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葬儀の流れ
2021年 07月 27日(火)

納棺とは?流れや手順、時間・場所、 服装や棺に入れるもの等を紹介

2024年1月22日更新。

「納棺」は故人様を棺にお納めする儀式です。

「実際に、どこで、どのように行うの?」「愛用品や思い出の品を棺に入れて良いと聞いたけど、何を入れてもいいの?」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、「納棺」の内容について、流れに沿って詳しくご紹介します。

納棺は、「故人様と直に接する最後の機会」です。納棺について知っていただき、大切な時間をお過ごしいただければと思います。

なお、よく混同される「出棺」については、 出棺 の記事をご確認ください。

 
 
 
 
【もくじ】
1.納棺とは
 1-1納棺を行う意味
 1-2納棺に立ち会う人
 1-3納棺に立ち会う際の服装
 1-4納棺を行う時間
 1-5納棺を行う場所
 
2.納棺の流れ
 2-1末期の水をとる(唇を湿らせる)
 2-2湯かんを行う(身体を洗い清める)
 2-3死化粧を施す
 2-4死装束を着せる
 2-5故人様を棺に納める
 2-6副葬品を納める(愛用品を入れる)
 2-7ふたをする
 
3.神式およびキリスト教式の納棺について
 3-1神式の納棺
 3-2キリスト教式の納棺
 
4.まとめ:納棺は「故人様と直に接する最後の機会」です。家族で大切に行いましょう。
 
 
 
 

1.納棺とは

1-1納棺を行う意味

<故人様のために>

納棺は、古来より、故人様の安らかな旅立ちを願って行われてきました。家族で集まり、葬儀社に手伝ってもらいながら、旅立ちの準備を行います。

 
 
<ご遺族のために>

また納棺は、故人様と直に接することができる最後の機会となります。以降は棺に納められるため、故人様のお顔を見ることしか出来なくなります。

そのため、故人様にとっても、ご遺族にとっても、大切な儀式です。

 
 
 

1-2納棺に立ち会う人

<基本はご遺族>

故人様の子どもや兄弟姉妹など、故人様に近しい家族や親族などの身内で行います。

 
 
<その他>

「故人様と生前親交が深かった」などの理由で立ち合ってほしい人がいるのであれば、声をかけてみましょう。

 
 
 

1-3納棺に立ち会う際の服装

<斎場で行う場合>

通夜が始まる前に執り行うことが一般的なため、その後の通夜にすぐに臨めるよう、喪服を着用して納棺を行います。

 

〇男性
・黒のスーツ
・黒のネクタイ
・黒の靴下
・黒の装飾のない靴

※無地で光沢のないもの
※靴は内羽根式のストレートチップやプレーントゥ等

 
 

〇女性
・黒の装飾のないワンピース・スーツ
・黒いバッグ
・黒または肌色のストッキング
・黒の装飾のないパンプス

※肌の露出を極力控えることが基本です。
※ワンピースは、長袖で、エリが開いていないもの、スカートはひざが隠れるくらいの長さです。
※バッグは無地で光沢のないもの、装飾や金具のないものです。
※パンプスはカジュアルに見えないものにします。
※アクセサリーは、結婚指輪以外は外します。着ける場合は真珠の一連のネックレスにしましょう。

 
 

〇子ども
学生の場合
・学校の制服

制服がない場合、未就学児の場合
・黒や紺・グレーの洋服(無地で光沢のないもの)
・白のシャツ(無地)
・白や黒、紺・グレーの靴下(無地)
・黒や紺・グレーの装飾のない靴

 
 
<自宅で行う場合>

納棺は基本的には家族だけで執り行う儀式なので、ご自宅で行う場合は平服(へいふく)でも構いません。

平服は略礼装を指します。色はダークカラー(黒、グレー、紺)が基本です。私服とは異なるので注意しましょう。

 

〇男性
ダークカラーのスーツを着用します。(無地であることが好ましいですが、地味であればストライプ柄であっても問題ありません)。スーツ以外は、斎場で行う場合と同様です。

 

〇女性
ダークカラーのワンピースやスーツを着用します。ワンピース・スーツ以外は、斎場で行う場合と同様です。

 

〇子ども
斎場で行う場合と同様です。

 
 
 

1-4納棺を行う時間

<納棺を行う時間>

○斎場で行う場合
通夜の3~4時間前に行われるのが一般的です。

○自宅で行う場合
通夜を斎場で行う場合には、斎場への移動時間も加味して行います。

 
 
<納棺の所要時間>

30分~1時間ほどです。

 
 
 

1-5納棺を行う場所

故人様が安置されている部屋で行います。

 

○斎場で行う場合
安置室(または霊安室)と呼ばれる部屋で行います。

○自宅で行う場合
座敷など畳のある部屋、もしくは仏壇のある部屋で納棺を行うのが一般的です。

 
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2.納棺の流れ

<納棺の流れ一覧>
2-1末期の水をとる(唇を湿らせる)
2-2湯かんを行う(身体を洗い清める)
2-3死化粧を施す
2-4死装束を着せる
2-5故人様を棺に納める
2-6副葬品を納める(愛用品を入れる)
2-7ふたをする

※クリックすると詳細へ移動します。
※感染の危険がある場合は、葬儀社の指示に従って行います。

 
 
 

2-1末期(まつご)の水をとる(唇を湿らせる)

<手順>

脱脂綿をガーゼで包んだものを割りばしの先にくくりつけ、茶碗の水に浸し故人の唇を湿らせていきます。

地域によっては、脱脂綿やガーゼの代わりに、菊の葉っぱを用いて唇を濡らすこともあります。これを配偶者、親族、友人、知人の順で行っていきます。

 
 
<意味>

末期(まつご)の水は「死に水を取る」という言い方もされ、「故人が生き返るように」「喉の渇きに苦しまないように」という意味が込められた仏教由来の慣習です。

まさにこれから息を引き取りあちらの世界に旅立とうとしている人の唇を濡らし、喉の渇きを潤すために行います。

元々は息を引き取った直後や、故人様をご安置した時に行っていましたが、最近では納棺の儀式の一環として行われている場合が多いようです。

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2-2湯かんを行う(身体を洗い清める)

<手順>

たらいに逆さ水(水をお湯でうすめてつくる、ぬるま湯)を作ります。

最近では、逆さ水ではなく葬儀社が用意したアルコール綿を用いることも多くなったようです。

逆さ水で濡らしたタオルや布などを絞って一人ずつ故人様のお身体を拭き清めていきます。布団の上に横たわる故人様の、浴衣や仏衣から肌の出ている部分を、顔→手→足の順に拭いていきます。

 
 
<意味>

故人様の身体を清めることにより、この世の穢れを洗い落とすという意味が込められています。

また、この世からの旅立ちは来世での新たな命の始まりとして捉えて、来世での安寧を願う意味も込められています。

 
 
<補足:湯かんにも種類がある>

家族や親族が集まって故人様の身体を拭く湯かんは、昔ながらのものであり、「古式湯かん」や「拭き湯かん」と呼ばれます。

一方で、専用の浴槽やシャワーを使って、お身体や髪の毛まで、すべて洗い清める「湯かん」もあります。昔ながらの湯かんと区別して「洗体湯かん」等と呼ばれます。オプションのサービスとして提供されています。

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2-3死化粧を施す

<手順>

・髪を櫛やブラシで整えます。
・やつれが目立つ場合には、頬に綿を含ませます。
・男性はヒゲをそります。
・女性は薄く化粧をします。化粧は男性にも行うことがあります。
・肌の状態によっては、クレンジングや乳液で肌を整え、ファンデーションやチークで肌色をよくします。
・爪を切り揃えます。

※死化粧もオプションのサービスとして提供されていることがほとんどです。
※地域によっては、故人様への死化粧や刃物を当てたりすることを良しとしない所もあります。その場合は、葬儀社へ相談し、地域の風習に従って進めましょう。

 
 
<意味>

穏やかな表情になるように施すことで、故人様が安らかに旅立つことを願います。

またご遺族が故人様のお顔をきちんと見てお別れできるように、生前のような姿に整える意味もあります。

 
 
<補足:愛用品で化粧をすることについて>

故人様が生前愛用していた化粧品を使用することも可能です。葬儀社に相談してみましょう。

口紅やチークの色や髪の毛の仕上げなど、細かい希望があれば、それも併せて伝えましょう。

ご家族の手でメイクをしたい場合は、葬儀社の指示に従って行いましょう。

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2-4死装束を着せる

<手順>

死装束を一つひとつ着せていきます。

頭:天冠(てんかん) 編み笠
体:経帷子(きょうかたびら) 頭陀袋(ずだぶくろ) 六文銭(ろくもんせん)
手:手甲(しゅこう) 数珠(じゅず) 杖
足:脚絆(きゃはん) 白足袋(しろたび) わらじ

 

■一般的な死装束の例

死装束は基本的に全て白無地の木綿ですが、近年ではバリエーションも豊かになりつつあり、例えば白無地だけでなく刺繍や色付きのものもあります。

※地域や宗派によっても違いがあるので、事前に菩提寺や葬儀社に相談しましょう。

 
 
<意味>

死装束は、死後の旅のお姿です。

仏教では、人は亡くなったあとに四十九日の旅に出ると言われています。

その姿を僧侶や巡礼者の姿になぞらえて、白の経帷子や天冠などを装束として着用させます。

 
 
<補足:愛用していた服を着せることについて>

ご希望があれば、故人様が生前愛用していた服も使用可能です。死装束を着せた上に布団をかけ、布団の上に愛用していた服をかけます。

地域によっては、故人様に愛用していた服を着せ、上に経帷子をかける場合もあります。

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2-5故人様を棺に納める

<手順>

故人様の頭や胴・足などを持って、傷つけないように、そっと棺の中に納めます。

本来はご遺族の手で行うものですが、最近は葬儀社が行うことが多いようです。その場合は、故人様の供養のため、できるだけ多くの人が手を添えるようにしましょう。

故人様を納めたら胸の上で手を組み、仏式であれば数珠をかけます。もしも髪の毛や死装束に乱れがあれば直してあげましょう。

※地域や宗派によっても違いがあるので、事前に菩提寺や葬儀社に相談しましょう。

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2-6副葬品を納める(愛用品を入れる)

<手順>

死装束を整えた後に、故人様が愛用していたものやご遺族が希望するものを納めます。

※地域や宗派によっても違いがあるので、事前に菩提寺や葬儀社に相談しましょう。

 
 
<棺に入れて良いもの>

基本的には、燃えるもの、燃えやすいものです。

○衣服
・故人様が好んで着ていた洋服や着物
・仕事着などの故人様を象徴するような服
※金属等の燃えにくい素材の飾りは外しましょう。

○手紙
・故人様が大切にしていた手紙
・ご遺族から故人様へ向けたお別れの手紙

○花
・故人様が育てていた花や好きだった花

○嗜好品
・故人様が好きだったお菓子やタバコなど
※缶や瓶、プラスチック等の包装から取り出しましょう。

○趣味品
・故人様の趣味の道具
・故人様が趣味を楽しんでいる写真

○人形・ぬいぐるみ
※プラスチック素材や大きいものは避けましょう。

○折り鶴
※「鶴があの世まで迷わずに導いてくれる」という言い伝えがあるそうです。なお、千羽鶴のように大量のものは火葬の妨げになる恐れがあるため納められません。

 
 
<棺に入れてはいけないもの>

基本的には、燃えないもの、燃えにくいものです。火葬の妨げになるだけでなく、遺骨を損傷してしまう恐れがあるものは棺にいれてはいけません。

○金属製のもの
・眼鏡 腕時計 指輪 アクセサリー 入れ歯
・故人様の体内にペースメーカーが入っている場合は必ず申告しましょう。

○ガラス製のもの

○革製のもの
※燃やすと有害物質が発生する恐れがあるため。

○プラスチック製のもの
・プラスチック ペットボトル ビニール 発泡スチロール
※燃やすと有害物質が発生する恐れがあるため。

○燃えにくい素材のもの
・ゴルフクラブ 釣り竿 杖 CD DVD

○缶やビンなどの飲料
※入れるのであれば、紙パックの飲料にしましょう。

○ライター
※ガスが残ったままだと引火して、火災につながる恐れがあるため。

○大きな果物
・メロン スイカ
※水分が多く破裂する恐れがあるため。入れるのであれば、小さくカットして少量にしましょう。

○分厚い本
※入れるのであれば、一部のページのみを入れるようにしましょう。

○お金
・硬貨 紙幣
※お金を燃やすことは法律で禁じられているため。
※かつては三途の川の渡し賃である六文銭を故人に持たせる風習がありましたが、今では紙に印刷した六文銭を頭陀袋(ずだぶくろ)と呼ばれる袋に入れて首から下げるのが一般的です。

○生きている人の写真
※「故人様と共にあちらの世界へ引き込まれる」と、気にされる方が中にはいらっしゃいますのでご遺族で事前に相談しましょう。

 
 
<補足:ご遺族様の印象に残ったもの>

お客様アンケートを参考に、全国儀式サービスと提携している葬儀社が機転を利かせて用意してくれたものを一例として紹介します。

○木で作ったタイヤショベルの模型
(故人様が生前にタイヤショベルに乗って働いていたため)

○折り紙で作った犬
(故人様が生前に犬をよく可愛がっていたため)

○ショートケーキ
(故人様が生前に食べたくても食べられなかったため)

○故人様の好きだった、釣り道具やビールを写真にして入れてくれた

○故人様の作った野菜をスライスして入れてくれた
(そのままでは棺に入れられなかったため)

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2-7棺にふたをする

<手順>

すべてを納め終わったら、棺のふたを閉じて合掌し、納棺は終了です。

仏式の場合は七条袈裟と呼ばれる棺掛けでふたを覆います。ただし、最近では棺そのものの意匠に工夫が凝らしてあるものも多いため、使用しないこともあります。

地域によっては棺のふたに釘を打つ風習がありますが、基本的には出棺の直前までは行いません。

※地域や宗派によっても違いがあるので、事前に菩提寺や葬儀社に相談しましょう。

 

〇自宅で納棺した場合
自宅で納棺した場合は式場へ搬送するまでの間、そのまま安置しておきます。

〇式場で納棺した場合
式場で納棺した場合は、祭壇前に移動して安置します。

 
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3.神式およびキリスト教式の納棺について

3-1神式の納棺

<手順>

仏式と同じく「末期の水」「湯灌」「死化粧」「死装束」「納棺」の順に進みます。

 

①湯灌、死化粧を施したら、死装束を着せます。
・死装束には、「神衣」という納棺用の衣装を着せます。
・男性の場合は白丁を着て、烏帽子をかぶり、笏を手に持ちます。
・女性の場合は白い小袿を着て、扇を手に持ちます。
・いずれも着せると神職のような姿になります。

②納棺には神官が立ち会います。
・最近ではご遺族と葬儀社だけで行うことが多いようです。

③ご遺族の手によって故人様を棺に納めます。

④ふたをして棺を白い布で覆います。
・棺の側面には、しめ縄を巻き、紙垂(しで)を垂らすのが特徴です。

⑤祭壇に安置した後、遺影と供物を供えます。
・その際、喪主から順に「二礼、二拍手、一礼」を忍手(音を立てずに手を叩く形をとること)で行います。

⑥また出棺までの間「棺前日供の儀」を行います。
・この儀式では毎日、朝と夕方に常餞(じょうせん:故人の好物)を供えます。

 
 
 

3-2キリスト教式の納棺

<手順>

①湯灌、死化粧を施したら、死装束を着せます。
・死装束には故人が生前に愛用していた衣類を着せます。
・また胸の上で手を組ませ、十字架やロザリオを持たせます。

②納棺に際して、カトリックでは神父、プロテスタントでは牧師が立ち会い、祈りの言葉を捧げます。
・併せて「聖書朗読」や「聖歌斉唱」が行われることもあります。

③ご遺族の手によって故人様を棺に納めます。
・また故人様と柩に聖水を注ぐこともあります。

④ふたをして、黒い布で覆います。
・専用の棺であれば、棺自体が黒色になっています。
・カトリックでは、棺の上に十字架をのせます。

 
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4.まとめ:納棺は「故人様と直に接する最後の機会」です。家族で大切に行いましょう

 

納棺は「故人様の旅立ちを、家族で準備する」大切な儀式です。

 

<納棺の流れ一覧>
①末期の水をとる(唇を湿らせる)
②湯かんを行う(身体を洗い清める)
③死化粧を施す
④死装束を着せる
⑤故人様を棺に納める
⑥副葬品を納める(愛用品を入れる)
⑦ふたをする

 

流れの一つひとつの中に、故人様の来世での安寧、そして遺された家族たちへの慰めの意味が込められています。

納棺をした後、通夜や葬儀・告別式では、さまざまな方に気を配りながら故人様と向き合わなければいけません。一方で納棺は「家族だけで過ごすことができる」そして「故人様と直に接することができる」最後のかけがえのない時間です。

お別れの準備をしながら、故人様との大切な時間を過ごしましょう。



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