火葬とは?どのような流れで行われる?知っておきたい注意点についても解説
2024年1月22日更新。
火葬は「故人様のお顔を見ることができる最後の場」です。
一方で火葬に立ち会う機会は、葬儀に参列する機会以上に少なく、詳しく知らない方が大半だと思います。そのため、火葬の流れを事前に把握しておけば、万が一の際に戸惑わずに進めることができると思います。
実際、地域によっては、葬儀・告別式の前に火葬を行うところもあります。駆け付けた親族が「故人様のお顔を見ることができなかった」というようなケースも防いでおきたいものです。
この記事では、火葬場での流れと注意点について紹介します。また、最近増えつつある「火葬のみ・荼毘(=直葬や火葬式と呼ばれる形式)」についても概要を紹介します。
ぜひともご一読いただき、納得のいく葬儀の一助にしていただければと思います。
火葬の前に行われる「出棺」については、出棺について|流れと意味、挨拶など、喪主・遺族として知っておくと良いことをご覧ください。
0.火葬とは
ご遺体を葬る形式の一つで、ご遺体を焼いて遺骨にすることを言います。
世界には様々な葬送の方法がありますが、火葬はその中の一つの形式です。
現在の日本では、99.9%が火葬です(厚生労働省 令和3年度 衛生行政報告例より)。
かつては、ご遺体を土に埋める「土葬」が主流でしたが、衛生面の問題や埋葬地を確保していくことが難しくなってきたことから、明治時代以降、火葬へと移行していったようです。
なお墓地埋葬法(正式名:墓地、埋葬等に関する法律)により、死亡後24時間が経過した後に火葬を行います。
※感染症などでお亡くなりの場合を除く。
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1.火葬の流れ
<火葬の流れ一覧>
1-1火葬場へ向かう
1-2火葬許可証を提出する
1-3納めの式を行う
1-4火葬
1-5骨上げ・収骨を行う
1-6埋葬許可証を受け取る
1-7帰宅する
※クリックすると詳細へ移動します。
1-1火葬場へ向かう
<火葬場に同行する人>
○基本は身内の人です。
・喪主
・遺族
・親族
・僧侶(火葬場での読経をお願いする場合)
○必要に応じて同行してもらいます。
・故人様と特に親しくしていた友人や知人
○出棺を見送り散会します。
・一般会葬者
<火葬場へは複数の車両で向かう>
火葬場へ同行する人の数にもよりますが、基本は以下の順番に複数の車両で向かいます。
①霊柩車:喪主
②ハイヤー:遺族・僧侶
③マイクロバス:親族・故人様の知人友人
車両の手配および乗車する際の誘導は、葬儀社に依頼しましょう。
家族葬等の小規模な葬儀では自家用車で移動しても構いません。ただし、運転や道に慣れている人に運転をお願いしましょう。
※画像はイメージです。現在では宮型霊柩車が使用されるケースは少なくなってきています。
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1-2火葬許可証を提出する
<手順>
火葬場に到着したら、申請書類と一緒に火葬許可証を提出します。
申請書類に必要な事項を記載する必要があるため、提出業務に慣れている葬儀社へ依頼しましょう。
<火葬許可証の管理について>
火葬許可証が無ければ火葬そのものができないので、紛失しないよう管理には十分に注意しましょう。
実際、火葬の当日に火葬許可証を持ってくることを忘れるご遺族が時々いらっしゃいます。
そのため火葬許可証は前日までに葬儀社に預けておくことが一般的となっています。
<補足:火葬許可証の入手について>
火葬許可証は市区町村の役所で死亡届を提出すると発行してくれます。
死亡届の提出も葬儀社が代行してくれますので、必要事項を記載した死亡届と認印を準備して依頼しましょう。
火葬許可証の発行手続きは「役所への届け出と火葬・埋葬許可証」をご覧ください。
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1-3納めの式を行う
<手順>
①柩が炉の前に安置されると線香台が用意されます。
②僧侶が同行している場合、読経が始まり焼香へと続きます。
③焼香は、[1]喪主 [2]遺族 [3]親族 [4]故人の知人・友人の順に行います。
④火葬炉の前で柩に向かって(棺の窓を開けて)最後のお別れをします。火葬場によってはお別れ用の別室が設けられていることもあります。
⑤火葬炉に柩を納めるところを全員で見届けます。
<神道やキリスト教の場合>
仏式の場合は焼香を行うのに対して、
○神道の場合
玉串を捧げます。玉串案と呼ばれる台の上に、神職から受け取った玉串を置き、偲手(しのびて)で音を立てずに二礼二拍一礼をします。玉串案が用意されている火葬場もあります。
○キリスト教の場合
献花を行います。こちらも献花台の上にお花を置いて、故人様を送り出します。玉串や献花に用いるお花は葬儀社が用意してくれる場合がほとんどです。
<その他>
注意点として火葬場によっては、読経や焼香の順番が異なる場合があります。加えて火葬炉に立ち会う人数に制限を設けている場合もありますので、希望があれば事前に相談しておきましょう。
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1-4火葬
<火葬における時間>
○一般的に予約できる時間
10時から15時
○火葬にかかる時間
短いところで40分、長いところで1時間30分程度。火葬炉の性能や故人様の体型によっても異なります。
<待ち時間中に行うこと>
控え室で待つ間、喪主は僧侶と参列者をお酒・お茶やお菓子でもてなします。
火葬場が遠方である場合や火葬時間が長い場合は、軽食を持参します。火葬場の売店で買い求めることもできます。
火葬が終わると係員が呼びに来るので控え室を後にします。
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1-5骨上げ・収骨を行う
<手順>
火葬後、遺族や参列者の手によって、遺骨を骨壷に納めます。一般的には竹の箸を使い2人1組で1片のお骨を一緒にはさんで拾い、骨壺に納めます。
喪主から始まり、故人様と血縁の深い順に拾っていき、骨を1、2片拾ったら次の人へと箸を渡し、参列者が全員で故人様の遺骨を壺の中に納めます(関東の場合)。
遺骨は足から順に上体に向かって拾い、最後に「のどぼとけ」を納めます。
<「お箸を渡す」に意味がある>
この「お箸を渡す」行為には「故人様を三途の川の向こうへ無事に橋渡しする」という意味が込められています。願いを込めて橋を渡すようにお箸を渡します。
<地域によって異なること>
骨上げ・収骨は、地域や火葬場によってもやり方や使用する箸が異なります。一本を竹、一本を白木など異なる材質の組み合わせにした「違い箸」で骨上げ・収骨を行う地域もあります。
また遺骨をすべて骨壷の中に納める「全収骨」の地域と、一部を納めて残りを火葬場が引き取る「部分収骨」の地域があります。
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1-6埋葬許可証を受け取る
<手順>
骨上げ・収骨が終わると、遺骨と一緒に「火葬済証明印」の押された「火葬許可証」が渡されます。これが「埋葬許可証」となります。お墓や納骨堂に遺骨を納める時に必要になる書類なので大切に保管しましょう。
<保管場所に注意>
多くの火葬場では「埋葬許可証」を簡単に無くさないように、骨壷とともに桐箱の中に納めるところが多いようです。ただし書類がどのように渡されるかは火葬場によっても異なるので十分に気をつけましょう。
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1-7帰宅する
<手順>
出棺車両であるハイヤーやマイクロバスに分乗して戻ります。霊柩車は使用しません。
帰路では喪主が遺骨を抱きかかえて座ります。位牌と遺影は遺族が持って座ります。あらかじめ持つ人を決めておきましょう。
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2.火葬での注意点
2-1火葬場へ向かう際の注意点
<遺族や親族以外の同行者について>
遺族や親族でなくても、交流の深かった方や、火葬を見届けてほしいという人がいれば、火葬の前日までに本人の意向を確認しておきましょう。
<事前に乗車する車両を決めておく>
一般的な流れでいくと、葬儀・告別式を終えて出棺までは慌ただしくなります。誰がどの車に乗るのかを事前に決めておくとよいでしょう。葬儀社と確認を取りながら進めていきましょう。
2-2火葬場での注意点
<大きな声を出したりしない>
大切なご家族を送り出すのに感情的になることや控え室で思い出話に盛り上がることもあるでしょう。しかし火葬場はあくまでも故人様を送り出すための公共施設です。他の喪家も集まりますので極力静かに過ごすことを心がけましょう。
<火葬場での支払い>
火葬場での支払いには、火葬料金、収骨容器(骨壷)の料金、さらには、控え室の利用料金や飲食のおもてなし費用などがあります。
これらは基本、喪主に代わって葬儀社が支払いの対応をします。葬儀社にお金を事前に渡しておくのか、葬儀費用とまとめて請求されるのかは確認しておきましょう。
2-3火葬場から帰宅する時の注意点
<来た道とは別の道で帰る風習がある>
喪主からの指示がない限り、道順はその時の道路状況などから判断してドライバーが決めます。もし親族の中で、帰りの道順を気にする方がいる場合には、事前に葬儀社へ伝えておきましょう。
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3.葬儀の流れにおける火葬の注意点
3-1地域によって、順番が異なる
<火葬の順番は、3つに分けられる>
①後火葬
通夜 → 葬儀・告別式 → 火葬
②前火葬
通夜 → 火葬 → 葬儀・告別式
③骨葬
火葬 → 通夜 → 葬儀・告別式
一般的には①がよく知られていますが、②や③の場合に、駆け付けた親族などが「故人様のお顔を見ることができなかった」というような事が起こる恐れがあります。葬儀社に確認しておくと安心です。
<火葬の順番は、地域による風習が影響>
全国的に見てみると、同じ県内でも①~③が混在しているケースが多いようです。
例えば鳥取県では、鳥取市、倉吉市とその周辺は「後火葬」が多く、米子市とその周辺では約70%が「前火葬」となっているようです。
また大分県では、最近は「後火葬」が一般的になっていますが、南部(佐伯市など)では90%以上が「前火葬」となっているようです。
3-2ご遺族の意向で、順番が異なる
<一例:遠方でお亡くなりの場合>
例えば、都内で亡くなった方のご遺体を地方の郷里へ搬送するには大変な手間と費用がかかるので、「火葬だけ都内で済ませ、その後、郷里で葬儀・告別式を執り行う」というケースもあります。
3-3火葬後の初七日法要について
<一例:葬儀・告別式の後に火葬を行う場合>
葬儀日が初七日法要の日に近い場合や、遠方からの遺族がいる場合には、火葬後に葬儀式場やお寺へ戻って初七日法要を行い、その後に精進落としをいただきます。最近はこの流れが多くなっています。
精進落としのお膳の数は原則的に火葬場に同行する人の数だけ必要です。
出棺時に何名が火葬場に同行するのかは葬儀社の担当者が数えますが、火葬後に数が増減する場合もあるので、料理の追加発注はいつまでにどれくらいまで対応可能か事前に葬儀社へ確認しておきましょう。
<初七日法要を出棺前に行うこともある>
火葬が長時間になる場合や火葬の時間がお昼前後になる場合には、出棺前に初七日法要を繰り上げて行い、火葬の待ち時間に控え室で精進落としの食事を取ることがあります。
火葬場と葬儀式場が近い場合は、火葬の始まりとともに一度葬儀式場に戻り、そこで精進落としの食事を取る選択もあります。
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4.火葬のみ・荼毘(=直葬や火葬式と呼ばれる形式)について
4-1“火葬のみ・荼毘“の特徴
<宗教儀礼を簡略化した形式>
通夜や葬儀・告別式といった儀式を執り行わずに、火葬だけを行うお弔いの形式です。「直葬」や「火葬式」とも呼ばれています。
一般的には
①宗教観から葬儀を不要と考えている場合
②葬儀に呼ぶ親戚縁者が少ない場合
③費用を安く抑えたい場合
などに選ばれる傾向があります。
ただし、
●葬儀社のプランによっては、火葬当日まで故人様に会えない場合がある。
●当日「故人様と対面してお別れする時間」を十分に確保できないことが多い。
●儀礼を重んじる周囲の人たちや菩提寺との関係を損ねる場合もある。
ので、“火葬のみ“の形式で行う際、特に費用を抑えたプランを選択する際には、内容をよく検討した上で進めるようにしましょう。
4-2“火葬のみ・荼毘“の注意点
<自分以外の遺族のことも考える>
“火葬のみ“の形式は葬儀費用や時間を軽減できますが、通夜や葬儀を行わないために、火葬後にご遺族の気持ちの整理がつきにくい場合があります。火葬の後では、2度とやり直しがきかないため、後悔のないようによく考えましょう。
<親族などのことも考える>
“火葬のみ“の形式は宗教儀礼を簡略化するため、一般的なしきたりを重んじる人や宗教性を大事にする人から「きちんと葬儀をしないと故人様が浮かばれない」と言われたりすることがあります。
また、すでに納骨されている先祖とは違う形式で行うことになると思いますので、親族などに相談なく強行してしまうと、あつれきが起こることもあるので注意しましょう。
<菩提寺に相談しておく>
もしも菩提寺があれば、“火葬のみ“の形式にすることを事前にお寺に相談しましょう。読経や戒名を受けずに“火葬のみ“の形式を執り行った場合、菩提寺へ納骨できない、法事が行えないなどのトラブルが発生すること等も懸念されます。
“火葬のみ“の形式であっても、読経、そして戒名を授かることができる場合もあります。菩提寺との関係は、ご遺族、親族の皆様に影響する事柄ですから、慎重に検討し、相談することが大切です。
火葬のみ・荼毘(=直葬や火葬式と呼ばれる形式)について、より詳しい内容を知りたい方は、直葬とは?内容やメリット・デメリット、流れや費用の注意点などをご覧ください。
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5.まとめ:立ち会う人がきちんとお別れできることが大切
火葬は「故人様のお顔を見ることができる最後の場」です。
喪主ご自身はもちろんのこと、遺族や親族、故人様の友人・知人など、立ち会ってくれる人々がきちんとお別れできるよう、段取り良く進めることが重要です。
とはいえ、大切な人を失った悲しみの中で進めることは容易ではありません。そのため、葬儀社に協力してもらい、任せられることは極力お願いするようにしましょう。
故人様との最後のお別れに、できる限りの時間を費やしていただくことが、故人様への何よりの供養になると思います。
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