複数の不動産がある場合には、時間や手間が掛かることが想定されます。
状況に応じて司法書士に代行してもらうのも一つの方法です。
全国儀式サービスの「家族のための相続手続」では、相続の専門家集団であるNCP相続センターが、あなたの相続登記を代行・支援いたします。
<サービスの特徴>
○相続に特化した専門家が担当
○相談・面談は無料。土日祝日も対応
○日本全国で対応が可能
○依頼窓口の一本化が可能
お困りの際は、ぜひご相談ください。
全国儀式サービス コールセンター
TEL:0120-204-122
受付時間:24時間(年中無休)
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