法事(法要)の準備は?意味や流れ、お供え物・お布施・服装・挨拶などを紹介
2023年12月19日更新。
この記事では法要・法事の基本的な知識と、当日の流れや準備全般を項目ごとに紹介しています。
「法要の準備」の項目では、スケジュールを具体的に示していますので、記載の流れに沿って準備を進めるだけで順序よく法要・法事を整えられます。チェックリストとしてもご活用ください。
【もくじ】1.法要・法事とは2.法要の種類3.法要・法事の当日の流れ4.法要・法事の準備5.法要・法事の挨拶例6.宗教の違いによる法要の違い7.まとめ:法要の準備はできる限り早めに余裕を持って進めましょう |
1.法要・法事とは
1-1法要の意味
法要とは故人の冥福を祈るために命日に行われる儀式をいいます。
法要では僧侶を招いてお経をあげていただき、遺族や親族、友人・知人で焼香します。
1-2法要と法事の違い
<違いは「会食の有無」>
法要の後に会食の席を設けると「法事」になります。
会食には、故人様を偲ぶと共にお世話になった方をもてなす役割があります。
<「会食の有無」の判断について>
会食の有無の判断は施主に一任されており、特に決まりはありませんが、四十九日や一周忌、三回忌といった重要とされる法要では、会食の席を設けるケースがほとんどです。
一方で、近頃では新型コロナウイルス感染防止が優先され、会食を行わないケースやお持ち帰りのお膳(お弁当)で対応することも増えています。
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2.法要の種類
2-1大別して4つの法要がある
<①忌日法要>
亡くなった日から数えて7日ごとに行う法要です。
死者は死亡した日を1日目として、7日ごとに7回、生前の罪状などを裁く審判があり、すべての審判が終わった後に成仏するとされています。
その審判を少しでも良くしていただくために行うものとされています。
そのため、忌日法要は追善供養とも呼ばれます。
※浄土真宗を除く。
○初七日法要(7日目 しょなのか) |
初七日は葬儀と日が近いため、葬儀当日に遺骨迎えの法要と一緒に済ませることが多くなっています。
また初七日と四十九日以外は、遺族で済ませることが多いようです。
本来は僧侶を招いて行いますが、最近は省略して、家族だけで済ませることが多くなりました。
<②祥月命日>
亡くなった日と同じ月日に行う法要です。
三回忌などの「年忌法要」以外にも、祥月命日にあたる日は、内輪で供養を行います。
最初の祥月命日にあたる一周忌は大切な法要となります(後述)。
<③年忌法要(年回法要)>
祥月命日の中でも特定の年に行う法要です。
亡くなった日を1回目として、「3」と「7」の回にあたる年に行うのが一般的です(宗派によって異なります)。
「故人様のことを心に刻むため」、また「子孫へと繋がる結束を固めるため」に行います。
亡くなった日を1回目の命日として、 |
「十三回忌まで」もしくは「三十三回忌まで」法要を行うことが一般的です。
三十三回忌が終わると「年忌明け」といい弔い上げが行われます。
<④月忌法要>
毎月、亡くなった日と同じ日に行う法要です。
家によって、僧侶に読経してもらったり、仏壇に故人様の好物などを供えたりします。
2-2親族や知人を招く主な法要
特に重要とされている法要は、
○四十九日法要(忌明け法要)
○一周忌
○三回忌
です。
これらの法要は親族以外に友人・知人を招いて執り行います。
法要は回数を重ねるにつれ、遺族だけの集まりとなっていくのが一般的です。
<四十九日法要>
四十九日法要は、前述のように7回目の審判が終わり、故人様の魂が成仏するため、大切な法要となります。
この日はご遺族にとって忌明けとなります。
親族や友人知人を招いて僧侶に読経をあげていただき、忌明けの宴を催します。
四十九日法要では、仮位牌から本位牌に変える「位牌の開眼供養」も一緒に執り行います。
同時に初めて仏壇を用意するのであれば、「仏壇及びご本尊の開眼供養」も執り行います。
<一周忌>
亡くなった翌年の命日を一周忌といいます。
この日は、最初の祥月命日にあたると共に、ご遺族にとって喪が明ける節目の日となります。
親族や友人知人を招いて僧侶に読経をあげていただき、喪明けの宴を催します。
<三回忌>
亡くなった日を1回目として、3回目の命日(2年後の命日)に執り行います。
初七日から始まり四十九日・百か日・一周忌・三回忌と合計10回の裁きがあり、三回忌で来世における道が決まる大切な法要です。
三回忌より回忌という数え方になりますので、ご注意ください。
やはり同様に親族や友人知人を招いて僧侶に読経をあげていただき、法要後に宴を催します。
2-3法要の数え方
忌日法要は、亡くなった日を1日目と数えて7日ごとに行われます。
年忌法要は、亡くなった日を1回目と数えて行われます。
前述したように「3」と「7」回にあたる年に行うのが一般的です(宗派によって異なります)。
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3.法要・法事の当日の流れ
3-1法要の流れ
①参列者着席 |
※⑥と⑦は前後します。
※⑧は法要の会場が寺院の場合。
3-2会食の流れ
①施主開催の挨拶 |
3-3法事の流れ
「法要の流れ」と「会食の流れ」を合わせたものになります。
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4.法要・法事の準備
法要の準備は2カ月ほど前から始めます。
準備の流れは毎回同じ手順です。
ただし四十九日の法要は、準備期間が1ヶ月半ほどのため葬儀の直後から準備を始めます。
【開催日の2ヶ月前】
①施主(主催者)の決定
②開催候補日の選定
③僧侶との打ち合わせ、日程の決定
④予算の決定
⑤参列者の選定
⑥会場の手配
⑦会席料理の手配
【開催日の1ヶ月半前】
⑧案内状の準備と発送
【開催日の1ヶ月前】
⑨参列者の決定
⑩交通手段の確認と宿泊手配
⑪引出物の手配
⑫会席料理の数の確定
⑬卒塔婆の建立者リストの作成
⑭卒塔婆の依頼
【開催日の2~3週間前】
⑮供花や供物の手配
⑯会食の席順を決める
⑰喪服の準備
【開催日の1週間前】
⑱お布施の準備
【開催日前日】
⑲当日持参するものの準備
4-1【開催日の2ヶ月前】
①施主(主催者)の決定
一般的には、葬儀の時に喪主になった方、あるいは故人様に最も血縁の近い方が施主になります。
②開催候補日の選定
法要は命日の当日に執り行うのが好ましいとされています。
命日に営めない場合は、多少早めても構いません。少なくとも命日より遅らせないようにします。
招待者が多い場合は、命日より前の土日祭日を選ぶようにすると参加しやすくなります。
法要の候補日が決まりしだい菩提寺に連絡して相談しましょう。
③僧侶との打ち合わせ日程の決定
打ち合わせの際は、
○日時 |
などを聞いておきます。
菩提寺での法要を希望する場合は、打ち合わせの際など早いタイミングでおさえておくことをおすすめします。
土日祭日は他の檀家の法要も多く、菩提寺の予約が埋まりやすい傾向にあります。
ちなみに故人にお経を捧げるという考え方のない浄土真宗では卒塔婆を立てません。
④予算の決定
<法要の主な費用>
○僧侶へのお布施 |
⑤参列者の選定
四十九日や一周忌・三回忌までは、親族の他、故人と深いお付き合いのあった友人・知人にも声をかけるのが一般的です。
高齢な方で法事には来られないと予想される場合も、一旦はお誘いするのがマナーです。
⑥会場の手配
法事を執り行う場所は
○菩提寺
○自宅
○葬儀社の直営斎場
○ホテル・仕出し料理店
などがあります。
それぞれに条件の長所・短所がありますので招待者の範囲や人数を踏まえて検討しましょう。
<菩提寺>
会場費 :有料 |
菩提寺があって、納骨も行う場合(四十九日法要など)には、移動が少なくて済みます。
また菩提寺で行うため、僧侶の御車代も不要です。
納骨の為の石材店との打合せが必要です。
<自宅>
会場費 :無料 |
少人数で行う場合に適しています。また高齢者や小さな子供がいる場合に、周囲に気を遣うことが少なくて済みます。
一方で自分で行うことが多くなるため、手間がかかります。
<葬儀社の直営斎場>
会場費 :有料 |
会食の他、返礼品や供花なども一緒に手配できる点も便利です。
法要での使用よりも、通夜・葬儀が優先されることが通常です。
<ホテル・仕出し料理店>
会場費 :有料(高い傾向にある) |
アクセスが良く大勢を招待できる他、会食もホテル内で行えます。
一方で、ホテルによっては「焼香ができない」「読経ができない」「ご遺骨の持ち込みができない」場合があるため、事前の確認が必要です。
⑦会席料理の手配
会席料理のメニューを決める際、費用の相場は3千円〜1万円ほどです。
メニューは和食が一般的で、好き嫌いのないものを選びましょう。
近頃は新型コロナウイルスの影響を受けて、会食の席を設けないケースも増えています。
この場合は持ち帰り用の折詰を用意し、引出物と一緒に渡します。
また案内状で会食は行わない旨を伝えておきます。
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4-2【開催日の1ヶ月半前】
⑧案内状の準備・発送
○正式:返信用ハガキを同封した案内状
○略式:返信用ハガキのみ
目上の方や故人様の友人・知人へは、正式を送るようにします。
身内へは、略式の他、電話での連絡でも構いません。また会食に行う献杯の発声を、親族にお願いする際は、この時に依頼しましょう。
なお案内状に返信期限を明記しておくと、参列者の人数を早めに確定させることができます。
返信期限は引出物や会食の準備などを考慮して、遅くても開催日の2~3週間前までにしておくと余裕を持って行えます。
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4-3【開催日の1ヶ月前】
⑨参列者の決定
参列者から案内状の返信が届き次第、参列者名簿を作成しておきます。
引出物や会席料理、宿泊の手配などを順次進めていきましょう。
⑩交通手段の確認・宿泊手配
宿泊者がいる場合は、宿泊の手配を行います。
また式場までのアクセスを確認し、土地勘がない参列者には事前に経路を伝えておきます。
法要の式場が自宅の場合は、有料パーキングの場所も併せて伝えましょう。
⑪引出物(お返し)の手配
<費用目安>
2千~5千円が一般的です。
<引出物にふさわしいもの>
○軽くてコンパクトなもの(持ち帰りが楽)
○消えもの(悲しみが残らない)
特に海苔やお茶、お菓子の詰め合わせ、日用品の詰め合わせなどが好まれます。
近頃では好きなものを選べるということから、カタログギフトも人気です。
<引出物にふさわしくないもの>
生ものや重いもの、残るものです。
⑫会席料理の数の確定
参列者の人数が決まったら会席料理の数を確定し、注文先に連絡します。料理は法要直前の参加に備えて、追加はいつまでだったら間に合うのか確認しておきましょう。
⑬卒塔婆の建立者リストの作成
卒塔婆(そとば)は、基本的には遺族と親族で建てます。そのための名簿リストを作成します。
親族に法要の連絡をする際、卒塔婆を立てる意向も聞いておくとスムーズに進められます。
<卒塔婆とは>
卒塔婆は塔婆(とうば)ともいいお釈迦様の遺骨を納めた塔を模した木の板のことです。
卒塔婆を立てることはお経を唱えることと同様供養になり、遺族にとって善行を積む意味もあります。
ちなみに故人にお経を捧げるという考え方のない浄土真宗では卒塔婆を立てません。
⑭卒塔婆の依頼
卒塔婆リストを渡し依頼するとともに、菩提寺へ卒塔婆の代金を支払います。代金は施主が立て替えておき、後日親族から代金をいただくようにしましょう。
ちなみに浄土真宗では卒塔婆は用意しません。
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4-4【開催日の2~3週間前】
⑮供花や供物の手配
<供花の手配>
祭壇に供える花を供花(きょうか・くげ)といいます。
供花は白菊や百合を中心にデンファレやカーネーションなど、淡い色合いで日持ちの良い花がよいでしょう。
トゲのある花や香りの強い花、しおれやすい花はふさわしくありません。
<供物の手配>
供物は「五供(ごく)」という仏教のしきたりに沿って用意します。
五供とは以下のものを指します。
○香:線香 |
⑯会席の席順を決める
参列者名簿を元に、会食の席順を決めます。席順は、僧侶が最上座、親族の年長者から順に友人・知人となります。
施主と遺族は下座です。
席順を分かりやすくするために名前カードを活用してもよいでしょう。
⑰喪服の準備
施主や遺族の服装は、法要の格式を保つ意味でも正装である正喪服がふさわしいとされています。
特に四十九日法要・一周忌法要・三回忌法要までは正喪服の着用が一般的です。
七回忌法要より後は喪主・親族ともに準喪服や略喪服でも構いません。
<男性の場合>
正喪服とはブラックフォーマルのことであり、準喪服はブラックスーツ、略式喪服はダークスーツのことです。
<女性の場合>
正喪服や準喪服はブラックフォーマル、略喪服はダークカラーのワンピースやアンサンブルとなります。
近頃の傾向として施主・親族ともに四十九日法要から、準喪服や略式喪服を着用するケースが増えつつあります。
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4-5【開催日の1週間前】
⑱お布施の準備
お布施は、お経を読んでいただいたお礼として渡します。
お布施には相場はありませんが、法要では3〜5万円が一般的な目安のようです。
菩提寺との打ち合わせの際にお布施の金額について相談しておくとよいでしょう。
「お布施」のほかには「会場使用料」「御車代」「御膳料」を用意します。
会場使用料は、菩提寺の会場を使用した場合に必要となる場合があります。
御車代は菩提寺から式場までの交通費が目安です。
御膳料は5千~1万円が相場で、僧侶が会食に参加されない場合に用意します。
お布施・御車代・御膳料は、いずれも半紙と奉書紙または白封筒に包み表書きを書きます。
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4-6【開催日前日】
⑲当日持参するものの準備
法要当日には以下の持ち物を準備します。
○遺影 |
四十九日法要では本位牌と白木位牌を入れ替えるため、白木の仮位牌も持参します。
納骨前の法要ではご遺骨もかならず式に持参します。
供花は生花店に、供物や引出物は依頼した業者に配送してもらえる場合はお願いした方がよいでしょう。
位牌について詳しく知りたい方は、コラム「位牌を購入するのはいつ?」をご参考ください。
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5.法要・法事の挨拶例
以下に施主の挨拶の例文を紹介します。挨拶をする際の参考にしてみてください。
5-1法要の挨拶
<法要開式の挨拶>
本日は、お忙しい中お集まりくださいまして、誠にありがとうございます。 |
<法要閉式の挨拶>
本日は、お忙しい中お集まりくださいまして、誠にありがとうございました。 |
5-2会食の挨拶
<会食の始まりの挨拶>
本日はお墓参りにもお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 |
<会食の終わりの挨拶>
本日は、お忙しい中最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました |
5-3法要・法事の案内状
<法要の案内状>
拝啓 **の候 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます |
誰の何回忌の法要を、いつ・どこで(場所の名前・住所・最寄駅)行うのかを記します。
また法要の後で行われる会食についてもお知らせしておきます。
案内状には頭語と結語である「拝啓 敬具」または「謹啓 謹白」が使われます。
「謹啓 謹白」の方がより丁寧であるため目上の方に使います。
文面は「忌み言葉」を避けて、行の最初は開けず、「、」「。」は使わないのが書き方のマナーです。
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6.宗教の違いによる法要の違い
神道やキリスト教にも法要に似た儀式があります。
法要や法事は仏教の言葉のため、
神道では、「~祭」
キリスト教では、「プロテスタント:記念集会」「カトリック:追悼ミサ、祈念の集いまたは命日祭の祈り」
という言葉を使います。
6-1神式の法要の特徴
神式では、法要にあたるものとして「霊祭(れいさい)」と「式年祭(しきねんさい)」があります。
<霊祭>
○翌日祭
○十日祭、二十日祭…五十日祭(十日ごと)
○清祓祭(五十一日目)
○百日祭
<式年祭>
○一年祭、三年祭、五年祭
○十年祭、二十年…五十年祭(十年ごと)
○百年祭
<式の流れ>
①修祓の儀(しゅうばつのぎ)
・拝礼、献餞(けんせん)
②祝詞献上(のりとけんじょう)
③玉串奉奠(たまぐしほうてん)
④直会(なおらい)
です。
「①修祓の儀」は、斎主(さいしゅ)が大幣(おおぬさ)で祓い清めてから、拝礼し、献餞によってお供えします。
「②祝詞献上」の後、「③玉串奉奠」で参列者が玉串を祭壇に捧げます。
「④直会」はお供えした御神酒や神饌物を参列者全員でいただく儀式です。
6-2キリスト教式の法要の特徴
キリスト教ではカトリック教会とプロテスタント教会で内容が異なります。
<カトリック>
○追悼ミサ(3日目・7日目・30日目)
○昇天日ミサ(1年後)
その後は10年ごとにミサを行うのが一般的です。追悼ミサでは聖歌斉唱・祈祷・聖書朗読が行われます。
<プロテスタント>
○記念集会(10日目、1ヶ月目)
○追悼記念集会(1年目・3年目・5年目・7年目)
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7.まとめ:法要の準備はできる限り早めに余裕を持って進めましょう
法要は、余裕のあるスケジュールで準備していくと安心です。
また開催日が命日より後にならないように注意しましょう。
そのためにも菩提寺へは早めに連絡し、日程をきちんとおさえておきましょう。
家族で準備するのが大変な場合は、葬儀の際にお世話になった葬儀社に法要の準備を相談してもよいでしょう。