葬儀後のコラム一覧

お葬式の知識やマナー、宗派や喪主のこと、そして用語集など、知っておくべき情報をお届けします。ぜひご活用ください。

葬儀後

2023年 09月 21日(木)

葬儀後の流れ-葬儀の事務の引き継ぎ、費用の精算、お礼の挨拶回りについて

2023年12月19日更新。葬儀後、数日中に行うことを解説します。葬儀は、周囲の方々の協力によって、執り行われるのが通常です。そのため、●葬儀の事務の引き継ぎ●お礼の挨拶回り●費用の支払いは滞りなく済ませることが大切です。一方、会社で忌引き休暇を取っている場合は日数が限られており、出来れば休暇の範囲で済ませたいと思う方が多いと思います。この記事では、喪主および遺族が行うことを順に紹介します。今後も変わらない「遺族への親しい交際・支援」をお願いするためにも、丁重そして円滑に行いましょう。         【もくじ】 1.葬儀の事務の引継ぎ 2.お手伝いいただいた方へのお礼の挨拶 3.僧侶へのお礼(御布施) 4.葬儀費用の精算 5.まとめ:協力に感謝しながら、しっかり行っていきましょう         1.葬儀の事務の引継ぎ   1-1相手の負担を考え、できるだけ早く 遺族は葬儀が済み次第、世話役や受付や会計などの各係を手伝ってくれた人から、事務や雑事の引き継ぎを受けます。香典を取り扱う関係上、最近では、通夜および葬儀・告別式の直後に、そのつど引き継ぐ場合が多くなっています。     <引き継ぎを行う人> 喪主または喪主に準じた人が行います。       <引き継ぐ内容> ○香典袋○香典帳○現金○葬儀の際に支出した領収書(ハイヤーの費用、返礼品の配送料など)⇒通夜、告別式の後につど引き継ぎます。   ○会葬者名簿、名刺○供物・供花記録帳○弔電○弔辞⇒係から葬儀社に預けておき、式場を後にする際に受け取ることが多いです。     遺族側の知らないうちに、お金を立て替えてもらっていることもあるので、よく尋ね、すぐに精算します。葬儀関係の支出には、必ず領収書をもらっておきます。         1-2世話役や各係にお礼を述べる 世話役や各係の方々には当日のうちに丁寧にお礼を述べましょう。通夜を行った場合であれば、各係の方の飲食物を、通夜振る舞いとは別に分けて用意しておくと良いです。中には忙しい方もいるので、飲食物の代わりに現金で「寸志or食事代」と書いて渡すのも良いです。     <補足:葬儀を手伝う主な係> ○受付係(親戚関係の担当することが多い)○会計係(親戚関係が担当することが多い)○返礼品係(会社関係が担当することが多い)○案内係 など詳細は喪主の決定と各係の役割をご参考ください。   もくじに戻る             2.お世話になった方へのお礼の挨拶   葬儀の際にお手伝いしていただいた方々へ、挨拶を行います。服装は、準喪服または略喪服を着用します。昔は、忌明けまで外出しないというしきたりがありましたが、現在では、そのようなことはないので、葬儀の翌日以降から挨拶回りを順次行っていきます。町内なら自治会長、勤務先なら代表者に挨拶して、菓子折りなどの手土産を持参するケースが多いようです。     ①近所への挨拶 ②葬儀委員長や世話役への挨拶 ③故人様の勤務先への挨拶 ④弔電をいただいた方への挨拶 ⑤その他の方への挨拶       2-1近所への挨拶 葬儀後、翌日に行うのが一般的で、喪主と遺族の二人でまわります。訪問時には2,000~3,000円程度の菓子折りなどを手土産として持参します。     <補足:手土産について> 手土産は、弔辞用に包装されたものを持参します。弔辞用の包装紙で包み、掛け紙は白黒の水引で結び切りにされたもの(印刷されたもの)を使用します。そして、水引より上には「志」、下には喪主の名前を記載します。         2-2葬儀委員長や世話役への挨拶 葬儀後、喪主と遺族代表が揃って、なるべく早く、お礼の挨拶に伺います。忙しい方が多いので、事前に電話でご都合を伺って行くようにします。目上の人にあたるため、準喪服を着用するのが望ましいです。お礼の品としては5,000~10,000円程度の品物が良いでしょう。         2-3故人様の勤務先への挨拶 故人様が現役だった場合には、勤務先には葬儀の際に何かとお世話になっていることが多いと思います。葬儀が終わったら、なるべく早く、ご挨拶に出向きます。なお会社へお礼に行く場合は、喪服(準喪服)で伺うと違和感が出てしまうので、略喪服(ダークスーツ)で着用するのが望ましいと思います。手土産も持参するのが一般的です。3,000~5,000円程度の菓子折り(中身は社内で分けられる個包装のもの)などが適しています。     <出向く前には必ず連絡を入れる> 出向く先が何箇所になるかも連絡前に確認しておきましょう。必ず電話をして、先方の都合を確認しておきます。仕事が取り込んでいる時などに突然出向くと、かえって迷惑になってしまいます。私物を持ち帰ることも伝えておきます。       <ロッカーや机などを整理する> 必要な物(私物)は、持ち帰ります。不要な物は、きちんとまとめた上で処分していただくようお願いします。社内で必要がありそうな物は、上司や同僚に見てもらって処理します。         2-4弔電をいただいた方への挨拶 本来は直接出向いてお礼を伝えますが、最近ではお礼状で挨拶することが一般的です。葬儀後、1週間以内を目安に行います。     <お礼状について> ○書 式 ・はがき ・白無地の便せんに白い封筒 ※弔事に適したデザインを選びます。 ※メールやメッセージアプリは避けます。   ○筆記具 ・筆、筆ペン、万年筆 ※薄墨を使用します。 ※ボールペンは避けます。 ※手書きにすることにより、お礼の気持ちがより伝わります。 ※弔電を多くいただいた場合は、パソコン等も活用します。   ○書き方 ・縦書きにする。 ・句読点は使わない。 ・忌み言葉を避ける。   ○文面 ・略式であることのお詫びを記載する。 ・差出人は喪主にする。 ※喪主との連名や親族一同の付記も可。         2-5その他の方への挨拶 <香典や供花・供物をいただいた方> 忌明け後(四十九日後)にお返しを行う時に、御礼の手紙を添えます。       <会葬者> 会葬礼状をお渡ししているので、あらためて挨拶は行いません。   もくじに戻る           3.僧侶へのお礼(御布施)   3-1御布施を渡すタイミング 僧侶に相談して決めるのが一般的ですが、大きく2つの場合があります。   ①通夜の時に渡す ⇒日頃お寺との付き合いがなく、臨時で依頼した場合などに多いようです。   ②葬儀終了時に渡す ⇒葬儀が終わり、僧侶がお帰りになる前にお渡しすることもあります。   ③葬儀後に渡す ⇒菩提寺の僧侶へお渡しする時は後日あらためてお寺に伺い、お渡しすることもあります。         3-2御布施の金額 御布施の金額は、渡す側の気持ちや信仰の度合いによって変わってきます。現在では、お寺に金額の規定がある場合が多いようなので、あらかじめ相談して金額を決めます。葬儀の打ち合わせ前に、僧侶に素直に相談してみましょう。また戒名のお礼も、この御布施に含めて渡します。ご先祖様がある場合は、戒名の位や字数は、ご先祖様に合わせることが通常です。         3-3御布施の包み方 市販の不祝儀袋に入れる場合は、白黒で結び切りになった水引の袋を用います。葬儀社が用意してくれる場合もありますので、尋ねてみても良いでしょう。表書きは「御布施」とします。「御経料」としてはいけません。またボールペンやマジックで書くのではなく、筆書きにします。筆ペンも可です。         3-4御布施の渡し方 きちんと正座して「ありがとうございました」と挨拶を述べながら、包みを小型のお盆に載せ、表書きが僧侶から見て正面になるようにして渡します。お盆も葬儀社が持っていますので確認しておきましょう。直接手渡しするのは失礼にあたるので避けましょう。         3-5補足:僧侶への御布施の種類 ○戒名を授けていただいたり、お経を読んでいただいたりした場合 ⇒「御布施」と表書きしてお渡しします。   ○お寺(の式場)を借りた場合(会場代) ⇒「式場使用料」と表書きしてお渡しします。規定料金がなければ、御布施に含めます。   ○お越しいただいた場合(交通費) ⇒「御車料」と表書きして、その都度お渡しします。   ○会食を辞退された場合(接待の代わり) ⇒「御膳料」と表書きして、その都度お渡しします。     御布施の詳細はお布施の準備-意味や相場、書き方・入れ方・渡し方をまとめて紹介をご参考ください。   もくじに戻る             4.葬儀費用の精算   4-1葬儀業者への支払い 葬儀が終わって、2~7日のうちに、葬儀業者から明細書と請求書が届きます。最初に受け取った見積書より、少し増えることがままあるようです(飲食代等の追加などのため)。見積書・明細書・請求書をよく照合して、不明な点がある時は、遠慮なく尋ね、納得がいくようにしてから支払います。なお支払時には領収書をもらいます。領収書は、市区町村の役場で葬祭費の請求を申請する際に必要になりますので、無くさないように保管しておきましょう。         4-2仕出し屋への支払い 通夜振る舞いや精進落としと言った飲食物でのもてなしに、仕出し屋などを利用した場合は、後払いのことが多いのが通常です。葬儀社の時と同様に、きちんと請求書をもらい、よく調べて疑問のないようにしてから支払い、領収書をもらいます。   もくじに戻る             5.まとめ:協力に感謝しながら、しっかり行っていきましょう   葬儀後1週間くらいまでに行うことをひと通り紹介してきました。葬儀を行うにあたり、多くの方の協力を得て実施できたことを、あらためて感じていただけたと思います。○葬儀の事務の引継ぎ○お世話になった方へのお礼の挨拶○僧侶へのお礼(御布施)○葬儀費用の精算協力いただいたことに感謝しながら、一つひとつ進めていくことが大切です。全国儀式サービスでは、サービスをご利用いただいた方全員に、「葬儀後の便利帳」を差し上げています。それも活用しながら、確実に行っていきましょう。       相続手続や遺品整理のご相談も・ご依頼も受け付けております。お困りの際はお気軽にご連絡ください。 全国儀式サービス コールセンター■お電話0120-204-122(通話料・相談料・紹介料、無料)■メールお問い合わせページから相談する   サービスの詳細は以下をご覧ください家族のための相続手続家族のための生前整理・遺品整理  

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葬儀後

2019年 11月 26日(火)

葬儀の香典返しについて-意味や贈る時期、相場や贈る際の注意点などを紹介

2023年12月19日更新。故人様の霊前に「香典」として金銭をいただいた場合、「香典返し」の品を贈ることが一般的です。本記事では、初めて香典返しを贈る方でも滞りなく手配できるように、◯いつ贈るのか◯相場◯贈り方◯贈る際の注意点について、◯仏式◯関東地方を例に説明します。香典返しの相場や贈るタイミングは、地域の慣習などによって異なるため、注意が必要です。         【もくじ】 1.香典返しとは  1-1香典返しの意味  1-2会葬返礼品との違い   2.香典返しを贈る時期  2-1忌明け(四十九日後)が一般的  2-2最近は即日返しも増加傾向  2-3神道・キリスト教の場合   3.香典返しの金額の相場  3-1半額(半返し)~3分の1が目安  3-2香典の額で3段階くらいに分ける  3-3高額の香典をいただいた場合   4.香典返しに何を贈ればよいか  4-1贈ると喜ばれるもの  4-2贈るとダメなもの   5.香典返しを贈る範囲と対応  5-1基本は香典をいただいた方全員  5-2香典返しリストを作成しておく  5-3会社や連名でいただいた方への対応   6.香典返しはどこで買えば良いか  6-1百貨店(デパート)  6-2専門店(ギフトショップ)  6-3郵便局  6-4ネット通販   7.香典返しを贈る際の注意点  7-1掛け紙(のし紙)  7-2挨拶状(お礼状)  7-3渡し方(送り方)   8.よくある質問   9.まとめ:香典返しは、地域の慣習を確認して手配しましょう         1.香典返しとは   1-1香典返しの意味 「香典返し」とは、香典へのお礼と、忌明けのご報告を兼ね、挨拶状を添えて返礼品を贈ることです。     <補足:忌明け(きあけ、いみあけ)> 故人様が無事に成仏したことを意味します。命日から七日間ごとに初七日、二七日…と数え、七回目を七七日、つまり四十九日が忌明けとされます。通常は、四十九日に忌明けの法要を行います。ただし、故人様が亡くなって三か月にまたがらないほうがよいとされ、三十五日を目安に行う場合もあります。忌明け法要をいつ行うかは、菩提寺に確認しましょう。         1-2会葬返礼品との違い <会葬返礼品とは> 通夜、葬儀・告別式に来ていただいた方へお礼として渡すものです。香典の有無は関係ありません。     <会葬返礼品と香典返しの混同に注意> 香典返しは、香典をいただいた方のみに贈るものです。もし葬儀当日に香典返しをする場合、会葬返礼品と混同しやすいので、注意が必要です。※当日の香典返し(即日返し)については、2-2最近は即日返しも増加傾向を参照してください。   もくじに戻る             2.香典返しを贈る時期   2-1忌明け(四十九日後)が一般的 葬儀の後でお贈りしますので、一般的には「後返し(あとがえし)」と呼ばれています。忌明けの報告を兼ねていますので、通常は忌明け後、速やかに、遅くとも1か月以内には贈るといいでしょう。         2-2最近は即日返しも増加傾向 通夜、葬儀・告別式の当日に香典返しを渡す「即日返し」が増えています。即返し(そくがえし)、当日返し(とうじつがえし)ともいいます。感謝の気持ちをその場で伝えられるとともに、後の商品の選定とお渡しにかかる負担が軽減されます。     <品物の金額> 香典の金額に関わらず、一律同じ品物を渡します。     <購入先> 短時間で大量の品物と挨拶状を用意することになりますので、葬儀社に依頼することがほとんどです。一般的には、品物を多めに用意し、余った分は葬儀社で引き取ってもらえることが多いようです。ご自身で手配すると返品対応ができないこともありますので、葬儀社に依頼する方がスムーズです。     <高額の香典をいただいた場合> 即日返しの品物がいただいた香典金額に見合わなかった場合は、忌明け後に改めて品物をお贈りするのもよいでしょう。         2-3神道・キリスト教の場合 「香典」は仏式用語ですので、他宗教には「香典返し」がありません。しかし、いただいた金銭へのお礼は、他宗教でも行われることが一般的です。お返しをする時期は下記の通りです。     <神道> 三十日祭、五十日祭の後     <キリスト教> キリスト教には忌明けという概念はありませんので、目安として考えてください。◯カトリック追悼ミサ(亡くなられてから30日目)の後◯プロテスタント記念式(亡くなられてから1か月目)の後   もくじに戻る             3.香典返しの金額の相場   3-1半額(半返し)~3分の1が目安 一般的には、半返しまたは三分返しといい、いただいた金額の半分から3分の1程度です。高額の場合は、3-3高額の香典をいただいた場合を参照してください。         3-2香典の額で3段階くらいに分ける 一般の会葬者からいただく香典は、5,000円~10,000円が多いようです。前後を含め、大きく3段階に分けると整理しやすいでしょう。     <香典の金額と、返礼品の目安> ①香典:5,000円未満→返礼品:1,000円~1,500円程度②香典:5,000円~10,000円まで→返礼品:2,000円~3,000円程度②香典:10,000円を超える→返礼品:香典の金額によって個別に決定以上はあくまでも一例です。地域の慣習や相手との関係性など、状況に応じて決めましょう。なお、連名や「一同」でいただいた香典は、一人あたりの金額に応じてお返しします。※詳しくは、5-3会社や連名でいただいた方への対応を参照してください。         3-3高額の香典をいただいた場合 親族や親しい方から、高額の香典をいただくことがあります。遺族へ援助の気持ちが込められている場合もあり、必ずしも「半分~3分の1のお返し」にこだわる必要はないと思われます。自筆の挨拶状(手紙)を添えたり、近くにお住まいの方には直接持参したりするなど、感謝の気持ちを伝えると丁寧です。   もくじに戻る             4.香典返しに何を贈ればよいか   4-1贈ると喜ばれるもの 実用的であり、「不幸が消えてなくなる」との意味で、消耗品を選ぶのが基本です。◯お茶、のり、お菓子などの食品◯タオル、石鹸、洗剤などの日用品◯カタログギフトなどがおすすめです。         4-2贈るとダメなもの <贈ってはいけないもの> ◯肉・魚類→仏教では、忌明けまでは肉や魚などを避ける風習があるため、お返しにも選ばない方がよいとされています。なお、カタログギフト内に肉・魚類の商品があっても、直接贈るものはカタログなので問題ないとされています。◯慶事に使われる食品(昆布、鰹節、お酒など)     <避けた方がいいもの> ◯日持ちの短いもの→先方の負担になる可能性があります。◯商品券・金券類→金額がわかるため、避けられることが多いようです。◯パッケージが慶事を想起させるもの→紅白、鶴亀、松竹梅などの絵柄は避けます。◯(即日返しの場合)大きいもの・重いもの→持ち帰り時の負担になります。   もくじに戻る             5.香典返しを贈る範囲と対応   5-1基本は香典をいただいた方全員 親族、一般の方を含め、香典をいただいた全員にお返しを贈るのが基本です。◯香典袋一封につき、一つお返しします。→夫婦、家族など、連名の場合もお返しは一つです。※会社名、友人などの連名の場合は、5-3会社や連名でいただいた方への対応を参照してください。         5-2香典返しリストを作成しておく 香典帳(記帳カード)をもとに、リストを手書きか、パソコンで作成します。   <リストに必要な項目> ◯住所◯氏名◯電話番号◯故人様・遺族との関係◯いただいた香典の金額◯返礼品のランク(品物) ※3-2香典の額で3段階くらいに分けるで決めたランク(品物)を記入◯返礼品の数量     <贈り先が多い場合> 品物を配送する場合、送り状の作成に使用しますので、パソコン(例:EXCELファイル)で作成するとよいでしょう。購入先がフォームを指定している場合もありますので、確認します。         5-3会社や連名でいただいた方への対応 <会社名でいただいた場合> 会社名でいただいた場合、お返しをしなくても問題はないとされています。社内規程で贈り物の受け取りが禁止されている会社もあります。     <会社名+役職者名でいただいた場合> 会社からなのか、個人からなのかによって異なります。個人からであれば、お返しをします。     <個人の連名、◯◯部一同などでいただいた場合> 職場の同僚などから、個人の連名や◯◯一同でいただく場合があります。一人あたりの金額が、相場とあまり変わらないようであれば、個別にお返しをするのが基本です。相場よりも少額であれば、お礼の気持ちとして、個包装のお菓子などを配るのもよいでしょう。   もくじに戻る             6.香典返しはどこで買えば良いか 実店舗(対面)か、インターネットで注文します。購入先を検討する際のポイントは○店舗が近くにあるか○誰に送るか○選ぶ時間があるか○品揃えはどうか○掛け紙や挨拶状のサポートがあるか○数量が多い場合の対応や送料はどうかなどです。相談しながら品物を選びたい方、ネットでの注文が不安な方は、実店舗の方が安心でしょう。     6-1百貨店(デパート) 店舗のギフトサロンで受け付けています。百貨店の包装紙は贈り先に好印象を与えるので、年配者や目上の方が多い場合に良いです。   <メリット> ○百貨店ならではのブランドや品揃え○専任のスタッフがいる     <デメリット> ○価格は、他購入先よりも高め         6-2専門店(ギフトショップ) 地域に根差した店舗が多いです。中には大手のギフト販売会社と提携している場合もあります。贈り先に地域の方が多い場合、最寄りの専門店であれば、地域の慣習に詳しく、安心でしょう。   <メリット> ○品数が豊富で、価格も割安なところが見受けられる○専任のスタッフがいる     <デメリット> ○店舗が近所に無い場合がある         6-3郵便局 窓口にカタログがあり、全国の郵便局で注文できます。最寄りに百貨店やギフト専門店がない地域の方には便利です。   <メリット> ○近所にある○誰もが知っているので安心感がある     <デメリット> ○品物を直接確認できない         6-4ネット通販 スマートフォンの普及もあって、現在では、百貨店、専門店、郵便局はもちろんさまざまな通販サイトがあります。店舗に足を運ぶことなく、また時間に関係なく注文できますので便利です。贈り先をエクセル等で管理している場合も、それを基に注文できます。   <メリット> ○都合の良い時間に選べる○店舗に行かずに選んで注文できる     <デメリット> ○品物を直接確認できない○スタッフに直接相談できない   もくじに戻る             7.香典返しを贈る際の注意点   7-1掛け紙(のし紙) 香典返しには、掛け紙を掛けます。「掛け紙」の水引と表書きは、宗教、地域によって異なります。     <水引> 「黒白」あるいは「黄白の結び切り」です。     <表書き> 宗教を問わず使えるのは「志」です。◯仏式では「満中陰志」「粗供養」を用いることもあります。◯水引の下に、喪家の姓か、喪主のフルネームを記載します。     <表書きの文字色> 薄墨です。     <「内掛け」か「外掛け」か> 箱に掛け紙をかけた後、包装紙で包むことを「内掛け」、包装紙の上から掛けることを「外掛け」といいます。香典返しでは、「内掛け(内のし)」が一般的です。控えめな気持ちを表すと言われています。※弔事においては正しい表現ではありませんが、掛け紙を内外どちらに掛けるかを「内のし」「外のし」と呼ぶことが多いです。香典返しの購入でネット通販を利用した際は「内のし」を選ぶようにしましょう。     <補足:「掛け紙」と「のし紙」の違い> 「掛け紙」のうち、「のし(あわび)」の印がついたものを「のし紙」といいます。のしは慶事と一般的な贈答に使用し、弔事と見舞いには使用しません。しかし、この違いを認識されないまま、掛け紙全般を「のし」「のし紙」と呼ぶ方が多くなっています。香典返しは弔事における贈り物のため、正しくは「掛け紙」と呼びます。         7-2挨拶状(お礼状) 香典返しの品物には、挨拶状(お礼状)を添えます。通常、購入先で作成してもらえます。   <挨拶状の作成費用> 雛形の文面であれば無料が多いようです。オーダー内容によっては有料の場合もありますので、確認してください。     <挨拶状で伝えること> ◯会葬、香典へのお礼◯無事に忌明けを迎えたこと◯香典返しの品を贈ること購入先に、一般的な文例が用意されていますので、利用するとよいでしょう。     <作成に必要な情報> ◯故人様の俗名 ※戒名も記入する場合があります。◯忌日:七七日(四十九日)もしくは五七日(三十五日)の日◯喪主様の名前     <自分で文面を作成する際の注意点> ◯時候の挨拶は不要◯句読点は使用しない◯忌み言葉を使用しない→「ますます」「いよいよ」「たびたび」などの重ね言葉、「四」「九」「苦しむ」「死亡」などを避けます。     <挨拶状の文例> 謹啓 先般 父 ○○○○永眠の際には御多忙にかかわらず 御鄭重なる御弔意と御香志を賜り御芳情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます本日七七日忌法要を相営みお陰様を持ちまして諸式滞りなく済みました  つきましては心ばかりの粗品をお届けさせていただきましたので御受納いただければ幸甚に存じます早速参上いたし御礼申し上げるべきところ略儀ながら書中を持ちまして御挨拶申し上げます敬具令和◯◯年◯◯月◯◯日儀式 太郎     ◯奉書封筒の場合     ◯縦型カードの場合       7-3渡し方(送り方) 以前は遠方を除き、持参が基本でした。現在は、配送(郵送)でお届けすることがほとんどですが、直接お礼を伝えたい方、職場や近所の方には持参してもよいでしょう。     <配送時の差出人名> 通常、配送伝票の差出人名は喪主様の名前です。しかし、家族・親族の関係者にお送りする場合など、喪主様の名前では誰から届いたのかわからないおそれがあります。その場合は、次のいずれかにします。◯差出人名を本人にする◯喪主名の横に本人名を加筆する また、◯同封の挨拶状にメッセージを添え書き◯別途、挨拶状を送付なども丁寧でしょう。   もくじに戻る             8.よくある質問 Q:香典返しを辞退された方には、どう対応すればよいでしょうか? A:さまざまな理由、配慮から、香典返しを辞退された方には、お贈りしなくても問題ないとされています。忌明け後に、挨拶状でお礼を伝えます。         Q:多忙で香典返しを贈れませんでした(香典返しを贈り忘れた)。どう対応すればよいでしょうか? A:香典返しは、忌明け後、速やかに贈ることが望ましいとされています。忌明け後、おおむね1か月を経過した場合は、初盆や彼岸などに、遅れたお詫びの言葉を添えてお贈りするとよいでしょう。         Q:故人の遺志で香典を慈善団体に寄付しました。どう対応すればよいでしょうか? A:香典返しは贈らないことが多いようです。葬儀でお配りする会葬礼状、あるいは忌明け後の挨拶状でその旨をお伝えしましょう。         Q:香典の金額が3,000円の方にもカタログギフトを贈るか悩んでいます。 A:一般的に、カタログギフトは商品代の他にシステム利用料がかかります。このため、3,000円の香典に半返し相当のカタログでは、実際の品物がかなり廉価か少量になります。もちろんカタログギフトを贈っても構いませんが、品物を選ぶ方がよいかもしれません。   もくじに戻る             9.まとめ:香典返しは、地域の慣習を確認して手配しましょう 香典返しの贈り方、贈る際の注意点などについて、お話してきました。     <ポイント> ◯「香典返し」とは、香典へのお礼と、無事に忌明けしたご報告として品物を贈ること。◯一般的には配送で後返し。即日返しも増えている。◯香典の金額の「半返し~3分の1」が目安。◯ふさわしい品物・避ける品物がある。◯挨拶状を添える。     香典返しは地域差が大きいので、葬儀社と葬儀内容の打ち合わせ時に、地域の慣習をよく確認しておきましょう。     全国儀式サービスの加盟葬儀社は約500社、誠実で安心してお任せできる葬儀社のみ契約しています。30年以上に渡り、12万件以上のお客様にご利用いただいております(2023年3月現在)。24時間365日、葬儀のご依頼・ご相談を受け付けております。早朝・深夜、祝日・連休・年末年始も、気兼ねなくご連絡ください。     全国儀式サービス コールセンター■お電話0120-491-499(通話料・相談料・紹介料、無料)■メールお問い合わせページから相談する      

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葬儀後

2020年 01月 27日(月)

忌中(きちゅう)と喪中(もちゅう)について

2023年12月19日更新。人が亡くなり葬儀を終えた後も、遺族には「忌中」や「喪中」、「満中陰」などのしきたりがあります。よく耳にする言葉ですが、実際はどのようなものなので、何をしたら良いのでしょうか。ここでは基本的なことをご説明します。【もくじ】 ・忌日と満中陰 ・喪中の期間と範囲   忌日と満中陰 仏教では故人が亡くなった日を命日や忌日(きにち/きじつ)といい、四十九日を満中陰(まんちゅういん)といいます。故人の魂は、死後七週にわたって「生」とも「死」ともつかない「中有(ちゅうう)・中陰(ちゅういん)」の状態に置かれ、この間、故人の魂は荒魂、つまり死という新しい環境に初めて入ったばかりの不安と緊張と動揺の中で、非常に不安定な状態になっています。そのため、適切な世話と指導が不可欠になり、遺族は故人の魂の世話に専念する特別猶予を社会から与えられます。それが「忌中」です。七日参り毎に、故人の冥福を祈るとともに、遺族も故人への執着を徐々に絶ちながら悲嘆を軽減していきます。   喪中の期間と範囲 「喪に服す」との言葉がありますが、かつては家族や親戚を失った遺族が悲しみや悲嘆から立ち直るために一定期間を喪中と定め、それを公にしていました。これは明治時代の太政官布告によるもので、昭和22年には撤廃されていますが、その時の慣習が今日まで残っています。それによると「父母と夫」を亡くした場合の喪中の期間が最も長く、1年間(13か月)とされています。「妻や子」は90日、「父方の祖父母」は150日、「母方の祖父母」は90日などとされていました。今日では社会生活の変化や、世代によっても意識に差がありますが、親等で関係性を見ると「夫・妻:0親等」、「父母・配偶者の父母・子供:1親等」、「自分の兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・祖父母・孫・配偶者の兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・配偶者の祖父母:2親等」となり、一般的には2親等までを喪中とすることが多いようです。 身内に不幸があった際には喪中はがきを出しますが、2親等はあくまでも目安とし、故人との関係の深さや同居の有無を考慮して判断します。また、送り先についてもこれまでのお付き合いや相手との関係性によって判断します。   年賀欠礼状(喪中はがき) 喪中は年賀状を出さないのがしきたりです。毎年出している相手には、12月10日ごろまでに届くように「年賀欠礼」のあいさつ状を出します。 最近は、故人との関係が2親等以上(祖父母・兄弟姉妹・孫)で別所帯の場合は、例年通りに年賀状を出すこともあるようです。「年賀欠礼状」を出さずに年賀状を受け取った場合は、寒中見舞いを兼ねて喪中であることを書き添えます。 見本パターン① 見本パターン②

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葬儀後

2019年 12月 13日(金)

位牌の準備-いつまでに必要?どのように作る?意味や種類、選び方も紹介

2023年12月19日更新。「位牌」には本位牌と白木位牌がありますが、一般的には仏壇に納める黒い位牌をイメージされる方が多いかと思います。これを「本位牌(ほんいはい)」といいます。本位牌は通常、葬儀後に遺族が準備しますが、何かと慌ただしく、思いのほか時間がありませんので、早めに着手した方が安心です。本記事では、位牌を初めて手配する方でもわかるように、◯位牌の意味や種類◯本位牌の選び方◯注文方法等、詳しく説明していきます。         【もくじ】 1.位牌とは  1-1位牌の意味  1-2位牌の役割  1-3葬儀後に本位牌を準備する理由  1-4四十九日法要までに本位牌を準備   2.本位牌の準備の流れ   3.菩提寺に相談する   4.自宅の仏壇・先祖の位牌を確認する  4-1サイズ  4-2デザイン  4-3宗派・記載内容   5.本位牌の内容を検討する  5-1本位牌の種類  5-2本位牌への文字入れ方法   6.本位牌を作る  6-1依頼先  6-2依頼内容  6-3依頼時の注意点   7.位牌の魂入れをしてもらう  7-1魂入れ(開眼供養)について  7-2魂入れのお布施の金額は菩提寺に相談  7-3お布施の準備と渡し方   8.宗派別戒名の書き方   9.よくある質問   10.まとめ:本位牌は、四十九日法要に間に合うよう早めに手配しましょう         1.位牌とは   1-1位牌の意味 「位牌」の読み方は、「いはい」です。供養のために、自宅の仏壇やお寺に安置する木製の札のことを言います。位牌には、故人様の戒名、生前のお名前、命日、年齢が記載されています。なお、神道では位牌に相当する「霊璽(れいじ)」がありますが、キリスト教には同様のものはありません。         1-2位牌の役割 位牌は、故人様の供養のため安置され、魂が宿るものと考えられています。役割に応じて「白木位牌(しらきいはい)」「本位牌(ほんいはい)」があります。   <白木位牌> 葬儀を行うときや、四十九日までの間に遺骨と一緒に安置される白木でできた仮の位牌です。この白木位牌は葬儀社がお寺に届けたり、お寺にある物を使用したりしますので、遺族が直接買うことはほぼありません。僧侶が筆で戒名などを記す場合と、戒名紙という紙に戒名を記し、その紙を貼る場合があります。     <本位牌> 仏壇に安置するための位牌です。四十九日法要の際に、僧侶に魂入れ(たましいいれ)をしていただき、本位牌が仏壇に納められます。本記事ではこの本位牌の手配について説明を進めていきます。         1-3葬儀後に本位牌を準備する理由 1-2位牌の役割で紹介したとおり、白木位牌は仮の位牌です。位牌は長くお祀りするものなので、変色や変形の可能性もある白木位牌のままではなく、本位牌に切り替える必要があります。         1-4四十九日法要までに本位牌を準備 葬儀後の慌ただしい中、四十九日法要の準備と並行して進めていくことになります。本位牌は作成までに2週間程度かかることが多いので、法要の日程から逆算して早めに注文しておく必要があります。もし間に合わない場合は9.よくある質問を参考にしてください。   もくじに戻る             2.本位牌の準備の流れ 本位牌は下記の流れで準備します。   ①菩提寺に相談する ②自宅の仏壇・先祖の位牌を確認する ③本位牌の内容を検討する ④本位牌を作る ⑤位牌の魂入れをしてもらう ⑥自宅の仏壇に安置する   次章から流れに沿って順に説明します。   もくじに戻る             3.菩提寺に相談する 菩提寺と四十九日法要の打合せの際に、本位牌の手配についても併せて相談しましょう。地域や菩提寺によっては、菩提寺に依頼して作る場合もあります。遺族自身で手配する場合は、本位牌に記載する内容も確認します。※菩提寺がない場合~葬儀を依頼した寺院もしくは葬儀社に相談するといいでしょう。   もくじに戻る             4.自宅の仏壇・先祖の位牌を確認する 時間の無い中で準備をするため、参考にできるものがあると、安心・円滑に進められます。全体像や文字部分など、写真を撮影しておくと検討・購入する際に役立ちます。   4-1サイズ <総丈を参考にする> 既にある位牌の総丈(接地面からの高さ)を参考に決めます。札丈が同じでも、台座の高さによって総高が異なるためです。総丈の高さから逆算して札丈を決めるといいでしょう。また、下記の点も考慮します。◯仏壇(の位牌を安置するスペース)に収まるサイズにする。 ※通常、上から二段目の左右のスペースが該当します。◯御本尊より小さいサイズにする。◯先祖の位牌と同等以下のサイズにする。     <注文は札丈のサイズで> 注文時は、サイズを「寸」(1寸=約3cm)もしくは「号」」で指定します。この「寸」「号」で表記されるのは札丈であり、総丈ではないことに注意しましょう。なお、カタログ等でサイズを総丈で記載されるときには「cm」で表示されることも多いようです。         4-2デザイン 先祖の位牌と一緒に安置するため、調和したものを選べるよう材質や加工方法、デザインを確認しておきます。5-1本位牌の種類も参照してください。         4-3宗派・記載内容 宗派によって記載する内容が異なります。確認しておくと、位牌の記載内容を指定する際に、安心して進められます。   ①梵字・冠字 <梵字(ぼんじ)> 宗派の本尊を表します。     <冠字(かんむりじ)> 宗派を示す文字です。「妙法」「法名」「空」など。       ②戒名 寺院より授かった仏教徒としての名前です。詳しくは、戒名とは|いつまでにどうやって付けてもらう?意味や構成、宗派ごとの違いも紹介を参照してください。     <補足1:「置き字」について> 白木位牌の戒名の下には「霊位」という置き字が記載されていることがあります。本位牌では記さないか、「位」のみ記すことが一般的です。置き字を記すかどうかは菩提寺にご確認ください。もし戒名がない場合は、俗名の下に「之霊位」と入れることが一般的です。     <補足2:白木位牌のみに記載する文字> 葬儀の際に使用する白木位牌には、戒名の上に、「新帰元」「新円寂」といった文字がつくことがあります。これは新しく仏になったことを表す文字で、本位牌には記載しません。       ③俗名(ぞくみょう・ぞくめい) 生前の名前です。       ④命日 お亡くなりになった日です。       ⑤享年(きょうねん) 人が天から享けた(うけた)年齢です。この世で修行した年数で示す「行年(ぎょうねん・こうねん)」で記載する場合もあります。享年・行年のいずれを使うのか、年齢表記を数え年か満年齢にするか、などは白木位牌に書かれている内容に合わせるのが一般的です。不明な点などがあれば、戒名を授けていただいた寺院に確認するといいでしょう。     <補足:浄土真宗の場合> 基本的に位牌を作成しません。亡くなったらすぐに成仏するため、故人様の魂が位牌に宿るとは考えられていないからです。法名軸や過去帳という帳簿に記し、それを仏壇に納めます。   もくじに戻る             5.本位牌の内容を検討する   5-1本位牌の種類 ①札位牌 通常、仏壇の中で見る本位牌は「札位牌(ふだいはい)」といい、位牌一つに一人の戒名が書かれたものです。札位牌の種類には、主に次の3種類があります。   <塗位牌(ぬりいはい)> 白木に漆を何度も塗り、金箔などで飾りをつけています。漆を重ねた回数が多いほど高級で、劣化しにくくなっています。位牌と聞いて一般的にイメージするのはこの塗位牌ではないでしょうか。       <唐木位牌(からきいはい)> 黒檀や紫檀といった高級木材に、透き漆という半透明の漆を重ねて塗った物で、木目の美しさを強調した位牌です。       <モダン位牌> 先の2つの伝統的な位牌とは異なる素材・製法で作成された位牌です。木材だけでなく、石材・ガラス材・樹脂・陶器など様々な素材が使われ、形も多種多様です。また、蒔絵が入ったり、ガラス製で透き通っていたりと、デザイン性を重視した物が多いです。色合いも黒や茶だけでなく、青・白・赤など従来の位牌にはなかった色合いの物が作られています。       <補足1:位牌の台座に種類がある> 位牌の形状には、「春日型(かすががた)」「勝美型(かつみがた)」「角切葵(すみきりあおい)型」等があります。       <補足2:夫婦位牌(めおといはい)> 一つの位牌で一人の方を祀るのが基本ですが、夫婦位牌という形式で夫婦二人を祀ることもできます。一つの札位牌に夫婦二人の戒名・命日を記します。夫婦位牌を作るときには、亡くなられている人の名前を記し、存命の人の名前は記さず空白にしておきます。       ②複数の方を祀る場合の位牌 仏壇の「位牌を安置するスペース」には限りがあるため、先祖の位牌の数が多くなると、置けなくなってしまいます。一つの位牌に複数の方を祀る形として、回出位牌、過去帳があります。     <回出位牌(くりだしいはい)> 先祖の位牌をまとめて一つの位牌にする方法です。位牌の中に戒名や命日を記した板を納める形式の位牌です。中の板を命日の日付順に並べ、命日が過ぎたらその板を後ろに入れ、次に命日が近い板の名前が前面に出るようにする、という使い方をします。もしくは、前面には「〇〇家先祖代々之霊」と書かれた板を入れておき、法要の時だけその板を前面に出すという使い方をする家庭もあります。     <過去帳> 戒名・命日・年齢・俗名などを記した帳簿で、仏壇に納めます。         5-2本位牌への文字入れ方法 文字入れの方法を指定します。     <「彫り」か「書き」> ◯「彫り」:文字を彫った後に色を入れます。◯「書き」:文字を書き入れます。     <「機械」か「(人の)手作業」> 時間を要する手作業の方が料金も高くなるため、「機械彫り」「機械書き」が多くなっています。   もくじに戻る             6.本位牌を作る   6-1依頼先 基本的には仏壇・仏具店に依頼し作ってもらいます。仏壇・仏具店の実店舗のほか、インターネット通販サイトからも可能です。     <補足:初めて仏壇、位牌を購入する場合> 宗派のご本尊、仏具も必要になります。相談しながらまとめて手配できますので、実店舗での購入が無難でしょう。         6-2依頼内容 販売店では所定のフォームが用意されていることが多いので、それに従い必要事項を記入します。   <位牌のサイズ> 4-1サイズで決めた札板のサイズを寸(号)で指定します。     <素材とデザイン> 販売店では、位牌の見本、カタログを用意しています。その中から、希望する素材、加工方法、デザインを選択します。     <文字入れの字体(フォント)と加工方法> ◯字体:伝統的な書体、明朝体などから選びます。◯文字入れの方法:「彫り」か「書き」、「機械」か「(人の)手作業」を指定します。◯文字の色:金、白が多いです。なお、文字入れの料金は位牌の価格に含む場合と別途必要な場合があります。     <記載事項・レイアウト> ■1名用の場合(例) 4-3宗派・記載内容で確認したことをもとに、位牌への記載内容とその位置を指定します。①梵字・冠文字(あれば)②戒名③俗名④命日⑤年齢(享年もしくは行年)白木位牌や先祖の位牌など参考にする位牌がある場合は、画像もあるといいでしょう。         6-3依頼時の注意点 納品までの所要期間を確認した上で、依頼しましょう。   <補足:インターネットで注文時の注意点> ◯旧字・外字の入力に注意入力の仕方がわからない場合は、手書きか、文字がわかるものを画像で送付します。◯販売店からの連絡を確認する注文後、原稿の確認依頼があります。修正の有無を速やかに返信しましょう。位牌ができあがったら、依頼内容通りに仕上がっているかを確認し、四十九日法要を待ちます。   もくじに戻る             7.位牌の魂入れをしてもらう   7-1魂入れ(開眼供養)について 四十九日には「魂入れ(たましいいれ)」あるいは「開眼供養(かいげんくよう)」と呼ばれる儀式が行われ、白木位牌から本位牌に魂を移します。魂入れには、お布施をお渡しします。四十九日法要のお布施と一緒にしてお渡しすることが多いです。法事(法要)の準備は?意味や流れ、お供え物・お布施・服装・挨拶などを紹介もご参考ください。   <補足:仏壇の魂入れ> 自宅に仏壇がなく、新たに購入して位牌を納める場合は、仏壇の魂入れのお布施も準備します。         7-2魂入れのお布施の金額は菩提寺に相談 位牌の魂入れのみは、お布施の金額は1万〜5万円程度と言われていますが、菩提寺に相談しましょう。         7-3お布施の準備と渡し方 下記のように準備し、お渡しします。   <袋> ◯奉書紙か白封筒に入れます。奉書紙の場合はお金を半紙で包みます。◯薄墨ではなく濃墨の筆か筆ペンで、「御布施」と表書きします。     <お金の入れ方> ◯お札の肖像画が袋の表面の上側に来るように入れます。◯袱紗(ふくさ)か、切手盆(きってぼん)に乗せます。※袱紗:お金が入った金封を渡すときに使う小さな風呂敷※切手盆:金品を渡すときに使用する小さなお盆     <お渡しするタイミング> 法要が始まる前か後のご挨拶時がいいでしょう。   もくじに戻る             8.宗派別戒名の書き方 詳しくは、戒名とは|いつまでにどうやって付けてもらう?意味や構成、宗派ごとの違いも紹介を参照してください。   もくじに戻る             9.よくある質問 Q:四十九日法要までに間に合わない場合はどうしたらいいですか? A:菩提寺(四十九日法要をお願いする寺院)に相談しましょう。一周忌など次の法要の際に魂入れを行っていただくこともできるようです。         Q:位牌を自宅に安置できない(仏壇を置く場所がない)場合はどうしたらよいですか? A:お寺に預ける「寺位牌(てらいはい)」という方法があります。位牌の詳細、お預けする際のお布施などは菩提寺にご相談の上、位牌を手配します。         Q:かなり前の先祖の位牌があるのですが、処分してもいいのでしょうか? A:基本的には三十三回忌や五十回忌などで「弔い上げ(とむらいあげ)」といって、個人としての供養を終了します。弔い上げされた方は「〇〇家先祖代々」として先祖位牌を作成して供養する方法と、回出位牌にするという方法があります。いずれかの位牌へ魂を移すことができます。菩提寺には、魂の移し替えと古い札位牌のお焚き上げをお願いします。位牌に記載されていた戒名や俗名等の情報は、過去帳に記すといいでしょう。   もくじに戻る             10.まとめ:本位牌は、四十九日法要に間に合うよう早めに手配しましょう ここまで、位牌の意味、本位牌の手配方法などについてお話してきました。   <ポイント> ◯四十九日を境に替えるのが望ましい。◯仏壇に納める「本位牌」は遺族が用意する。◯菩提寺に四十九日法要の相談の際に位牌のことも併せて確認する。◯先祖の位牌を参考にするとよい。◯購入先は、仏壇・仏具店の店舗、インターネット通販など。○白木位牌から本位牌に入れ替える際は、魂入れを行ってもらう。◯間に合わない場合は菩提寺に相談する。本位牌の準備も四十九日法要も滞りなく済ませ、忌明け後は故人様を仏壇内で長く大切にお祀りできるようにしましょう。      

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葬儀後

2019年 11月 21日(木)

法事(法要)の準備は?意味や流れ、お供え物・お布施・服装・挨拶などを紹介

2023年12月19日更新。この記事では法要・法事の基本的な知識と、当日の流れや準備全般を項目ごとに紹介しています。「法要の準備」の項目では、スケジュールを具体的に示していますので、記載の流れに沿って準備を進めるだけで順序よく法要・法事を整えられます。チェックリストとしてもご活用ください。         【もくじ】 1.法要・法事とは 2.法要の種類 3.法要・法事の当日の流れ 4.法要・法事の準備 5.法要・法事の挨拶例 6.宗教の違いによる法要の違い 7.まとめ:法要の準備はできる限り早めに余裕を持って進めましょう         1.法要・法事とは 1-1法要の意味 法要とは故人の冥福を祈るために命日に行われる儀式をいいます。法要では僧侶を招いてお経をあげていただき、遺族や親族、友人・知人で焼香します。         1-2法要と法事の違い <違いは「会食の有無」> 法要の後に会食の席を設けると「法事」になります。会食には、故人様を偲ぶと共にお世話になった方をもてなす役割があります。       <「会食の有無」の判断について> 会食の有無の判断は施主に一任されており、特に決まりはありませんが、四十九日や一周忌、三回忌といった重要とされる法要では、会食の席を設けるケースがほとんどです。一方で、近頃では新型コロナウイルス感染防止が優先され、会食を行わないケースやお持ち帰りのお膳(お弁当)で対応することも増えています。   もくじに戻る             2.法要の種類 2-1大別して4つの法要がある <①忌日法要> 亡くなった日から数えて7日ごとに行う法要です。死者は死亡した日を1日目として、7日ごとに7回、生前の罪状などを裁く審判があり、すべての審判が終わった後に成仏するとされています。その審判を少しでも良くしていただくために行うものとされています。そのため、忌日法要は追善供養とも呼ばれます。※浄土真宗を除く。     ○初七日法要(7日目 しょなのか)○二七日法要(14日目 ふたなのか)○三七日法要(21日目 みなのか)○四七日法要(28日目 よなのか)○五七日法要(35日目 いつなのか)○六七日法要(42日目 むなのか)○七七日法要(49日目 なななのか)=四十九日法要○百箇日法要(100日目 ひゃっかにち)     初七日は葬儀と日が近いため、葬儀当日に遺骨迎えの法要と一緒に済ませることが多くなっています。また初七日と四十九日以外は、遺族で済ませることが多いようです。本来は僧侶を招いて行いますが、最近は省略して、家族だけで済ませることが多くなりました。       <②祥月命日> 亡くなった日と同じ月日に行う法要です。三回忌などの「年忌法要」以外にも、祥月命日にあたる日は、内輪で供養を行います。最初の祥月命日にあたる一周忌は大切な法要となります(後述)。       <③年忌法要(年回法要)> 祥月命日の中でも特定の年に行う法要です。亡くなった日を1回目として、「3」と「7」の回にあたる年に行うのが一般的です(宗派によって異なります)。「故人様のことを心に刻むため」、また「子孫へと繋がる結束を固めるため」に行います。     亡くなった日を1回目の命日として、○三回忌(3回目)○七回忌(7回目)○十三回忌(13回目)○十七回忌(17回目)○二十三回忌(23回目)○二十七回忌(27回目)○三十三回忌(33回目)     「十三回忌まで」もしくは「三十三回忌まで」法要を行うことが一般的です。三十三回忌が終わると「年忌明け」といい弔い上げが行われます。       <④月忌法要> 毎月、亡くなった日と同じ日に行う法要です。家によって、僧侶に読経してもらったり、仏壇に故人様の好物などを供えたりします。         2-2親族や知人を招く主な法要 特に重要とされている法要は、○四十九日法要(忌明け法要)○一周忌○三回忌です。これらの法要は親族以外に友人・知人を招いて執り行います。法要は回数を重ねるにつれ、遺族だけの集まりとなっていくのが一般的です。       <四十九日法要> 四十九日法要は、前述のように7回目の審判が終わり、故人様の魂が成仏するため、大切な法要となります。この日はご遺族にとって忌明けとなります。親族や友人知人を招いて僧侶に読経をあげていただき、忌明けの宴を催します。四十九日法要では、仮位牌から本位牌に変える「位牌の開眼供養」も一緒に執り行います。同時に初めて仏壇を用意するのであれば、「仏壇及びご本尊の開眼供養」も執り行います。       <一周忌> 亡くなった翌年の命日を一周忌といいます。この日は、最初の祥月命日にあたると共に、ご遺族にとって喪が明ける節目の日となります。親族や友人知人を招いて僧侶に読経をあげていただき、喪明けの宴を催します。       <三回忌> 亡くなった日を1回目として、3回目の命日(2年後の命日)に執り行います。初七日から始まり四十九日・百か日・一周忌・三回忌と合計10回の裁きがあり、三回忌で来世における道が決まる大切な法要です。三回忌より回忌という数え方になりますので、ご注意ください。やはり同様に親族や友人知人を招いて僧侶に読経をあげていただき、法要後に宴を催します。         2-3法要の数え方 忌日法要は、亡くなった日を1日目と数えて7日ごとに行われます。年忌法要は、亡くなった日を1回目と数えて行われます。前述したように「3」と「7」回にあたる年に行うのが一般的です(宗派によって異なります)。   もくじに戻る             3.法要・法事の当日の流れ 3-1法要の流れ ①参列者着席②僧侶入場③読経④焼香⑤法話⑥僧侶退場⑦施主挨拶⑧お墓参り(もしくは納骨式) ※⑥と⑦は前後します。※⑧は法要の会場が寺院の場合。         3-2会食の流れ ①施主開催の挨拶②献杯③会食④引出物を渡す⑤散会の挨拶         3-3法事の流れ 「法要の流れ」と「会食の流れ」を合わせたものになります。   もくじに戻る             4.法要・法事の準備 法要の準備は2カ月ほど前から始めます。準備の流れは毎回同じ手順です。ただし四十九日の法要は、準備期間が1ヶ月半ほどのため葬儀の直後から準備を始めます。   【開催日の2ヶ月前】 ①施主(主催者)の決定 ②開催候補日の選定 ③僧侶との打ち合わせ、日程の決定 ④予算の決定 ⑤参列者の選定 ⑥会場の手配 ⑦会席料理の手配     【開催日の1ヶ月半前】 ⑧案内状の準備と発送     【開催日の1ヶ月前】 ⑨参列者の決定 ⑩交通手段の確認と宿泊手配 ⑪引出物の手配 ⑫会席料理の数の確定 ⑬卒塔婆の建立者リストの作成 ⑭卒塔婆の依頼     【開催日の2~3週間前】 ⑮供花や供物の手配 ⑯会食の席順を決める ⑰喪服の準備     【開催日の1週間前】 ⑱お布施の準備     【開催日前日】 ⑲当日持参するものの準備         4-1【開催日の2ヶ月前】 ①施主(主催者)の決定 一般的には、葬儀の時に喪主になった方、あるいは故人様に最も血縁の近い方が施主になります。       ②開催候補日の選定 法要は命日の当日に執り行うのが好ましいとされています。命日に営めない場合は、多少早めても構いません。少なくとも命日より遅らせないようにします。招待者が多い場合は、命日より前の土日祭日を選ぶようにすると参加しやすくなります。法要の候補日が決まりしだい菩提寺に連絡して相談しましょう。       ③僧侶との打ち合わせ日程の決定 打ち合わせの際は、 ○日時○当日いらっしゃる僧侶の人数○送迎方法(会場が菩提寺以外の場合)○会食の参加の有無○お布施の金額○卒塔婆(そとば)の申込方法や費用 などを聞いておきます。菩提寺での法要を希望する場合は、打ち合わせの際など早いタイミングでおさえておくことをおすすめします。土日祭日は他の檀家の法要も多く、菩提寺の予約が埋まりやすい傾向にあります。ちなみに故人にお経を捧げるという考え方のない浄土真宗では卒塔婆を立てません。       ④予算の決定 <法要の主な費用> ○僧侶へのお布施○会場費○会食の料理○供物○引出物(お返し)○案内状(返信用はがき付き)・郵送費       ⑤参列者の選定 四十九日や一周忌・三回忌までは、親族の他、故人と深いお付き合いのあった友人・知人にも声をかけるのが一般的です。高齢な方で法事には来られないと予想される場合も、一旦はお誘いするのがマナーです。       ⑥会場の手配 法事を執り行う場所は○菩提寺○自宅○葬儀社の直営斎場○ホテル・仕出し料理店などがあります。それぞれに条件の長所・短所がありますので招待者の範囲や人数を踏まえて検討しましょう。       <菩提寺> 会場費 :有料広さ  :広いアクセス:立地による設備  :揃っている予約  :必要会食  :寺院内、または移動して料理屋段取り :菩提寺と相談して進める 菩提寺があって、納骨も行う場合(四十九日法要など)には、移動が少なくて済みます。また菩提寺で行うため、僧侶の御車代も不要です。納骨の為の石材店との打合せが必要です。       <自宅> 会場費 :無料広さ  :他と比べて狭いアクセス:立地による設備  :駐車場等揃っていない場合が多い予約  :不要会食  :自宅または料理屋で行う段取り :準備や備品の用意、片付けは自分で行う。 少人数で行う場合に適しています。また高齢者や小さな子供がいる場合に、周囲に気を遣うことが少なくて済みます。一方で自分で行うことが多くなるため、手間がかかります。       <葬儀社の直営斎場> 会場費 :有料広さ  :広いアクセス:良い設備  :揃っている予約  :必要会食  :ホールまたは料理屋で行う段取り :準備や片付けは葬儀社が行う 会食の他、返礼品や供花なども一緒に手配できる点も便利です。法要での使用よりも、通夜・葬儀が優先されることが通常です。       <ホテル・仕出し料理店> 会場費 :有料(高い傾向にある)広さ  :広いアクセス:非常に良い設備  :仏具関連は準備が必要予約  :必要会食  :ホテル内で行う段取り :準備や片付けはホテル側が行う アクセスが良く大勢を招待できる他、会食もホテル内で行えます。一方で、ホテルによっては「焼香ができない」「読経ができない」「ご遺骨の持ち込みができない」場合があるため、事前の確認が必要です。       ⑦会席料理の手配 会席料理のメニューを決める際、費用の相場は3千円〜1万円ほどです。メニューは和食が一般的で、好き嫌いのないものを選びましょう。近頃は新型コロナウイルスの影響を受けて、会食の席を設けないケースも増えています。この場合は持ち帰り用の折詰を用意し、引出物と一緒に渡します。また案内状で会食は行わない旨を伝えておきます。 法要・法事の準備一覧に戻る         4-2【開催日の1ヶ月半前】 ⑧案内状の準備・発送 ○正式:返信用ハガキを同封した案内状○略式:返信用ハガキのみ目上の方や故人様の友人・知人へは、正式を送るようにします。身内へは、略式の他、電話での連絡でも構いません。また会食に行う献杯の発声を、親族にお願いする際は、この時に依頼しましょう。なお案内状に返信期限を明記しておくと、参列者の人数を早めに確定させることができます。返信期限は引出物や会食の準備などを考慮して、遅くても開催日の2~3週間前までにしておくと余裕を持って行えます。 法要・法事の準備一覧に戻る         4-3【開催日の1ヶ月前】 ⑨参列者の決定 参列者から案内状の返信が届き次第、参列者名簿を作成しておきます。引出物や会席料理、宿泊の手配などを順次進めていきましょう。       ⑩交通手段の確認・宿泊手配 宿泊者がいる場合は、宿泊の手配を行います。また式場までのアクセスを確認し、土地勘がない参列者には事前に経路を伝えておきます。法要の式場が自宅の場合は、有料パーキングの場所も併せて伝えましょう。       ⑪引出物(お返し)の手配 <費用目安> 2千~5千円が一般的です。     <引出物にふさわしいもの> ○軽くてコンパクトなもの(持ち帰りが楽)○消えもの(悲しみが残らない)特に海苔やお茶、お菓子の詰め合わせ、日用品の詰め合わせなどが好まれます。近頃では好きなものを選べるということから、カタログギフトも人気です。     <引出物にふさわしくないもの> 生ものや重いもの、残るものです。       ⑫会席料理の数の確定 参列者の人数が決まったら会席料理の数を確定し、注文先に連絡します。料理は法要直前の参加に備えて、追加はいつまでだったら間に合うのか確認しておきましょう。       ⑬卒塔婆の建立者リストの作成 卒塔婆(そとば)は、基本的には遺族と親族で建てます。そのための名簿リストを作成します。親族に法要の連絡をする際、卒塔婆を立てる意向も聞いておくとスムーズに進められます。     <卒塔婆とは> 卒塔婆は塔婆(とうば)ともいいお釈迦様の遺骨を納めた塔を模した木の板のことです。卒塔婆を立てることはお経を唱えることと同様供養になり、遺族にとって善行を積む意味もあります。ちなみに故人にお経を捧げるという考え方のない浄土真宗では卒塔婆を立てません。       ⑭卒塔婆の依頼 卒塔婆リストを渡し依頼するとともに、菩提寺へ卒塔婆の代金を支払います。代金は施主が立て替えておき、後日親族から代金をいただくようにしましょう。ちなみに浄土真宗では卒塔婆は用意しません。 法要・法事の準備一覧に戻る         4-4【開催日の2~3週間前】 ⑮供花や供物の手配 <供花の手配> 祭壇に供える花を供花(きょうか・くげ)といいます。供花は白菊や百合を中心にデンファレやカーネーションなど、淡い色合いで日持ちの良い花がよいでしょう。トゲのある花や香りの強い花、しおれやすい花はふさわしくありません。     <供物の手配> 供物は「五供(ごく)」という仏教のしきたりに沿って用意します。五供とは以下のものを指します。 ○香:線香○花:生花(供花や墓前に供える仏花)○灯燭(とうしょく):ロウソク○浄水:水・お茶(浄土真宗では用意しません)○飲食(おんじき):供物(お菓子や果物など)       ⑯会席の席順を決める 参列者名簿を元に、会食の席順を決めます。席順は、僧侶が最上座、親族の年長者から順に友人・知人となります。施主と遺族は下座です。席順を分かりやすくするために名前カードを活用してもよいでしょう。       ⑰喪服の準備 施主や遺族の服装は、法要の格式を保つ意味でも正装である正喪服がふさわしいとされています。特に四十九日法要・一周忌法要・三回忌法要までは正喪服の着用が一般的です。七回忌法要より後は喪主・親族ともに準喪服や略喪服でも構いません。     <男性の場合> 正喪服とはブラックフォーマルのことであり、準喪服はブラックスーツ、略式喪服はダークスーツのことです。     <女性の場合> 正喪服や準喪服はブラックフォーマル、略喪服はダークカラーのワンピースやアンサンブルとなります。近頃の傾向として施主・親族ともに四十九日法要から、準喪服や略式喪服を着用するケースが増えつつあります。 法要・法事の準備一覧に戻る         4-5【開催日の1週間前】 ⑱お布施の準備 お布施は、お経を読んでいただいたお礼として渡します。お布施には相場はありませんが、法要では3〜5万円が一般的な目安のようです。菩提寺との打ち合わせの際にお布施の金額について相談しておくとよいでしょう。「お布施」のほかには「会場使用料」「御車代」「御膳料」を用意します。会場使用料は、菩提寺の会場を使用した場合に必要となる場合があります。御車代は菩提寺から式場までの交通費が目安です。御膳料は5千~1万円が相場で、僧侶が会食に参加されない場合に用意します。お布施・御車代・御膳料は、いずれも半紙と奉書紙または白封筒に包み表書きを書きます。 法要・法事の準備一覧に戻る         4-6【開催日前日】 ⑲当日持参するものの準備 法要当日には以下の持ち物を準備します。 ○遺影○位牌○お布施、御膳料、御車代 ※袱紗に包んでおきます○供花、供物○線香、墓前用の花、お供え物○引出物(お返しの品) 四十九日法要では本位牌と白木位牌を入れ替えるため、白木の仮位牌も持参します。納骨前の法要ではご遺骨もかならず式に持参します。供花は生花店に、供物や引出物は依頼した業者に配送してもらえる場合はお願いした方がよいでしょう。位牌について詳しく知りたい方は、コラム「位牌を購入するのはいつ?」をご参考ください。 法要・法事の準備一覧に戻る   もくじに戻る             5.法要・法事の挨拶例 以下に施主の挨拶の例文を紹介します。挨拶をする際の参考にしてみてください。     5-1法要の挨拶 <法要開式の挨拶> 本日は、お忙しい中お集まりくださいまして、誠にありがとうございます。これより、亡き(父・母・夫・妻)〇〇の△△法要を執り行いたいと存じます。本日は◇◇寺より☆☆ご住職様にお越しいただいております。ではご住職、よろしくお願いいたします。     <法要閉式の挨拶> 本日は、お忙しい中お集まりくださいまして、誠にありがとうございました。亡き(父・母・夫・妻)〇〇の△△法要を無事終えることができました。皆様には心より御礼申し上げます。これより墓前にてお参りしたあと、□□にてお食事の席をご用意しております。お時間の許す限り、お過ごしいただければと存じます。では、ご移動をお願いいたします。         5-2会食の挨拶 <会食の始まりの挨拶> 本日はお墓参りにもお付き合いいただき、誠にありがとうございました。こうして○○を偲ぶ席に皆様をお招きできましたこと、本当に嬉しく思っております。心ばかりの粗宴ではございますが、○○の思い出話でもしながら召し上がっていただければと思います。どうぞお時間の許す限り、ごゆっくりおくつろぎください。では▽▽様、献杯の発声をお願いいたします。       <会食の終わりの挨拶> 本日は、お忙しい中最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました故人の思い出話は尽きないかと存じますが、これにてお開きとさせていただきます。皆様から○○の思い出話を伺い、私たちでも知らなかった故人の一面を知ることができました。○○が亡くなり私どもも大変寂しく思っておりますが、どうぞこれからも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。どうぞお足元にお気をつけてお帰り下さい。         5-3法要・法事の案内状 <法要の案内状> 拝啓 **の候 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げますさて来る*月*日は 亡父 ○○の△△忌にあたりますつきましては左記により法要を営みたく存じます法要の後は供養のしるしに□□にて粗宴をご用意させていただいておりますご多用中のところ 誠に恐縮ではございますが ご臨席を賜りたくご案内申し上げます尚 お手数ですが*月*日までに 同封のはがきにてご返信ください謹白 誰の何回忌の法要を、いつ・どこで(場所の名前・住所・最寄駅)行うのかを記します。また法要の後で行われる会食についてもお知らせしておきます。案内状には頭語と結語である「拝啓 敬具」または「謹啓 謹白」が使われます。「謹啓 謹白」の方がより丁寧であるため目上の方に使います。文面は「忌み言葉」を避けて、行の最初は開けず、「、」「。」は使わないのが書き方のマナーです。   もくじに戻る             6.宗教の違いによる法要の違い 神道やキリスト教にも法要に似た儀式があります。法要や法事は仏教の言葉のため、神道では、「~祭」キリスト教では、「プロテスタント:記念集会」「カトリック:追悼ミサ、祈念の集いまたは命日祭の祈り」という言葉を使います。     6-1神式の法要の特徴 神式では、法要にあたるものとして「霊祭(れいさい)」と「式年祭(しきねんさい)」があります。   <霊祭> ○翌日祭○十日祭、二十日祭…五十日祭(十日ごと)○清祓祭(五十一日目)○百日祭     <式年祭> ○一年祭、三年祭、五年祭○十年祭、二十年…五十年祭(十年ごと)○百年祭   <式の流れ> ①修祓の儀(しゅうばつのぎ) ・拝礼、献餞(けんせん)②祝詞献上(のりとけんじょう)③玉串奉奠(たまぐしほうてん)④直会(なおらい)です。「①修祓の儀」は、斎主(さいしゅ)が大幣(おおぬさ)で祓い清めてから、拝礼し、献餞によってお供えします。「②祝詞献上」の後、「③玉串奉奠」で参列者が玉串を祭壇に捧げます。「④直会」はお供えした御神酒や神饌物を参列者全員でいただく儀式です。         6-2キリスト教式の法要の特徴 キリスト教ではカトリック教会とプロテスタント教会で内容が異なります。   <カトリック> ○追悼ミサ(3日目・7日目・30日目)○昇天日ミサ(1年後)その後は10年ごとにミサを行うのが一般的です。追悼ミサでは聖歌斉唱・祈祷・聖書朗読が行われます。       <プロテスタント> ○記念集会(10日目、1ヶ月目)○追悼記念集会(1年目・3年目・5年目・7年目)   もくじに戻る             7.まとめ:法要の準備はできる限り早めに余裕を持って進めましょう 法要は、余裕のあるスケジュールで準備していくと安心です。また開催日が命日より後にならないように注意しましょう。そのためにも菩提寺へは早めに連絡し、日程をきちんとおさえておきましょう。家族で準備するのが大変な場合は、葬儀の際にお世話になった葬儀社に法要の準備を相談してもよいでしょう。    

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葬儀後

2019年 12月 20日(金)

納骨の時期と進め方

2023年12月19日更新。葬儀の次にとても大切な儀式、四十九日法要と納骨式。 一般的には四十九日法要をもって忌明けとし、そのタイミングで納骨も行い、仏壇に祀る本位牌も用意しなければなりません。他にも準備することは多くあります。 安心して大事な儀式に臨めるよう、四十九日法要と納骨式についてご紹介いたします。       【もくじ】 1.四十九日法要と納骨 2.手元供養ってどんなもの? 3.納骨式の進め方 4.納骨後の会食 5.納骨式に招待されたら 6.神式での埋葬祭 7.キリスト教での埋葬(納骨)       1.四十九日法要と納骨 葬儀の後、遺骨は自宅に安置してきましたが、多くの場合は四十九日法要(地域や家のしきたりによっては三十五日法要)と同時に納骨します。一般的にはこの四十九日法要をもって忌明けとします。 地域や宗派によっては葬儀後すぐに納骨し、法要は別に行うところもあります。納骨は通常、骨壺に故人の戒名(法名)、俗名、死亡年月日、死亡年齢(行年)を書き入れ、骨壺ごと埋葬することが多いです。 しかし東北地方などでは、骨壺を使用せず、骨箱と呼ばれるものに火葬場で遺骨を入れ、納骨するときは、骨箱から遺骨を全部出し、遺骨だけを納めます。   納骨のとき用意するもの 一般的に手おけやひしゃくは墓地や霊園で借りられることが多いので、お墓にお供えする生花や供物などを準備します。 納骨の際には埋葬許可証を墓地の管理者に提出しますが、基本的には火葬の際に遺骨と一緒に渡されますので、わざわざ準備する必要はありません。   本位牌の準備 四十九日法要が終わると、位牌を仏壇に納めます。葬儀から納骨までは白木の位牌を使用していましたが、仏壇に納める時には本位牌に替えますので、仏壇店などであらかじめ準備しておく必要があります。 多くの場合は、四十九日法要と併せて位牌の魂入れを行います。本位牌の作成にかかる日数なども考慮し、四十九日法要に間に合うように早めに手配しておきましょう。     2.手元供養ってどんなもの? まだ墓地を用意していない場合、埋葬許可証があれば自宅に安置しておいても違法ではありませんが、遺族の心の整理をつけるためにも、そして故人のためにも、納骨先の手配が済み次第、納骨してあげた方が良いでしょう。   どうしても故人をそばに感じたい方は遺骨の一部を残して手元供養するという方法もあります。 「故人を常に近くに感じていたい」「嫁ぎ先で実父母の供養がしたい」「お墓が遠方のため墓参りが難しい」など、大切な人の遺骨や形見の品を身近に置き、心のよりどころとする新しい祈りの形が手元供養です。 ミニ骨壷のようなお部屋に安置するタイプから、ペンダント型の身に着けるものまでさまざまな大きさとデザインがあります。     3.納骨式の進め方 納骨は、事前に墓地や墓石を掃除して、花や故人の好物などを供えます。以下の①~⑦の手順で納骨式を行っていきます。 ① お墓の石ぶたを取り除く② 骨壷をカロート(納骨棺)に安置③ 石ぶたを閉じる  ※①~③までは石屋さんが行います。④ 宗派によっては墓石の後ろに塔婆を立てる⑤ 線香、ロウソクを供える⑥ 僧侶の読経⑦ 施主から順に焼香し、合掌する     4.納骨後の会食 納骨が終了すると、施主、遺族、参列者一同は会食の席に移ります。場所は菩提寺、自宅、霊園の法要室、あるいは料亭、レストラン、ホテルなどを利用するのが一般的です。 席上、施主は納骨と四十九日の法要が終了したこと、納骨式に参列してもらったことへのお礼と挨拶を述べます。 地域によっては、引出物が配られることがあります。表書きは「志」と書くことが多いようです。     5.納骨・四十九日法要の案内状が届いたら 納骨や四十九日法要の案内状が届いたら、できるだけ参加するようにしましょう。 服装は基本的に喪服が良いでしょう。お香典を包む場合の表書きは、宗教や宗旨によっては異なる場合もありますが、四十九日の法要までは「ご霊前」を使用するのが一般的です。 遺族が会食を用意していることもありますので、参列する人数をきちんとお伝えするようにしましょう。     6.神式での埋葬祭 神葬祭が終わると、翌日祭、次に10日毎の祭事と五十日祭、百日祭、式年祭が行われます。 納骨(埋葬祭)は一般に五十日祭までの祭事の間に行われますが、五十日祭に納骨することが多いようです。 埋葬祭では墓に納骨をした後、神主により修祓(しゅばつ)、祭詞奏上(さいしそうじょう)が行われ、一同は玉串拝礼、二拝二拍一拝を行います。 参列者は「御榊料」「御玉串」と表書きをして現金を包み施主へ渡し、施主は神主へ「御礼」と表書きをして渡します。これは仏式でいうところのお布施になります。     7.キリスト教の埋葬(納骨) キリスト教は本来土葬ですが、現在の日本では土葬を行うのは現実的でないため、火葬の後、骨上げをします。 引き続き納骨する場合は、墓地で埋葬(納骨)の祈りを行い、墓に納めます。 埋葬(納骨)まで時間がある場合は一時自宅に安置して、7日目の追悼ミサか1か月後の召天記念日、または命日に埋葬をします。       目次に戻る

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葬儀後

2019年 12月 06日(金)

遺品の整理・形見分け・遺産相続の心得

2023年12月19日更新。故人の想い出にと、遺品を形見分けとして知人に差し上げることがあります。しかし、相続権のない人に高額な遺品をあげることは贈与になり、贈与税の対象になることがあります。遺品の形見分けや遺産相続は、大きなトラブルに発展する可能性もあるので事前の知識が大切です。相続する際の法定相続分や、相続後の相続税などについて、ここでは基本的なことをご紹介します。【もくじ】 ・遺品の整理はまず職場のものから ・形見分けは原則として親族間で ・遺言状の有無による遺産の分割 ・法定相続人 ・法定相続分 ・相続税の基礎控除 ・相続税のかからない財産とは ・遺産相続の放棄 ・相続税の申告   遺品の整理はまず職場のものから 故人が勤めていた場合、葬儀が終了次第、職場に行き、故人の遺品の整理をして引き取ります。自営などである場合は、仕事関係の書類や帳簿類は、税金等の関係を考慮して、少なくとも5年は保存しておきます。日記や手紙は、1か所にまとめて2~3年間は保存しましょう。   形見分けは原則として親族間で 形見分けをする品物は、故人の生前がしのばれる愛用のもの、洋服、和服、時計、愛蔵書、趣味の道具、装飾品(ネックレス、指輪類)などです。これらは、おおむね親族間で分けます。常日ごろあまり付き合いのない人や目上の人に安易に差し上げるのは禁物です。 また、相続権のある方に渡すことは相続となり、相続権の無い方に渡すことは贈与となります。110万円以上の品物は、贈与税の対象となりますので注意しましょう。 遺言状の有無による遺産の分割 故人が遺言を残している場合は、遺言に従って遺産を分けます。遺言のない場合は、相続人同士の話し合いで分けます。話し合いがつかない場合は、法律に従って遺産を分けることになります(法定相続分)。   法定相続人 配偶者は必ず法定相続人になります。次に子や孫などの直系卑属、そして父母や祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹やその子の順で相続権が発生します。   法定相続分 故人に配偶者以外の法定相続人がいない場合には、配偶者が遺産の全てを相続します。配偶者と他の親族が法定相続人になる場合の法定相続分は以下になります。 配偶者と直系卑属(子や孫)配偶者2分の1、子2分の1 配偶者と直系尊属(父母や祖父母)配偶者3分の2、直系尊属3分の1 配偶者と兄弟姉妹(またはその子)配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1 相続税の基礎控除 相続税には基礎控除があり、具体的には3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)の金額を超えた分だけ相続税がかかります。遺産総額≦基礎控除額の場合には相続税はかかりません。 相続税のかからない財産とは 遺産を相続したり譲り受けたりした場合でも、以下のような課税対象にならないものもあります。 ① 墓地、墓所、墓石、霊廟② 生命保険金のうち「600万円×法定相続人数」の額まで③ 退職金のうち「600万円×法定相続人数」の額まで ④ 香典、弔慰金(金額により) ⑤ 相続税の申告期限前に震災、風水害、落雷、火災などの災害で被害を受けた相続財産 また、葬儀に掛かった費用(香典返しや法要の費用は除く)も相続税の課税対象にはなりません。   遺産相続の放棄 相続には単純承認と限定承認、相続放棄の3つの方法があります。 単純承認プラスの財産もマイナスの財産も無条件に引き継ぐことです。何も手続きを取らなければ単純承認となります。 限定承認マイナスの財産のうち、プラスの財産を超える分は引き継がないことです(マイナスの財産は放棄してプラスの財産だけ引き継ぐ、ということはできません)。相続人全員の総意が無いと行えません。 相続放棄プラスの財産もマイナスの財産も全て相続を行わないことです。単独で行うことができます。この場合、相続人でなかったものとみなされるため、相続の権利が移動します。したがって、他の相続人の相続分が増えたり、新たに相続人になる人が出る可能性があります。   相続税の申告 相続開始を知った日(亡くなったことを知った日)の翌日から10か月以内に行わなければなりません。   贈与税の申告と納税の期限 贈与税の申告と納税は原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までに、財産をもらった人の住所を所轄する税務署で行います。 (平成30年4月1日現在法令等)

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葬儀後

2019年 12月 05日(木)

仏壇・仏具を購入する前に知っておきたいこと

2023年12月19日更新。仏壇を購入するにあたり、和室がない、家全体がモダンな造りになっていて伝統的な仏壇が合わない、または仏壇を置くスペースがない、など困ってしまうことがありませんか。しかし、仏壇はご先祖や新仏をお祀りするのに必要なものです。このコラムでは、仏壇とはそもそも何なのか?から、仏壇の購入や古くなった仏壇の処分についてなどをご紹介します。【もくじ】 ・仏壇は家庭の中の小さなお寺 ・仏壇を購入するタイミング ・仏壇の種類 ・仏壇を購入するときのポイント ・仏壇の飾り方 ・本尊 ・日々の供養 ・仏壇の処分   仏壇は家庭の中の小さなお寺 家庭での供養、法要の中心になるのは、家庭の中の小さなお寺といわれる仏壇です。葬の儀式が終わり、新仏の四十九日の満中陰を迎える時、あるいは一周忌、三回忌の年忌法要を迎える時、お盆やお彼岸の時など仏事の時や家を新築した場合などに仏壇の新調が行われます。 仏壇は祖先の霊をお祀りするとともに仏像を安置する場所です。文献では『日本書紀』通証34に「仏壇、家ごとに仏舎をつくる」とあります。家庭の仏壇は新仏をはじめ先祖の霊を祀り、それぞれの家の信仰する各宗派の本尊を礼拝します。仏教本来の考えからいえば、本尊が主で位牌が従という関係になります。宗派によって本尊が異なりますから、菩提寺に確認するなどします。仏壇を安置する方角に吉凶はありませんが、一般的に北向きは避けます。家の中で落ち着いて礼拝できる場所を選びましょう。   仏壇を購入するタイミング 仏壇の購入は、新仏を供養するため、法要や祥月命日、お盆、お彼岸、家の新築時になどのタイミングに合わせて購入するのが一般的です。購入する時は十分に選び、納得してから購入しましょう。   仏壇の種類 仏壇は大きく分けると3種類の形と特徴があります。 ① 主に関東地方に多い、黒壇、紫壇などの木目が美しい唐木仏壇(写真左) ② 主に関西、北陸地方に多い、金箔を張った漆塗りの金仏壇 ③ 洋間にも合う家具調仏壇(写真右) 最近は住宅事情などもあり、コンパクトでインテリアにもなる家具調仏壇が人気になっています。 仏壇を購入するときのポイント 仏壇は家庭の中でひとつの心のよりどころです。また、家庭の鏡となるものでもあります。家族の安らぎとなるように、心をこめて選びます。以下のポイントを参考にしてみてください。 ① 自分の家の宗派と合う仏壇を選ぶ ② 予算を決めてその範囲内で選ぶ ③ 仏壇を置く場所も考えて決める ④ 実際に購入する現物を確認する ⑤ 材質や塗りなど品質のチェックをする 仏壇と位牌 仏壇は本尊を祀るための祭壇です。もとは仏像を安置する「厨子(ずし)」から発達したものといわれています。葬儀のときに飾った白木の位牌は、忌明けに寺か墓に納めます。代わりに塗りか唐木の本位牌を用意し、表に仏名、没年月日、裏に俗名と享年を記入して、忌明け法要の際に供養してもらいます。この本位牌は、忌明けに仏壇に安置します。   仏壇の飾り方① 最上段中央に本尊を祀る ② 位牌は本尊の両脇か下の壇に安置する ③ 五具足/ごぐそく(香炉・灯台/火立一対・花立て一対)の場合は、香炉が中央に燭台は左右、その外側に花立てを置く   ①~③が一般的な飾り方となります。③が三具足/みつぐそく(香炉・灯台/火立、花立て各1個)の場合は、香炉を中心に置き、向かって左が花立て、右が燭台となります。 仏壇の飾り方一例 本尊 位牌 高月/高杯(たかつき) 花立て マッチ消し 経机(きょうづくえ) 香炉 吊し灯籠(つるしとうろう) 茶湯器(ちゃとうき) 仏飯器(ぶっぱんき) 置灯籠 灯明(とうみょう) 鈴(りん) 木魚 本尊 ご本尊は、お仏壇の中にお祀りする最も大切な信仰対象ですが、立派な仏壇を買い求めて位牌だけをお祀りしている方を見受けることがあります。お寺の中心がご本尊であるように、お仏壇の中心にもご本尊を安置したうえで位牌や過去帳を納めます。ご本尊には細かい細工が施された木彫りの仏像、掛軸、自立型の掛軸本尊など、様々なタイプがありますが宗旨・宗派によって異なりますので、実家の宗派を確認してください。   日々の供養 毎朝、その日の朝炊いたご飯と新しい水を供え、灯明をともして線香を上げ、鈴を鳴らして合掌します。季節の初物や花も絶やさないようにして供養します。   開眼供養(かいげんくよう) 仏壇を新しく購入すると、僧侶に本尊と位牌の開眼供養(魂入れ)をお願いします。新仏が出て、新しく購入した場合は本位牌の開眼供養を四十九日の法要のときにあわせて行うことが一般的に多く見られます。   仏壇の処分 永年お祀りしてきた仏壇をやむを得ぬ理由で処分したい、でもいざ処分となると躊躇するものです。それは、昔から仏壇は家の中のお寺と言われ、信仰の対象となるご本尊やご先祖様をお祀りしてきた神聖な場所だからです。仏壇は購入した際にご先祖様の魂を宿らせるための開眼供養(かいげんくよう)を行っている場合があります。その場合は処分する際にも閉眼供養(へいげんくよう)を行って魂を抜きますが、最近では開眼供養を行っていないケースもあります。新たな仏壇を買い求めた場合は、購入した仏壇店に古い仏壇の引き取りをお願いしますが、購入はせず処分だけならば有償で専門業者に依頼をします。

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葬儀後

2019年 12月 03日(火)

墓地購入時に知っておきたいこと

2023年12月19日更新。先祖代々受け継ぐお墓は一生に一度、購入することがあるかないかの大切なものです。いざ購入することになった際、購入手順や購入場所、さらには種類など、考えることはたくさんあります。また、遠方にあるお墓を近く移すにはどうしたら良いのか?など、わからないことは尽きません。ここでは墓地購入時に知っておいた方が良いことをご紹介します。【もくじ】 ・墓地は経営母体によってタイプが異なる ・墓地の上手な選び方 ・墓石は墓地に合わせる ・分骨するときの手続き ・お墓の引越しと墓じまい ・改葬するときの手続き   墓地は経営母体によってタイプが異なる 現在の墓地の形態は以下の種類に分けられます。 菩提寺の墓地最も伝統的で壇家の人、同宗派の人のみ利用可能です。 公立霊園墓地自治体が運営している墓地です。応募には墓地のある地域に在住していること、生前は申し込みができないなどの条件があります。 民営霊園墓地民間の団体などが経営する墓地で、近年は大規模に開発されています。公立に比べ条件も厳しくなく宗派も問いません。 納骨堂いわゆるお墓のマンションと呼ばれているものです。個人、夫婦、家族などの単位で納めることができ、手入れが簡単で後継者に負担を掛けないといったメリットがあります。最近利用者が増えている形態です。 墓地の上手な選び方 墓地は永代使用権を払って借り受けるものです。霊園などでは、正当な相続人以外は譲渡、転売ができないところもあるので、購入時に使用権なども確認しておくことが大切です。選ぶポイント以下の5つの項目などを参考にしましょう。①所有者の寺院・霊園の宗派の確認②周囲の環境③交通の便④予算⑤施設の状態   墓石は墓地に合わせる 墓地が決まったら次は墓石を選びます。最も多く利用されているのは、和型の角石塔型(3段型)です。寸法的に調和が取れています。墓石には白の御影石を使うのが一般的でしたが、最近では黒の御影石も使われる傾向にあります。墓石の選択は、石質やいわれなど考慮が必要な面もあるので、石材店に相談しましょう。 お墓は、新仏が出たら三回忌までには購入した方が良いとされています。新しいお墓はまず、開眼供養をすることが大切です。   一般的なお墓の構成 一般的なお墓は墓石以外に次の要素で構成されています。 ・つくばい ・線香立て ・灯籠 ・水鉢 ・花立て ・塔婆立て ・石碑 ・塔婆 ・植木 ・墓誌 ・物置き台 ・名刺受け ・拝石 昨今は、墓地の広さの関係ですべての要素が揃っていないお墓もあります。   開眼供養とは墓石に仏様の魂を入れる儀式のことです。僧侶の読経で入魂が行われると供養のための仏塔になると考えられています。開眼供養では線香と供物を供えますが、納骨と同時に開眼を行うこともあります。   その他、神式のお墓は仏式と同様に角石塔型が一般的です。キリスト教では十字架型や幅広型、洋型が一般的ですが、特に決まりはありません。 分骨するときの手続き 遺骨を2か所以上に分けて納骨することを分骨といいます。宗派によっては遺骨の一部を本山の納骨堂へ納める場合もあります。分骨した遺骨を手元に置いておくだけであれば、特別な証明書などは必要ありません。しかし、お墓や納骨堂などに納める場合には「分骨証明書」が必要になります。すでに墓地などに納めてある遺骨を分骨する場合には墓地の管理者から、火葬時に分骨する場合には火葬場から「分骨証明書」を発行してもらいます。「分骨証明書」は分骨した遺骨を納骨する際に、納骨先の管理者に提出します。 お墓の引越しと墓じまい 「何年もお参りしていない故郷のお墓を近くに移したい」という方のために、お墓の引越しサービスがあります。故郷の役所とお墓のある寺院などで手続きをすることにより、お墓の引越し(改葬/かいそう)が可能となります。また、お墓の継承者がいない場合は、墓じまいなどもありますので、ご家族や菩提寺とよく相談して判断しましょう。   改葬するときの手続き 改葬とはお墓を移転することをいいます。改葬する際は、菩提寺への相談、法要などのほかに法的手続きが必要です。 ①移転先を決める まずは遺骨の移転先を決めて新しいお墓を建立しなければなりません。これから供養をしていくためにどこに新しいお墓をつくるか、交通の便や環境、施設など希望に合った墓地を選んでください。②墓地使用許可証を受け取る 新しい墓地が決まり永代使用契約が済んだら管理者より「墓地使用許可証」を受け取ります。 ③受入れ証明書を発行してもらう 移転先の墓地管理者より「受入れ証明書」を発行してもらいます。これにより遺骨の移転先が決まったことの証明ができます。 ④埋葬証明書・改葬許可申請書を受け取る 今のお墓(移転元)の管理者から「埋葬証明書」を発行してもらい、所在地の役場から「改葬許可申請書」を受け取ります。「改葬許可申請書」には今のお墓の管理者が記入押印する項目があります。「埋葬証明書」「改葬許可申請書」はひとつの様式になっています。また、原則として遺骨1体につき1枚必要となることが多いようです。墓地や市区町村で異なりますので確認すると良いでしょう。 ⑤改葬許可申請をする 今のお墓(移転元)がある市区町村役場に改葬許可申請を行います。必要な書類を提出し、改葬の申請をします。 ※提出する書類の一例…墓地使用許可証・受け入れ証明書・埋葬証明書・改葬許可申請書(印鑑) ⑥「改葬許可証」の発行 書類の不備などがなく申請が承諾されると「改葬許可証」が発行されます。 ⑦遺骨の引き取り 事前に日時を決めて今のお墓(移転元)に「改葬許可証」を提示し、遺骨を引き取ります。このとき、古いお墓の魂抜きの供養をすることがあり、その場合はその手配も必要です。「改葬許可証」の発行手続きと遺骨の引き取りを一日で行う場合は、管理者や遺骨を取り出す石材店と当日の段取りを良く打合せておくことが大切です。また、使用した墓地は整地して管理者に返すことが原則ですので古い墓石は撤去する必要があります。 ⑧新しいお墓に納骨 事前に日時を決め、新しいお墓(移転先)に遺骨を納めます。このとき、納骨の法要と同時にお墓の魂入れ(開眼供養)を行うことがあり、その場合はその手配も必要です。先の「改葬許可証」は新しいお墓(移転先)の管理者に提出します。

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葬儀後

2020年 01月 31日(金)

お盆に行うこと|意味や時期、新盆(初盆)の供養も紹介

2023年12月19日更新。お盆の時期には、実家に帰省される方もいらっしゃると思います。2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へと変わり、行動制限が見直されました。今年こそ「久しぶりに帰省」という方が多いのではないでしょうか。お盆はご先祖様を偲ぶ大切な期間ですが、実は、お墓参り以外にも行うことがあるのをご存じですか。この記事では、お盆におけるオーソドックスな供養について紹介していきます。まずは意味や行いを知っておきましょう。その上で、地域の風習も加味しながら、親族と相談してやり方を決めていきましょう。きっと、より良い供養ができると思います。ぜひ参考にしてみてください。         【もくじ】1.お盆の意味2.お盆の起源3.お盆の時期4.お盆に行うこと5.お盆に関する用語6.お盆中の僧侶のお迎え(棚経)7.新盆(初盆)の供養8.まとめ           1.お盆の意味 お盆は、仏教でお盆を指す「盂蘭盆会(うらぼんえ)」に由来します。お盆には、先祖の霊をお迎えして供養する儀式を行います。   もくじに戻る           2.お盆の起源 釈迦(しゃか)が弟子の目連(もくれん)の母を救うため、7月15日に供養するよう目連に勧めた「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が始まりとされています。※1この盂蘭盆会と、古代インドで仏教以前に行われていた農耕儀礼および日本古来の先祖信仰が結びついて「お盆」となりました。※1:盂蘭盆会(うらぼんえ)についてのより詳しい内容は、このページの最後をご参考ください。   もくじに戻る           3.お盆の時期 もともとは旧暦の7月15日でした。現在では、7月または8月の13~16日の4日間とする地域が多いようです。13日をお盆の入り、16日をお盆明けとして、この4日間にお盆の行事が行われます。お盆の時期が7月と8月で分かれるのは、明治時代の改暦が影響しています。●7月:東京都・神奈川県など。新暦の7月15日に合わせた形。●8月:全国的に多い。旧暦の7月15日の時期に該当するため。※新暦の7月は農業の繁忙期にあたることもあり、特に農村部では避けられたようです。なお新暦(太陽暦)に対し、旧暦は太陰太陽暦と呼ばれ、月の満ち欠けをもとにした暦です。15日は必ず満月になる日でした。そのため昔は盆踊りも満月の明かりの下で行われていたそうです。ちなみに2023年は、8月30日が旧暦の7月15日にあたります。   もくじに戻る           4.お盆に行うこと 関東地方における一般的な例を紹介しています。地域によって詳細な部分は異なります。   ■13日 <朝> 仏壇を清掃します。次に精霊棚(しょうりょうだな)をつくります。※お墓はお盆前に清掃を済ませておきます。   <午前中> 位牌を中心にして盆花、野菜、果物などを飾ります。迎え団子をお供えします。   <夕方> 盆提灯に灯りをともします。家の門口でオガラを燃やし、迎え火を焚きます。     ■14日 芋茎(ずいき:里芋やハス芋の葉柄)の和え物やナスとキュウリのごま和え、お供え団子などを、お供えします。     ■15日 蓮飯(はすめし)やお供え団子、精霊馬(しょうりょううま)をお供えします。夜には盆踊りが行われます。     ■16日 送り団子をお供えします。   <夕方> 家の門口でオガラを燃やし、送り火を焚きます。灯籠流し(または精霊流し)を行います。     ■お盆期間中 僧侶に読経していただきます(棚経:たなぎょう)。   もくじに戻る           5.お盆に関する用語 ■精霊棚(しょうりょうだな) 盆棚(ぼんだな)とも呼ばれます。お盆ならではの祭壇のようなもので、仏壇の前に小机を置き、その上に真菰(まこも)を敷いて、飾り付けして供物をお供えします。仏壇の引き出しを精霊棚として設えることもあるようです。位牌は、「仏壇の扉を閉めて精霊棚に置く場合」と「扉を開けたままで仏壇に置く場合」があります。     ■盆花(ぼんばな) 精霊棚に飾り付けするお花のことを言います。代表的な盆花に、鬼灯(ほおずき)、ガマの穂、禊萩(みそはぎ)などがあります。 ほおずき ガマの穂 禊萩(みそはぎ)     ■盆提灯(ぼんちょうちん) お盆に使用する提灯です。先祖の霊が戻ってくる際に迷わないよう照らすという意味があります。先ほど紹介した鬼灯(ほおずき)も、盆提灯に見立てて飾ると言われています。盆提灯には、初盆・新盆用の白提灯と、カラフルで模様の入った盆提灯の2種類があります。白提灯は、喪家の家紋を入れ、一対にしたものが正式です。     ■オガラ 麻の茎で、皮をはいだものを言います。お盆の時期には、仏具店の他、スーパーやホームセンター、花屋などで購入できます。     ■迎え火・送り火 <迎え火> 13日のお盆の入りに、先祖の霊をお迎えするために「迎え火」を焚きます。先祖の霊が迷わずに自宅へ帰ってこられるように明るく照らすという意味があります。家の門口の他、玄関先や庭先、お墓で焚くのが一般的です。地域の風習によっても異なります。   <送り火> 16日のお盆明けに、先祖の霊を送り出すために「送り火」を焚きます。先祖の霊が迷わずにあの世へ戻れるように明るく照らす意味があります。 オガラで迎え火(送り火)を焚く様子     ■迎え団子・お供え団子・送り団子 <迎え団子> 盆の入りの13日にお供えします。あんこをまぶした団子、甘辛いタレをのせた団子、シンプルな白い団子などがあります。自宅へ戻ってこられた先祖の霊に、疲れを癒していただきたいという意味が、習俗として残っています。   <お供え団子> 先祖の霊が滞在中の14~15日にお供えします。おはぎ、シンプルな白い団子があります。白い団子はピラミッド型に積んでお供えする地域もあります。ゆっくりと滞在していただきたいという意味が、習俗として残っています。地域によっては「おちつき団子」とも呼ばれます。   <送り団子> お盆明けの16日にお供えします。シンプルな白い団子が一般的です。先祖の霊があの世へ戻る際のお土産として持ち帰っていただくもので、戻った後に好きなようにして食べていただきたいという意味が、習俗として残っています。     ■蓮飯(はすめし) 蓮の葉にご飯を包んだもの。     ■精霊馬(しょうりょううま) キュウリで作った馬や、ナスで作った牛のことで、精霊棚に飾ります。   <キュウリの馬> 「少しでも早くお越しください」という意味があります。   <ナスの牛> 「滞在後はなるべくゆっくりお帰りください」という意味があります。     ■盆踊り もともとは先祖の霊を慰め、無事にお送りするためのものでした。また先祖の霊も一緒に踊れるように、お面等で顔を隠して踊られていました。なお前述のとおり、旧暦の15日は必ず満月になる日でしたので、昔は盆踊りも満月の明かりの下で行われていました。     ■灯籠流し・精霊流し 16日のお盆明けに、お盆期間のお供え物を紙製や木製の舟に乗せて灯をともし、川や海に流します。今日では、環境に配慮して、菩提寺や地域の特設会場、自治体の指定された場所に持ち込む場合が多いようです。灯籠(とうろう)だけ、あるいは送り火だけを流す地方もあります。   もくじに戻る           6.お盆中の僧侶のお迎え(棚経) 先祖の霊が滞在しているお盆の間には、精霊棚の前で僧侶に読経してもらいます。このことを棚経(たなぎょう)と言います。僧侶はお盆の短期間でたくさんの檀家を回ります。僧侶にお出でいただく日を、早めに僧侶にお声をかけて、決めておくと安心です。棚経の後は、僧侶を無理に引き止めたり、大げさにもてなしたりはせず、おしぼり・飲み物を出し、涼んでいただく程度にしておきます。御布施のお渡しも忘れないようにします。遠方の僧侶には「御車料」、食事時には「御膳料」も別に用意します。お盆に僧侶を招かない時は、お墓参りをした後、菩提寺に御布施を渡して供養をお願いします。   もくじに戻る           7.新盆(初盆)の供養 人が亡くなった後、初めて迎えるお盆を新盆または初盆と言い、丁寧に供養するのがしきたりです。忌明け前(四十九日前)にお盆になる時には、翌年が新盆となります。新盆の供養は、法要という形をとるのが一般的です。●通常のお盆の供物の他に、故人様の好物などをたくさんお供えします。●親族や故人様に縁のあった方を招き、僧侶に読経していただきます。●読経後、会食(精進料理)でもてなします。※僧侶にお出でいただく日を、早めに僧侶にお声をかけて、決めておくと安心です。※お招きする親族などにも、早めに連絡して出欠を確認おきましょう。※人数が決まった後にはなりますが、会食の料理も事前に手配しておきましょう。※僧侶へのお布施や、お供え物や香典への返礼品の準備も忘れないようにしましょう。   もくじに戻る           8.まとめ:お盆を良い機会に、できる限りの供養を行いましょう お盆はご先祖様および故人様を偲ぶ大切な期間です。特に帰省される方は、普段できない分だけ、手厚く行いましょう。都市と地方では、お店の品揃えも変わってきますので、お近くの仏壇店などでお話を聞いたり、準備しておくと良いと思います。           参考:盂蘭盆会(うらぼんえ) その由来として、釈迦(しゃか)の弟子である目連(もくれん)の話が一説として挙げられます。目連は、安吾の最中に、亡くなった自分の母が餓鬼道へ落ちて苦しんでいることを自身の神通力で知ります。※安吾(あんご):僧侶たちが集まって修行すること。※餓鬼道(がきどう):飲食できず、飢えに苦しむ世界のこと。目連が釈迦に相談すると、釈迦は、安吾の終了した日に僧侶たちへ飲食を振る舞いように勧めました。目連が言われたとおりに実行すると、母が餓鬼道から救われたそうです。この日が旧暦の7月15日にあたり、僧侶に飲食を振る舞うとともに先祖の霊を供養する仏教行事として、盂蘭盆会が行われるようになったようです。  

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葬儀後

2020年 01月 24日(金)

なぜお彼岸にはお墓参りをするの?

2023年12月19日更新。春と秋、年に2回ある「お彼岸」。お彼岸の意味をご存知でしょうか。「お彼岸にはお墓参りをする」と漠然と思っている人も多いかと思います。この記事では、お彼岸とは何か?やお墓参りの方法についてご紹介します。お彼岸についての知識をより深めましょう。【もくじ】 ・彼岸は西方浄土への開かれた日 ・なぜ彼岸は7日間なのか ・お墓参りのしかた ・お墓と墓地のお手入れ ・お彼岸の自宅での供養のしかた 彼岸は西方浄土(極楽浄土)への開かれた日 春の彼岸も秋の彼岸も、それぞれ春・秋分の日を中心にその前後の3日間、合計7日間をいいます。最初の日を「彼岸の入り」、立春、秋分の日を「中日」、最後の日を「彼岸明け」といいます。春分と秋分の日は、太陽が真東から出て昇り、真西へ沈みます。西方の彼方には「彼岸」があり、こちら側には「此岸(かがん)」がありますが、死者はこの此岸から彼岸にまっすぐ伸びた道を行きます。そこで、彼岸にたどりついたであろう先祖の霊をなぐさめ、また、いつか自分たちもたどれることを願い、供養するものです。   春分の日と秋分の日 祝日法により天文観測による春分と秋分が起こる春分日、秋分日が選定され国民の祝日として定められます。春分の日は、通年では3月20日か21日のいずれかになることが多いです。昼と夜の時間が同じといわれていますが、厳密には昼の時間がわずかに長くなっています。 秋分の日も、通年では9月22日か23日のいずれかになることが多いです。春分の日と同様に昼と夜の時間が同じといわれていますが、厳密には昼の時間がわずかに長くなっています。 なぜ彼岸は7日間なのか 彼岸に至るには悟りを得なければならないのですが、それには6つの徳目(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・知恵)を1日に一つずつ修行し、これに彼岸の中日をはさみ、計7日間となります。 布施金銭や物を施すこと、人々の恐れを払い救う 持戒仏の戒律を守り反省する 忍辱迫害に耐え忍ぶ 精進雑念を去り修行する 禅定心を統一し真理を悟る 知恵ものごとを正しく判断し、命そのものを把握する   お墓参りのしかた 墓地には花や線香を持って出かけます。墓石を洗い、周囲をきれいに掃き浄め、花立ての水も取り替え、新しい花を生けます。線香は束のまま火をつけます。線香につけた火を消すときは息を吹いて消すことは出来ませんので注意してください。これは、仏教では人間の息は「不浄」とされているからです。線香の火を消す際は、手で扇いで消しますが、それでも消えない場合は線香を縦に振り、火を消すと良いでしょう。故人の好物などを持参した場合は、線香と共に墓前に供えます。墓の上から水をかけ、故人と縁の深い人から墓前に向かい、手を合わせます。   お墓と墓地のお手入れ お墓参りは、お盆・春秋のお彼岸、故人の命日などに行うのが一般的ですが、それ以外の日にも、できるだけお参りするのが望ましいとされています。墓地の手入れは敷地内の落ち葉や雑草を除きます。特に雑草は根が張ると抜くのが大変ですので、墓参の都度こまめに行い、また、玉砂利などを敷き詰めておくのも有効です。墓石は天然石ですので、表面がきれいに見えていても細かな凹凸があります。洗剤などを使うとそこから変色してしまう場合があるので水洗いが原則です。洗う際にはスポンジや雑巾を使用しますが、金属性のたわしは細かなキズが付き、そこに汚れが溜まるので使用は避けます。日ごろの手入れが掃除の負担軽減にもなりますが、諸事情により墓参に行けない方へのサービスとして、墓参の代行業者や墓石クリーニング業者などが出てきています。 お彼岸の自宅での供養のしかた 家庭では仏壇の掃除をして、新しく仏花を替えたりします。だんごやぼたもち、故人の好物のもの、果物なども供えます。(春はぼたもち、秋はおはぎと呼びます) この期間、灯明や線香はできるだけ絶やさないようにしておきます。僧侶を自宅に招いて読経してもらう場合は、「御布施」と表書きをして礼金を包みます。

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